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第40回守る会総会報告 井上 芳史
市民図書館CDの点字目録作成 正岡 光雄
こんな風に変わります 正岡 光雄
視覚障害者にとっての自立支援法 パート7 藤原 義朗
JBOS(ジェイボス)ご案内 「ルーモ」江崎 瑞枝
教職員互助会のあはき補助制度が変わりました 有光 勲
福祉機器展(バリアフリーフェスティバル)に参加して 田元 美紀
福祉機器展で無資格業者が施術所を開設 関係者に強く抗議 有光 勲
菊島和子さんの講演会に参加して(3) 田元 美紀
編集後記 片岡 慈仲
第40回守る会総会報告
事務局 井上 芳史
6月4日に高知市障害者福祉センターで総会が行われました。総会の前にミニ学習会として会員の藤原氏に診療報酬点数の改訂と医療問題の講演がありました。
参加者は27名の内、正会員25名・委任は34名で、会員数の過半数を超えており総会が成立、議長には貞岡氏と津野一美氏が選出され、議案書に沿って進められました。多くの意見が出されましたので報告します。
1. PICS式信号機について:カーボンや 金属の白杖なら、特殊なシールを巻かなくても信号機の前で白杖を高く上げると反応して音声が流れる。感度を上げたために白杖以外にも反応して音声が流れるようになった。
2. 電停の安全地帯について:安全地帯に 上がる所の車道側と軌道側に柵があるが、 全く見えない者にとってはどちらの柵か分からないので、軌道側の柵を撤去して貰いたい。安全地帯によってまちまちなので統一してほしい。安全上、それぞれの安全地帯の正確な情報をまとめていく必要がある。
3. あはき問題について:全鍼師会の署名は全国で34万筆を超えた。高知市のあはき治療助成制度は05年度において予算
600万円、決算は465万円、使用業者は鍼・灸113、マッサージ50であった。予算をいっぱい使用できるような制度にして いく必要がある。教職員互助制度が変わり、 ほかの福利事業と合わせて1万円となった。 1回あたり1000円の規定や指定の補助券がなくなり、治療院で領収書を発行することが必要となった。領収書の様式はないので、あはき治療を受けたことと金額が分かれば よいと思う。
4.決算について: 会費の未納率が高いように思う。決算書は予算・決算・比較の順が読みやすい。
5.駐車違反制度について:駐車違反が厳しくなり、タクシーの運転手が視覚障害者をガイドしている際に駐車違反となるおそれがあるので、これからはガイドを拒否される 事例が出てくるのではないか。
参加者の熱心な討議で終了予定の時間を超すのではないかと冷や冷やしましたが、議長の進行がうまく、16時ちょうどに議案は承認され、終わることができました。
市民図書館CDの点字目録作成
正岡 光雄
市民図書館には、約8千枚のCDがありますが、その約半分の点字版の目録が予算化され、作成されることになりました。本会が、ずっと要求してきたことが実り大変喜んでおります。
今回点字化されるものは、演歌やポップス、落語や漫才、クラシック等比較的貸し出し希望の多いジャンルです。作成を委託された本会点字印刷部では、毎日その作業に追われ、大忙しです。完成は、9月末で、10部作られ、市民図書館をはじめ、盲学校や点字図書館、障害者福祉センター等にも置かれる予定です。皆さん大いにご利用ください。
こんな風に変わります
正岡 光雄
*新スタイルの自治体交渉 今年も
実施
真夏の暑い盛り。今年も恒例の自治体交渉(県や高知市への交渉)を実施します。昨年から新たなスタイルで、原則8月中の毎週木曜日の午後行います。
各週ごとに役員を中心とする2名ずつの責任担当者を配置します。
県も高知市も10月からの地域生活支援事業市町村移管の作業で手間取り、日程調整の回答が7月28日(金曜日)に届きましたので、お知らせが大幅に遅れてしまい、申しわけありません。
今回の日程と責任者をお知らせしますので、ご協力をお願いいたします。
*自治体交渉責任担当者一覧表
第1回 8月3日 (県のみ)
15:00〜17:15 井上・濱口
第2回 8月10日(県のみ)
