みちしるべ No192 2007年5月号

目次(ページ内リンク)
 こんな風に変わります  正岡 光雄 
 広島の青学総会に参加して  中平 晃 
 視覚障害者にとっての自立支援法 パート9  藤原 義朗 
 「視覚障害者対応ATM」  井上 芳史 
 冷や汗をかいた1本の電話  畠山 俊恵 
 編集後記  片岡 慈仲 

こんな風に変わります
正岡 光雄
  *「うれしい話」
前号「むかっ腹の立つ話」でお約束しましたように、今回は「うれしい話」をお伝え
します。

  その1 音響信号機設置箇所
 「ピヨピヨ」、「カッコーカッコー」の音響信号機が、本会交渉で出された希望も入れて設置されました。私達の要求運動のいわば「バロメーター」でもありますので、ぜひご覧下さい。
 1. 香川銀行高知支店前、はりまや町2丁目交差点(新設)
 2.高知市桜馬場交差点、川村方前(新設)
 3.知寄町3丁目電停交差点(新設)
 4.上町5丁目電停交差点(更新)
 5.高知信用金庫越前町支店前(更新)
 6.高知市東石立町、昭和シェル石油店前(新設)
 7. 香美市土佐山田町西本町1丁目交差点(新設)
 以上です。皆さんのお近くにもぜひ付けてほしい、という箇所がありましたら、正岡まで(088−822−7003まで)ご一報下さい。
 なるべく住所やお店など目印もお知らせ下さい。県警と掛け合いますから。なおこれまでの実績は毎年5基程度です。また古くて故障がちの所もお願いします。昨年はソーレ前につきましたが、ピックス方式もまた手押し式でも結構です。

  その2 今年も6月30日に「知事と語る障害者の集い」第3回を行います。たくさん参加して下さい。
 堀内佳、上田真弓の見事な司会で好評の、「知事と語る障害者の集い」は、6月30日(土曜日)5時30分より、恒例になった「高知城ホール」で行われます。先日第2回目の実行委員会が開かれ、大体の骨組みが決まりましたのでお知らせします。
 実行委員会は障高連、県身連、難病連の
3団体で構成され、県下ほとんどの障害者団体が含まれております。
 第1部は、昨年12月国連総会において満場一致で採択された、「障害者権利条約」をテーマに、立正大学社会福祉学部準教授、中村尚子(たかこ)先生による講演を予定しております。
 第2部は、「皆で楽しく飲もう!」ということで、アトラクション、「障害者体験」、知事さんのカラオケ等、盛りだくさんのプログラムが企画されます。
 どうか皆さん!今回もたくさん参加していただき知事さんとも杯を交わしましょう。

  その3 次の参議院選挙から、選挙公報(選挙のお知らせ)が録音版でも出されます。
 これもまた、昨年行われた交渉の成果です。録音版の「選挙のお知らせ」を希望される方は、正岡(088−822−7003)までお知らせください。
それから今まで日本ライトハウスで印刷していた点字版と併せて、本会に委託されます。
 7月に入ると「印刷部」は大忙しになりますが、スタッフの皆さん、大奮闘してください。

  その4 点字図書館開館40周年
記念交流会10月予定
 高知点字図書館は全国でも数少ない公立の点字図書館ですが、英語の点字本をはじめ最新の点訳本などもどしどし作られ、全国各地の読者からも大いに期待されております。それだけに「指定監理制度」導入の動きは大変気になるところです。
 今年はこの点字図書館がオープンして
40年になります。
 図書館としてもすばらしい「記念イベント」を企画したいと、吉井館長さんは利用者の皆さんにも協力を呼びかけております。
先日視覚障害者団体や、点訳、音訳ボランティアの代表ら10名が集まり、意見交換会がありました。ここで、申し合わされたことはおよそ次のとおりです。
 1.行事は10月に行う。
 2.「記念講演」では初代館長の渡辺進さんを考えている。
 3.毎年行われている、利用者とボランティアとの意見交換もその中で行う。
 4.ボランティアの表彰も行う。
等でした。「出来ましたら、視覚障害者の福祉機器展も実施したい」と館長さんは抱負を語られています。
 どうぞ!ご期待ください。

  その5 県労連と障高連と組んで
雇用に取り組みます。
 先日、県労連と障高連とで「障害者雇用プロジェクト」をつくりました。まず、県内企業の障害者雇用率の数値を情報公開で出してもらい、それに基づいて成績の悪い企業を公表して、障害者を雇ってもらう計画を立てております。労働組合とそして障害者の連帯は県内でも画期的ですので、その成果が待たれます。
 県内の企業が雇用率を達成したら250人もの障害者が仕事に就けることになります。
 秋にはシンポジウムも予定しております。もちろん本社が余所にある企業の分も含めると1000人近い障害者雇用が実現することになりますので、この活動は極めて重要です。
   
