高知県視力障害者の生活と権利を守る会
2010年1月 全視協中四国地区交流集会報告

報告
地方の色&一丸となって
−−全視協中四国地区交流集会より−−
            執行委員 藤原義朗

  1.飛んでいったビール園
 昨年は道後温泉へ入り、点字受験と松山盲の移転反対の経験交流をし、新居浜のビール園へ行った。じゃあ今年は、岡山のビール園へ行って広島さんも呼んで交流しようや。と、思っていたが、岡山から「ちょっと待った」がかかり、高知ですることになった。

  2.交流
 1月10日は、大野俊一実行委員長の元気のよい挨拶で始まった。広島、岡山、愛媛、徳島、福岡、大阪、和歌山から、そして、高知からの計65人の参加であった。
 @交通問題での各県レポート交流 
 普段使う交通手段の改善に向けた交流をしたいという広島からの声で行なうことになった。
 ・ICカードや路線廃止などの報告が目立った。足の確保は本当に大切。以下は、野尻執行委員のまとめです。
 ・地方では鉄道よりもバスが身近な生活に関係した交通手段なので、全視協でバス問題にもっと力を入れてほしい。車内・外放送の適正化、バスカード・ICカード等の音声化、減便や廃止路線の問題、乗務員の対応、バスロケーションシステムの設置など。福岡では携帯電話で利用できるバスナビゲーションシステムが設置されている。
 ・香川でICカードの残量を音声で確認したいなどの要望を持った人がいるが、組織がないためになかなか運動にならない。香川にもぜひ全視協の組織ができればと願っている。
 Aロービジョンケア診療報酬化と身障手帳の認定改善
 日本ロービジョン学会理事長、川崎医療福祉大学教授の田淵昭雄先生が講師である。学会ではロービジョンケアにかかるコストは9億円。それにより、社会的利益は73億円という資料を基に診療報酬化へ向け厚労省に要望している。
 また、身障手帳も今の認定基準は、矛盾していることを眼科の先生方が日常感じておられる。視覚の障害を評価する指標や補装具などについて学んだ。先生からは、学会としても運動しているが、障害者団体としても是非のろしを上げて運動していただきたい旨の話であった。
 Bたたき
 居酒屋「土佐」で、交流会はかつおのたたきと刺身、寿司が出た。それでも、まだ4次会まで議論している仲間もいた。

  3.エコカー体験の準備
 各地で行なう時の参考にもしていただきたいので、準備も含め詳しく述べる。
 @車の準備はトントンと進んだ。三菱の電気自動車「アイミーブ」、トヨタのハイブリッド車「プリウス」を販売店から借りることになった。また、対象車両として、トヨタ「カローラを音の」静かな乗用車として、ディーゼル車として日産「シビリアン」を借りることができた。
 A問題はここから、擬似エンジン音
 昨年夏、国土交通省で擬似音の検証があった。結論は、エンジン音が車のイメージがつきやすいということである。検討委員会を経て、ガイドライン作りが進められている。
 今回の準備で、擬似エンジン音をつけた車を聴きたいという声があった。それぞれのメーカーにかけあい、国土交通省とも話し合った。騒音規制の法の問題、擬似エンジン音を付けて誤解したイメージを国民が持ってもらったら困るなど言われた。何度も電話でお願いしたが、許可は出なかった。音といっても右翼とは比べ物にならないのに。権力の重さを知った。
 Bユビキタスシステムは、車から電波を出して受信機で接近を知るシステムであるが、電波法の許可が要る。集会2日前に総務省から出た。

  4.検証
 @騒音測定器、ビデオカメラを用意。全視協の野島街づくり委員長からは、「今までの実験は駐車場など静かな所だった。雑踏の中でしてくれ」とのこと。高知駅前の国道と、静かな住宅街を選んだ。騒音計のデシベルは、雑踏で60余り、住宅街でも55ある。普段、雑音の中で生活しているのが分かった。
 さて、駅前での検証であるが、アイミーブもプリウスの低速(約時速10km)の時は、騒音計のメーターもほとんど上がらず、また、いつ通り過ぎたのかも分からない時が多かった。住宅街の時はなぜかデシベルがやや下がった。カローラでは2〜3デシベル程度、シビリアンでは10デシベル程度上昇した。ストップ、バック、前進させた時にはよく分かった。
 Aユビキタス
 ユビキタスシステムは、長谷川貞夫先生や東大の坂村先生らが研究しておられる。微弱電波を発生するタグを街角に付けておき、視覚障害者がユビキタスコミュニケーターという受信機を持って歩けば、タグからの情報を受けて教えてくれるシステムで、京都では寺などでの案内が実験的に施行されている。それを車の接近を知らせることに使えるかどうかの検証である。東大の先生とYRP(ユビキタスネットワークキング研究所)の研究員がおいでになった。アイミーブにチェーインガムのようなタグをつけ、シガライターから電源を取り実験開始。携帯電話のようなコミュニケーターを持った。車が近づくと、「ビビッビビッ」とベルで、また、「車が接近」と言葉で教えてくれたりした。これは、公道では今回が初めての実験である。開発まもなく、不完全なところは多かった。接近といってもどちらの方向からは分かりにくい。通りすぎてもまだ鳴っていた。また手前でなく、向こう側のレーンを走っていても鳴っていた。教授は、「タクシーの見分けや、バスロケのように使える可能性もある。また、バイブレーター式にしていたら、聴覚障害の方も接近が分かりやすい。」など示唆されていた。
 B擬似音
 国土交通省開発の擬似音をパソコンからつないだスピーカーで聴いた。メロディ音、ピーーー、エンジン音。接近の認知は、エンジン音がよいという参加者の意見であった。
 Cおわりに
 「このような実験は雑踏の中では車の音の聞き分けがしにくいので、四万十川のような静かなところですべし」という意見があった。しかし、日常の雑踏だからこそ、エコカーも、普通乗用車も接近が分かりにくいことを知る体験会となった。
 今後、ガイドライン作りや研究がなされるが、自立支援法集会のテーマでもあったように「私たち抜きで私たちのことを決めないで」と、強く訴えて行きたい。



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