15:00〜17:15 有光・大野
第3回 8月17日
[第1グループ(高知市)] 13:00〜17:15 藤原・片岡
[第2グループ(県)] 15:00〜
17:15 山崎・中平
第4回 8月31日
高知市13:00〜14:15、
県15:00〜17:15 生田・畠山
第5回 9月7日(夜、県)
18:00〜20:00 正岡
*意見交換会場
県関係は保健衛生総合庁舎5階西大会議室、障害福祉課関係は県庁地下会議室
高知市は市役所(本庁舎)4階入札室、市民図書館関係は視聴覚室
*第1回 8月3日
責任担当者:濱口・井上
この日は、高知市はありませんので、15時からです。
15:00〜15:30 金融課(消費者問題)
15:30〜16:00 特別支援教育課
(特別支援教育等、教育について)
16:00〜16:30 国保指導課
{あはき関係(雇用・就労について)}
16:30〜17:15 住宅企画課
{防災対策(住宅点検)}
*第2回 8月10日
責任担当者:大野・有光
この日は、高知市はありませんので、15時からです。
15:00〜15:30 男女共同参画・NPO課(「ソーレ」防護対策)
15:30〜16:00 人事企画課
{雇用・就労(県庁等への採用)}
16:00〜16:30 交通規制課
{街づくり(音響信号機設置)について}
16:30〜17:15 道路課・都市計画課{街づくり(点字ブロック等)}
*第3回 8月17日
この日は、日程調整がどうしても付かず、15時からは県と高知市の2つが重なってしまいましたので、2会場となり、交渉も2グループに分かれなければなりません。
[第1グループ 高知市の分]
責任担当者:片岡・藤原
13:00〜14:00 市民図書館視聴覚室{市民図書館への要求(読書権)}
14:00〜14:20 総合あんしんセ
ンター建設課
14:20〜14:40 防災対策課
14:40〜15:00 子育て支援課・保育課
15:00〜15:20 市民相談センター
15:20〜15:40 資産税課
15:40〜16:00 住宅課
16:00〜16:20 教育委員会
16:20〜16:40 道路関連3課
[第2グループ 県の分]
責任担当者:山崎・中平
15:00〜15:30 選挙管理委員会(政治参加)
15:30〜16:00 交通政策課
(JR関連)
16:00〜16:30 高齢者福祉課
(福祉サービスの充実)
16:30〜17:15 危機管理課
{防災対策(復興対策)}
*第4回 8月31日
責任担当者:生田・畠山
13:00〜13:15 人事課
13:15〜13:30 保険医療課
13:30〜13:45 交通安全課
13:45〜13:50 男女共同参画課
13:50〜14:05 点字図書館
14:05〜14:15 元気いきがい課(介護保険課)
15:00〜15:30 県男女共同参画課・幼保支援課・小中学校課(子育て支援策)
15:30〜16:00 県民生活課
(消費者問題)
16:00〜16:30 広報課(広報誌「さんSUN高知」について)
16:30〜17:15 生涯学習課
(読書権)
*第5回 9月7日
責任担当者:正岡
18:00〜20:00 県障害福祉課
視覚障害者にとっての自立支援法 パート7
藤原 義朗
新制度が始まり3ヶ月たちました。「作業所へ行っているが、工賃を上回る負担額を払わなければならず、自由に使えるお金がなくなってしまった。やめようと思っている」「施設の報酬計算が月額方式から日額方式になり2〜3割の減、職員のボーナスカット、給料3割減」など、あちこちから怒りと悲鳴が聴こえてきます。
高知県と高知市の、6月定例議会の本会議では、次の方々が登壇し、障害者自立支援法について質問されました。
高知県議会は、塚地さち(日本共産党と緑心会)、江渕征香(県民クラブ)、高知市議会は、佐古哲郎(日本共産党)、岡崎豊(市民クラブ)です。
今回は、その中から特徴的な事柄について紹介させていただきます。
1.自治体の財政負担減っている