その6 今年も夏に「新スタイルの
自治体交渉」を実施します。
皆さんからの「交渉してほしいこと」や、信号機をつけてほしい所など、どしどしご意見をお寄せ下さい。また、たくさんの方の参加をお願いいたします。要求の実現に大いにプラスになります。
 昨年も交渉によって多くのことが実現しました。いろいろな方からの点字の文章も来るようになりました。また実現までの時間もずいぶん早くなりました。行政の守る会に対する見方もずっと好意的になりました。
財政は厳しいなどといわれる折から、黙っていては何も前進しません。それだけでなく、今行われていることもどんどん切り捨てられようとしております。皆で頑張って私達の住みよい高知県にするよう是非ご協力下さい。

広島の青学総会に参加して
              中平 晃
 4月29日、30日に、2007年度青学総会が広島で行われました。高知の青学部員として、杉本さん、中平、大阪から吉岡さんの3名で参加しました。
広島に集った参加者は日によって多少変わりましたが、13〜15名程度だったと思います。
 1日目の29日は観光で、リバークルーズと原爆史料館見学でした。原爆の影響で多数の釘が1つに固まったものや、くっついたり変形した皿や瓶などを触ってきました。原爆の恐ろしさを再認識しました。
 懇親会はラーメン居酒屋でした。コース料理を味わってきました。
 2日目は総会を行いました。青学部員を増やすにはどうしたらいいかなどについて話し合いました。

 最後に、高知の守る会の情報はRSSで配信しています。マイニュースやその他のRSSリーダーのソフトを使用すると、簡単に事務局便り、みちしるべ、おすすめイベントガイドなどを読めます。今回、広島で会った県外の方が、高知の守る会の情報を、RSS配信を使用して読んでいるといってくれました。RSS配信が実際に役立っていることが分かりました。今後も本会の活動を多くの方に知っていただけるように工夫していきます。

視覚障害者にとっての自立支援法 パート9
藤原 義朗
 障害者自立支援法の実施から、1年以上たちました。応益負担の問題、高知市や県および国、制度による上限額の引き下げ、日常生活用具の支給に締め付けなど動きが激しくなっています。
 また、介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の議事録を見ると、自立支援法との統合が水面下で進められていることがうかがわれます。
 さて、今回は障害者自立支援法が本来の自立の目的を果たすために大切なシステムである「異議申し立て」について説明させていただきます。
 私は、昨年4月、法実施直後に、ホームヘルパーによる音訳を求めて介護給付の申請を行いました。9月に高知市より却下通知が来た為、不服審査請求を起こしたのです。自立支援法の給付に関する異議申し立ての方法は、ホームヘルパーや補装具など、自立支援給付の場合は障害者自立支援法による異議申し立て、ガイドヘルパーや日常生活用具など地域生活支援事業に関するものは、もともと市町村事業であるため行政不服審査法による異議申し立てになります。
 私の場合、ホームヘルパーに関する異議申し立てですので、障害者自立支援法による申し立てになります。

【経過】
06年4月 ホームヘルパーによる音訳のみの介護給付を高知市に申請。障害程度区分のための調査やサービス意向のための聞き取り。医師意見書提出。
 9月 高知市より却下通知。
10月 高知県知事に対して障害者自立支援法第97条により異議申し立て。
11月 処分庁(高知市)より弁明書提出、申請人藤原より反論書提出。
12月 高知県に、処分長(高知市)および申請人・藤原がそれぞれ口頭意見陳述。
07年1月 高知県障害者介護給付費等不服審査会(委員5人)開催→高知県知事へ答申。
1月 高知県知事より裁決書交付。
4月 介護給付支給決定(家事援助 月5時間) 音訳のみのホームヘルプ。
5月 障害福祉サービス受給者証受け取り。

【主な争点】
 私は毎日のおびただしい墨字情報の読みを高知点字図書館や高知県立図書館の対面音訳で読んでもらっていますが、それではまったく足りません。
 社会保障審議会障害者部会の資料を見ると、ホームヘルパーの家事援助の中に視覚障害者への代読代筆は入っています。しかし、高知市から厚生労働省に問い合わせると、それは身体介護や掃除洗濯など一般的なヘルプをして余った時間の中で代読代筆がある、おおむね全体時間の3分の1まで、という解釈でした。
 ところが、視覚障害者で対面音訳まで行ける人は一部ですし、対面音訳では時間に限りがあります。墨字洪水の中、「音訳のみはだめ」というのは実態に合っていません。在宅や出先での音訳保障は必要ということで請求を起こしました。