高知市の障害者自立支援法にからむ障害福祉の予算は、平成17年度は約27億9千万円、平成18年度は約23億5千万円と、約4億4千万円の減少です。これは、障害福祉予算が、国2分の1、高知市2分の1でした。それが、新制度では、国2分の1、県4分の1、高知市4分の1という割合になったからです。そのことにより、高知市の負担額は12億8千万から9億3千万円へ、3億5千万円の減額になるのです。さらに、施設への予算支出が、日割り方式になる為、実際にはかなりの減となります。いわゆる不要額が発生するのです。佐古議員は、それを独自減免に廻すように迫りました。低所得1の人は、高知市で160人おられます。その月額上限は、1万5千円ですので、それを全額分利用されたとしても、それを減額すると年3千万円という数字です。岡崎市長は、支援費制度のことを引っ張り出し、「破綻するようなこ
とは責任上できない」と、答弁しました。利用者の負担が上がっている、施設の収入が減っている、それにより自治体の負担が減っている、それならば、独自減免すべきではないでしょうか。
一方、県議会でも「全国で15パーセントの自治体で減免制度を作っている。高知県でも」と、両県議から県外の減免事例を挙げ、独自減免について迫りました。知事からは「状況をしっかり掴んでから」という答弁です。私達も、実態をしっかり掴み迫っていこうではありませんか。
2.医療を守る
更生医療制度から自立支援医療制度に変わりました。要するに、1割負担の導入と
対象疾患の削減です。
高知市の平成17年度の更生医療の実績では、心臓機能障害入院588名、通院65名、腎臓機能障害により入院135名、通院392名、肢体不自由による入院10名、通院2名です。しかし、新制度になると心臓機能障害の人の多くが自立支援医療から外されます。また、内部障害の多くは身障2級等級がなく、障害者福祉医療の恩恵を受けることも出来ません。その為、一般医療制度で月額7万2300円プラス診療報酬の100分の1プラス食費という膨大な負担額になってしまいます。
県と市に対する福祉医療を守る闘いの手綱をゆるめてはなりません。それどころか、広げていく闘いが急がれます。
3.急ぐ認定区分の問題
障害程度区分認定が、視覚障害者には不利に出ること、施設入所については特別な理由が無い限り、重度という風に区分されなければ、入れないことは以前にも述べてきました。まだ、施設入所者の障害程度区分認定は始まっていませんが、高知市内の施設がシュミレーションしたところ、3割の人しか残れないということです。つまり、これから5年半かけて入所施設は新事業体系に移行していきますが、この判定方式ですと、施設の運営事態がやっていけなくなるわけです。県も国に対して物申していくことを約束してくれました。早急に認定区分を改める闘いを全国的に起こそうではありませんか。
4.補装具は代理受領方式で
補装具の負担については、新制度で1割負担になりました。問題は、一旦全額払ってから後で9割返してもらう償還払い制度になってしまうことが心配です。電動車いすや義足の人の場合、30万円以上することもあります。高知市では、利用者が自己負担分を支払い、残りを業者が自治体に請求する「代理受領方式」が採用される予定であることを述べられました。それには、自治体が事業者と契約を結んでおかねばならず、業者の選択が狭められないように気をつけていかなければなりません。
5.おわりに
10月からスタートの地域生活支援事業について、各自治体で条例を策定しなければならず、6月議会が勝負どころと見られていました。しかし、国から示される指針が遅れ、ほとんどの自治体で9月議会が勝負となりました。
高知市議会では本会議のビデオテープを貸し出しています。県議会もインターネットで中継を見ることができます。私たちの選んだ議員さんがどんな仕事をしているかきちっと監視し、一緒に運動していきましょう。
JBOS(ジェイボス)ご案内
「ルーモ」 江崎瑞枝
見えなかったり見えにくかったりすると、外出にもいろいろな困難を伴います。しかもどこでも有償のガイドヘルパー制度をスムーズに利用できるとは限りません。
JBOS(全国視覚障害者外出支援連絡会)は視覚障害者の外出支援を行っているボランティアグループの全国ネットワークです。ボランティアグループなので、生活にどうしても必要な部分を担当するというよりも、このサポートによって生活の質が一段高まるように活動していこうとしています。生活するために必要なことがらは制度で確実に保障されるべきでしょうから。
このネットワークの特徴は、インターネットを活用した連絡や情報発信にあります。ユーザー(視覚障害者。手帳を持っていなくてもかまいません)がインターネットに接続できる環境にあれば、直接、目的地のJBOS加盟グループにEメールを送って依頼することができます。受信した目的地のボランティアグループは、日程や待ち合わせ場所などの詳細をユーザーとメールでやりとりして打ち合わせ、その依頼内容にしたがってガイドボランティアを探します。コーディネイトが成立したら、目的地ボランティアグループからメールでユーザーに連絡が行き、旅行当日、ユーザーが目的地へ到着するときに、目的地のボランティアが出迎えてガイドを担当します。
インターネットを使っていなくても大丈夫です。ユーザーは出かけようとするときに自分の地元のグループ(高知県なら「ルーモ」が加盟)に電話で依頼します。「ルーモ」は目的地の加盟ボランティアグループに依頼内容をメールで送ります。目的地グループからは「受信しました、ボランティアを探します」という返信メールが「ルーモ」に送られ、依頼内容にそってボランティアが探されます。コーディネイトが成立したら目的地グループから「ルーモ」にメール連絡が入り、「ルーモ」から高知のユーザーに伝えます。ユーザーが目的地へ到着するときに、目的地のボランティアが出迎えてガイドを担当します。
メールによる連絡の利点は、深夜でも早朝でも時間を気にせず送信が可能なこと。それから、依頼内容やコーディネイトのいきさつなどが文書で残るので、ミスや勘違いが減らせて記録にもなるという点です。もちろん各グループのメール担当者にとって、パソコンを日に一度、最低でも3日に一度のメールチェックは必須です。「ルーモ」では江崎が担当していますので、利用したいときや相手グループがわからない時など、メールで送信できる方はメールで、電話の方は携帯へでも伝言を入れてください。最近はホテルでも接続可能なところが増えましたし、江崎も県外へ帰省の時はパソコン持参で移動するようにしています。
費用ですが、ユーザーはガイドボランティアの自宅―待ち合わせ場所―自宅の交通費実費、移動中の交通費や入場料(実際には手帳を使うことが多いので、割引幅が大きかったりします)、もし途中で食事の必要があれば食事代を支払います。その他、グループによっては確認連絡の電話代を100円とか200円とか、ユーザーに請求するところもあります。主にはメールのやりとりでも、直接、ガイドボランティアがユーザーに連絡をとる必要はありますし、県外からかけるのは費用がかかる、との考えからです。車を使わなければならないときは万一に備えて保険をかけることもあります。ユーザー負担です。
ところで、今年1月にJBOSを利用して高知へ来られたのは30代の東京の男性です。山内家の歴史にとても詳しい方で、実際にその場所に立ってみたいと色々な行き先をチェックされていました。またインターネット巧者の彼は計画の段階でホテルはもちろん資料館の案内を予約したり、おいしい文旦の果樹園を調べたり。それも旅行の楽しみだったようです。「ルーモ」が担当したのは移動に関するガイドボランティアの役割のみ。高知城や資料館では学芸員や観光ガイドの方に詳しい説明をお願いしました。土佐の歴史にうとい江崎は、長浜の長宗我部の墓所など、こんな機会でもないと知ることも行くこともなかったはずです。昨年いらしたのは盲導犬ユーザーのテノール歌手。こちらも龍馬の大ファンで、記念館では何時間も担当者から説明を受けながら、飛行機の時間に遅れると急かされて「残念、またゆっくり来ます」と言い残して帰られました。
というわけで、JBOSに依頼して県外の旅をぜひ楽しんで下さい。もちろん実際には飛行機が遅れたり接続がうまくいかなかったりとトラブルもありますが、しっかり連絡を取り合うことでいい旅にすることもできます。