【県に示した資料は】
・高知市情報計画化案
・高知県障害者計画
・みちしるべ「支援費制度でどうする」
パート5
・ホームヘルプ実務実施問答集
・社会保障審議会障害者部会資料
その他、口頭意見陳述の時には視覚障害者の情報環境について説明
【裁決書】
 1月末に、高知県より墨字とフロッピーで送付されてきた裁決書を貼り付けます。

18高障害第1586号 裁決書
(審査請求人)氏名 藤原義朗        
住所 高知市上本宮町239−38
生年月日 昭和35年2月1日    
(処 分 庁)名称 高知市長         
審査請求人が平成18年10月24日付けで提起した介護給付費の支給決定処分に係る審査請求について、次のとおり裁決します。

主文
処分庁が平成18年9月22日付けで審査請求人に対して行った却下決定は、これを
取り消します。

裁決の理由
第1 審査請求人の主張及びその理由
(1) 審査請求人の主張
「高知市長が行った平成18年9月22日付けの審査請求人に対する介護給付費の支
給決定に係る処分を取り消す」との裁決を求める。
(2) 審査請求の理由
私信をはじめ、新聞や書籍など紙による情報はおびただしい量があります。しかし、それを視覚障害者に読んでもらえる社会資源はわずかしかありません。
点字図書館などでの対面音訳を月4から5時間利用していますが、時間が限られ情報
を持ってその場所へ行かなければなりません。在宅や出先での対面音訳を望みます。

第2 処分庁の弁明
本件審査請求に係る請求人が障害者自立支援法の利用意向調査のときに希望した「音訳のみの家事援助」は、ホームヘルプサービスに規程される業務内容の範囲を逸脱し、利用要件に該当しないとして却下したものである。

第3 審査請求人の反論
高知市障害者計画(平成17年3月)や、高知市情報計画案に対するパブリックコメントの回答も、情報保障の必要性を高知市は謳っております。したがって、高知市は音訳のみの依頼であってもホームヘルパーによるサービスをするべきです。
たとえ、それができないとするのであれば、地域生活支援事業でのコミュニケーション事業による音訳者派遣を立ち上げ、在宅や外出先へも派遣できるようにするべきです。

第4 本審査庁の判断
争点について不服審査会に諮問し、答申を受けた内容を基に判断した結果は次のとおりです。
(1)不服審査会の答申を受けての判断
平成9年7月25日付、厚生省大臣官房障害保健福祉部障害福祉課身体障害者福祉係長、身体障害児福祉係長等連名事務連絡で、視覚障害者に対する家事援助の業務として、郵便物・回覧板等の代読が示されていることから、「音訳のみの家事援助はホームヘルプサービスの本来業務と言えない」との理由だけで介護給付費の支給申請を却下すべきではない。
(2)結論
本件について、審理した結果、上記のとおりであり、処分庁が審査請求人に対して行なった却下決定は妥当なものとは認めがたいことから、本件審査請求はその理由があるものと判断する。
よって、主文のとおり裁決する。
平成19年1月22日
高知県知事 橋本 大二郎

行政事件訴訟の提起について
裁決に不服があるときは、裁決があったことを知った日の翌日から起算して6ヶ月以内に行政事件訴訟法に基づき訴えを提起することができます。
なお、原処分の取り消しを求める場合は、処分庁を被告として高知地方裁判所に提起
することになります。

【コミュニケーション事業による
音訳と点訳】
 地域生活支援事業の中にコミュニケーション事業があります。当初は、聴覚障害のある人に対しての手話や要約筆記が主な内容でした。しかし、06年7月の厚生労働省の資料によると、視覚障害者に対する点訳および音訳も入ることになりました。
 これには全国視覚障害者情報提供施設協会などの運動が、背景にあったのだと思われ
ます。
 さて、10月に入り音訳を始めた自治体はあったのでしょうか、07年2月現在、全国30余りある中核市の中で始めた自治体はありません。鹿児島市で「声が上がり何とかしなければ」と思っている段階です。
【考察】
 四国で初めての不服審査請求ということで、県も市も請求人も初めての作業であったが、実際におかれた視覚障害者の実態を示すことで、どうしたらいいのでしょうと、一緒に考えていく場が持てたこと。それが却下の取り消しにつながった。
 なお、高知県の不服審査委員の先生方は次の5人の方です。
 田中整形外科病院 医師 田中稔正
(たなか としまさ)
 細木ユニティー病院 医師 高坂洋一郎(たかさか よういちろう)
 高知女子大学 助教授 吉野由美子
(よしの ゆみこ)
 桟橋みどりクリニック 精神保健福祉士 上甲由佳(じょうこう ゆか)
 高知県社会福祉協議会 常務理事 
上岡義隆(かみおか よしたか)