「ルーモ」ではガイドボランティアになってくださる方、それから、江崎に引き続いてメール担当者になって下さる方を募集しています。香川・青森・新潟のグループは全盲の方がメール担当者になっています。最近は守る会の方々のほうがインターネット利用率は高いのではないかと思うので、あてにしています。
以下、江崎の電話番号と携帯番号。
088−841−9011、090−4331−0637 以下、「ルーモ」のアドレス。jboskochilumo@mc2.seikyou.ne.jp
最後はJBOSホームページのURLです。こちらからは全部の加盟グループに送信できますし、情報も得られます。
http://jbos.jp.org/ 以上
教職員互助会のあはき補助制度が変わりました
有光 勲
これまではあん摩鍼灸等の施術を受けた場合、1回につき1000円、年間6000円の補助がありましたが、今年度からその制度が変わりました。それは選択型福利厚生制度「カフェテリア・プラン」といわれるもので、指定されたメニューの中から1万円を限度に会員が自由に選択できるというものです。そのメニューは次の通りです。
1.健康維持増進のための用品購入費
2.鍼灸等の受療、鍼灸・あん摩指圧マッサージの施術費
3.医薬品の購入費
4.カルチャー教室やスポーツ教室にかかる費用
5.旅行の交通費や宿泊費
6.スポーツ観戦の費用
7.高知会館の宿泊費
8.自己啓発・資質向上のための通信教育や講座、図書購入の費用
9. 芸術・文化鑑賞、コンサート、演劇等入場料
今までのあはき補助券はほかには使えませんでしたが、補助額は1万円にアップしたものの、上記のようにさまざまな補助に利用できる制度に変わりました。果たしてこれが私たちにとってプラスになるかマイナスになるかの判断は難しいところです。とにかく教職員互助会の患者さんには、この補助制度をあはきに使ってもらえるよう働きかけて下さい。施術者はただ領収書を渡すだけでかまいません。1回の施術料も制限はなくなりました。
福祉機器展(バリアフリーフェスティバル)に参加して
(視覚障害部門を中心に)
田元 美紀
6月16日〜18日、高知市文化プラザ「かるぽーと」で、福祉機器展(バリアフリーフェスティバル)が催された。
まず、視覚・聴覚ブースへ行った。真っ直ぐに宛名書きできるガイド、罫プレートがあった。全盲の方でも指で枠の段差を確認しながら文字を書くことができる。市販の点字絵本、「イーマン」、「チョウチョウのおやこ」は、絵にもボツボツがあり、触って分かる。
縁に青い線のあるお皿は、白いランチョンマットの上に置いても分かる。内側が白黒に塗り分けられているマグカップは、牛乳を入れてもコーヒーを入れても分かる。片面が白でもう片面が黒のまな板、一定の量が出る醤油差しもあった。200cc、100cc、50ccがセットになっている計量カップは、組み合わせて使うことにより、一定の量を量ることができる。
夜盲の方に使いやすい充電式のライトには、ボタン式のもの、お尻のダイヤルを回す方式のものがある。電動式爪やすりには、爪の先が入るくらいの隙間があり、そこに爪の先を入れて磨く。穴の開いたメジャー、らくらく糸通し、レンズ付きの爪切りもあった。
文字の大きな計算機には、「5」の所にポチがある(○があるものも)。10分、1分、10秒を設定できるボタンの付いたタイマーがあるが、これは例えば、「10秒」ボタンを5回押せば50秒を設定できる、というものである。一定の時間を経過すると、メロディーが流れる。
柄の部分が太く、スイッチの付いている白杖があったが、これは、振動で地面の様子を知らせてくれる。
おもちゃのコーナー。穴が開いていて、ブロックを入れると音が出る車、ラージトランプ。オセロゲームの石は触って白黒を区別できるようになっていて、石が動かないように盤にも枠が作られている。「おはなし日本列島」は、専用のペンで地図をタッチすると地名、シンボルの花・鳥・木、名物などを音声で知らせる。
パソコンのコーナーへ行った。ゲームのコントローラーを使って簡単に操作できるように工夫されたパソコンで、新聞の記事を読ませてみた。上下左右にカーソルを動かし、右下のエンターボタンを押すと、記事を読み上げる。
幅15cmぐらいの拡大読書器、「マックスルーペ」は、読みたい物の上に置いて使う。5倍、10倍、15倍の3段階で倍率を調節できる。文字や背景の色を変えられる(黄⇔黒、白⇔黒、緑⇔黒、黄⇔青)。専用のスタンドに載せて読書器の下で文字を書くこともできる。
テレビ型拡大読書器はオートフォーカス機能になっていて、読みたい物を下に置くだけでピントが合う。1.8〜40倍に調節できる。
聴覚関連のテーブルに行った。耳掛け式補聴器も最近では色を選べるようになっている。振動式の目覚まし時計もあった。「フラッシュベル」は、呼び鈴が鳴ったりした時に光る。
火元に設置しておく赤い筒「消炎筒」があった。これは火災が起こって温度が上がると膨張して割れ、中に入っている消火液が飛び出して火が消える仕組みになっている。
休憩所のそばには、木製の足踏み式マッサージチェアーがずらりと並んでいた。これに座ってペダルを交互に踏むと、背もたれのハンマーが背中を叩くようになっている。
「第1展示場」へ行った。手すりのコーナー。手すりには木製のものやイレクター製のものがある。滑り止めのため凹凸をつけたり、暗くなると光る線を入れたりした手すりもあった。
浴室のミニチュア版に、浴室用手すりが展示されていた。赤い手すりもあったが、それは視力の弱い方にとって分かりやすい。床と浴槽との段差を減らすステップも展示されていた。
おむつのコーナーには、大人用のだけでなく、乳幼児用のと中間サイズのも展示されていた。中間サイズのおむつは、ウエスト50〜70cm、体重15〜35kgの、障害のある子ども、おむつ外しの遅れた子どもが対象である。
携帯用採尿器には、底が平らである上に、受け口の奥の穴が細く、置いても尿がこぼれないようになっているものがある。ペットボトルを利用して採尿器を作ることもできる。
ベッドのコーナー。高さ、頭の角度、足の角度を調整できる。褥瘡予防と体位変換のできるベッド、ポンプ式のエアーマットもあった。
「PICカード」は、日常生活に必要なことが絵で表記されている。知的障害のある人のことを配慮して作られたものだが、それだけでなく、子どもや外国人、文字を読めない国内の人にも利用できる。PICカードの絵は白と紺の2色だけで描かれているので、1度覚えたら忘れないし、遠くからの視認性もよい。
赤い丸の減り具合で時間を把握できる「タイムログ」。時間が経つにつれて赤い丸が1個ずつ減っていくので、時間の経過が分かる。
パソコンを使って金銭概念をマスターする方法がある。お金の写真で表示され、左の面と同じお札と硬貨を右の面に並べることを覚える。商品やお金が写真で表示されるレジは、「同じ物を同じだけ」と覚えていれば使うことができる。
肢体不自由者のための、家電製品を遠隔操作できるパソコンとボタンがあった。呼気スイッチと切り替えることもできる。口でくわえたりあごで動かしたりできるマウスもあった。
見守りのコーナーには、指定された時間に薬を飲んでいるかを見守ることのできる薬箱があった。また、洗面台、流し台の下にセンサーを付けて一人暮らしの人が水を使っているかどうかを調べることにより、その人の安否を確認する方法を初めて知った。当事者に気付かれないように配慮されている。
最後に、パソコンを使ったハイクオリティーテレビ電話を体験した。ヘッドホンを使って遠くの人と話ができる。お互いの顔が見えるので、聴覚障害の人が手話で話した場合でも通じる。
今回の「バリアフリーフェスティバル」には、初めて見るものがたくさんあった。とても1日では充分に見切れないほどの展示だった。
福祉機器展で無資格業者が施術所を開設 関係者に強く抗議
有光 勲
去る6月16日から18日にかけて開催された第5回高知県福祉機器展「バリアフリーフェスティバル」の会場で、四万十市の 無資格業者T氏が癒しコーナーにおいて「フットセラピー」と称する施術所を開設して おりました。早速我々の仲間が実際に施術を受け、状況を調査しました。数名の女性が施術しておりましたが、正式な資格は有していないとのことでした。寄付の協力は呼びかけるものの、当日は機器の展示が目的であり、 販売行為などは行わないことになっておりました。ところが、その業者は意図的に料金徴収も行なっておりました。
県や高知市もこの福祉機器展の後援団体になっており、しかも公的機関での無資格 マッサージを許可したことは大問題であり、 直ちに3団体(守る会・鍼灸マッサージ師会・視力障害者協会)で要望書を作成し、関係者に抗議することにしました。
7月3日、18時から3団体代表と福祉 機器展実行委員長の下元佳子さんとの話し合いを持ちました。
「恥ずかしいことながら、あはき法については全く知らなかった。料金を徴収したり、 技術的にも不充分な感じであの施術所には 疑問の声も挙がっていた。今後はこのようなことが起こらないよう心掛けたい。機器展 開催については是非相談にのって頂きたい」との回答を得ました。
更に、7月6日には15時から県障害福祉課と県警生活安全課、16時から高知市 元気生きがい課と教育委員会生涯学習課との交渉を持ちました。実行委員長の場合とは異なり、県や市は無資格業者が蔓延って(はびこって)いることは百も承知の上で取り締まろうとしないわけですから、全く手に負えません。それでも今回の具体的事例を示し、
厳しく追及した結果、渋々ながらT氏についての調査を約束させました。
また、市町村共済会館で県外の無資格業者が健康講座を開催することになっている 件について、高知市として実態を充分把握し、 こうした業者には会場を貸さないよう、関係者に指導するように要望しました。
菊島和子さんの講演会に参加して(3)
田元 美紀
*講演の内容(3)
セルビアの大学で言語の翻訳サービスを始めている。視覚障害者には大学で言語を学ぶ人が多い。レベルとしてはかなり高い。国際間での資料のやり取りが増えている。最近では英語のできない人も国際関係に関わることができる。
フィンランドの盲学校はかなり広い地域に一つしかないので、寄宿舎制である。兄弟姉妹のようにいろいろな年齢の子が組み合わされて、一緒に住んでいる。寄宿舎の管理者がいて、家の中でいろいろな生活に当たることを分担する。勉強する時は本校舎に通う。
スウェーデンの元盲学校の寄宿舎は、中が区切られていて、1ブロックごとにひとつの家庭のようになっている。寮内での作業も年齢に合わせて各人ができることをする。(日本の盲学校の寄宿舎では、全員が食堂に集まって食事をする)
*質疑応答
質問:点字のプロの話が出た。リーディングサービスについては?
菊島さんの回答:読むことで言うと、録音図書に吹き込むことはアナウンサーや声優がボランティアでやっている。(日本では素人がトレーニングを受けてやっている)家に来てもらって手紙を読んでもらうサービスがある。対面朗読については日本のほうが行き届いている。
「日本ではこんなことをやってもらっているんだ」と言うと、他の国でも「自分の国でもできたらいいな」と考えるようになる。
点訳についても、ボランティアでやる人は
日本に比べると少ない。
質問:ヘルパー2人から読んでもらっても情報が少ない。視覚障害者の子育てについての深刻な相談がある。
回答:夫婦とも見えない人に対しては1日置きにやってくれる人が来て手伝ってくれる。電気器具を買った時、スイッチが凹凸になっていなくて分からないので、行政が「スイッチにハンダで印をつける」。
ただ、ヘルパーにも直接、お金を全部下ろされた、盗られたと相談が来る。行政の関係で問題があったなら、処理する相手がいるようにしないといけない。個人のツテで気分が合わない人にも、その辺はいろいろな人がいる。問題ではないか。
子育てについてはよく分かっている人が支援してくれることはある。赤ちゃんが生まれたばかりの人の場合は、ほとんど助けなくても私はやれる、という人がいる。親に対するトレーニングをする。おむつは「○○」と「△△」というのを買えばやれるから、独りでできる。
質問:具体的に子どものことでこう、という話を聴きたいと思う。
田元:エスペラントを学んだらいいですね。
質問(盲学校の教員):イタリア、北欧で盲学校がなくなって地域の学校で視覚障害児が教育を受けている。
回答:イタリアでは盲学校がひどい状況だった。いちばん親しいイタリアの夫婦の例。夫は盲学校を知らない。妻は盲学校を卒業したが本当の意味での教育ができていなかった。2人は何処かの会合で出会い、結婚するところまでいった。イタリアでは視覚障害者が人間として認められていなかった状況であり、物を言っていいという状況ではなかった。
統合教育を受けている視覚障害の子どもは普段は地域の学校に通っているが、合宿で同じ年代の子が集まってキャンプをする。
北欧の場合には、統合教育ができた。小学校の最初の方だけが終わったら普通学校に入る。最初の低学年レベルでは別のクラスにしたほうが効果的ではないか。
フィンランド、ノルウェー、スウェーデンでは、みんなが人間として尊重されることの大きな目標がかかっている。最初から普通の社会状況の中で、社会がこっちを向かないといけない、という。それに対して反対することは社会全体に対して反対することである。
いわゆる単なるスローガンではない。一緒にその方向になるためにどうしたらよいか、ということを向いている。日本では見られない。
質問(吉野由美子先生):ろう児が普通学校に入っても、結局はろう学校に戻ってしまうこともある。
回答:ろう児(者)はコミュニケーション自体が充分できない。統合教育をしてもうまくいかない。
チェコ、ハンガリーでは、途中で見えなくなった場合、医学的に原因を探し、「将来こうなるからこの子は盲学校へ進学したほうがよい」と決められる。治療の必要な子には治療を施す。
吉野先生:日本では就学指導が曖昧である。
回答:北欧の国々でも障害者組織の中でそういうことをする。当事者も入って議論する。それが日本では欠けている。どこの学校に行ったらよいかという判断をするシステムに、日本では当事者が入らない。
最後にはこういう社会をつくりたい、ということから、当事者が納得することが必要である。
吉野先生:時間がもうないし、学校は6時までに校舎が閉まる。それから、もう帰られる方もいらっしゃるので、どうしてももう一つ尋ねたいという方は、個別に尋ねるように。
この講演を聴き、今まで日本であまり知られていなかったヨーロッパの視覚障害者の事情がよく分かった。
菊島さんが通訳なしで直接訪問国の人々と話をされ、本などでは分からなかったその国の人々の生活や文化、事情に触れ、視覚障害者の社会統合のための活動を続けておられることに敬意を表したい。このような活動ができるのも、菊島さんがエスペラントに堪能であり、また、民族の違い、障害の有無を超えてお互いを理解しようという気持ちを持っておられる、そして行動力があるからこそだと思う。
エスペラントは創案された当初から視覚障害者の文化の発展、国際連帯に著しく寄与してきた言語である。また、母国語の異なる民族との交流が今後ますます盛んになると思われる。そのこともあって、私は「みちしるべ」の前号まで4回にわたって「エスペラントとはどんな言語か」を連載してきたが、残念ながら事情があって連載を中止することになった。前号の「どんな言語か」のクイズの答えを出しておく。
(複数形、対格、複数対格の順)
@viroj、viron、virojn
Afis^oj、fis^on、fis^ojn
Bsekaj、sekan、sekajn
編集後記
片岡 慈仲
長かった今年の梅雨も、本号がみなさまのお手元に届く頃にはすっかりあけて、土佐の真夏の晴天の下、よさこいの鳴子が鳴り響いていることでしょう。
8月は、戦争と平和に付いて、考えさせられます。全視協でも、「視覚障害者の9条の会」の結成が進められています。有事立法など、戦時立法が着々と成立し、それに呼応するかのように障害者や高齢者の福祉を奪う法律ができています。今こそ私たちは、憲法9条の大事さを痛感させられます。
また、生活が苦しくなると、無資格業者の増加がますます激しくなり、私たちの生活をいっそう圧迫して来ます。先日の福祉機器展でも、「フットケアー」と称して、カルポートという公共施設で、堂々と無資格マッサージが行われました。私たちはこういうことにも注意を注ぎ、自分たちの生活を守るため闘っていきましょう。
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