2.資料集めが大切:「法律は自分有利に読め」という言葉がありますが、そのためには有利な資料を集めておかなければなりません。また、行政の計画やパブリックコメントなどへはしっかりと実態と意見を示して、有利な回答を作っておきましょう。それが肝心な時に役に立ちます。

3.裁決書交付から支給決定まで時間がかかっています。元気いきがい課長に会うたびに、「裁決書が出ても、それで給付できるというわけではないですよ」とか「音訳に応えられる事業所は無いみたい」など、いろいろプレッシャーがかけられました。
 また、高知市から全国の中核市に対して、ホームヘルパーによる音訳や情報コミュニケーション支援事業での音訳について一斉アンケートをとっています。
 つまり、財政が非常に逼迫(ひっぱく)している中、ひとつの事業を起こすのにはそれだけ全国の様子を見ながらの動きになっているのです。
 聴覚障害者の団体が手話と要約筆記に絞って集中した闘いを示したように、私たちも音訳保障を求めて、全国あちこちで運動を起こしていくことが必要です。

4.不服審査請求は、地方自治体の勝手な暴走に対し、ストップをかけていく大切な役割があることがわかりました。また、地域間の格差をなくしていく為にも必要なシステムです。
 昨年、介護保険での高知県(高知市は除く)での不服審査件数はたったの5件でした。異議申し立て手続きには代理人を立てて闘うこともできます。また、公的・私的な相談員の方に手や目を借りて行うこともよいでしょう。
 全国から、また、高知県のあちらこちらから、火の手をあげ、視覚障害者の権利を守り発展させていこうではありませんか。

  「視覚障害者対応ATM」
             井上 芳史
 金融機関でお金を引き出す場合には2つの方法があります。
 1.窓口での取り扱い:お金の引き出しで「窓口の方から代筆は出来ない」「ヘルパーに手続きをしてもらうのは確認が出来ないので不安だ」とよく聞きます。私たちの願いは係の方が2人いて1人が代筆・もう1人が確認するという体制を取ってくれることです。
 2.ATMでの取り扱い:最近のATMはタッチパネル形式になっており、全盲の方が使用するのは不可能です。弱視の方がディスプレイに顔を近づけて操作しようとすると、「ディスプレイに物を置かないでください(私の顔は物か?)」と警告され操作が難しいのが現状です。視覚障害者に取って使いやすいATMとして受話器から流れてくる音声ガイドに従って操作する方式です。ATMの横にある受話器を取れば、お引き出しは1のボタン・残高照会は4のボタンなどと流れて来ます。そこで1のボタンを押し、次に「暗証番号を押してください」と流れ、暗証番号を押します。次に金額、全て数字ボタンで行ないます。ほとんどの郵便局はこの形式です。そして、土日でも手数料がいりません(民営になるとどうなるでしょうね?)。さて、高知に本店のある代表的な銀行の設置状況を報告します。
 「四国銀行」
設置場所 台数 機能(点字・音声ガイドの有無、○は有り)営業時間(平日・土日祝)
本店営業部 1 ○ ○ 8:00-21:00・9:00-19:00
上町支店 1 ○ ○ 8:45-20:00・9:00-17:00
高知市役所支店 1 ○ ○ 8:45-17:30
高知医療センター 1 ○ なし 8:45-18:00・9:00-17:00
イオン高知 3 ○ なし 10:00-21:00・10:00-19:00
福井支店 1 ○ ○ 8:45-20:00・9:00-19:00
秦泉寺支店 1 ○ ○ 8:45-20:00・9:00-17:00
サティ出張所 1 ○ ○ 8:45-20:00・9:00-19:00
万々支店 1 ○ ○ 8:45-19:00・9:00-17:00
高岡支店 1 ○ ○ 8:45-19:00・9:00-17:00
下知支店 1 ○ ○ 8:45-20:00・9:00-19:00
中村支店 1 ○ ○ 8:45-19:00・9:00-17:00
伊野支店 1 ○ ○ 8:45-19:00・9:00-17:00
本件のお問い合わせ先は総合企画部の
谷まで
「高知信用金庫」
高知市役所、越前町支店、高知医療センター
 「高知銀行」には設置されていません。

  冷や汗をかいた1本の電話
             畠山 俊恵
 これは、今から30数年前、私が盲学校を卒業して間もない頃の話です。今思い出しても笑いが込み上げてきますが、その時は本当にどうしようかと思ったことでした。 
 まだ独身だった私は、西新屋敷のアパートで独り暮らしをし、その頃枡形にあった「シブヤ鍼灸院」という所に勤めていました。 
 ある朝のこと。出勤前の忙しい時間に、私の部屋の電話が鳴りました。 
 「もしもし!」と私。すると女性の声で「中島と言いますが、昨日主人が治療して貰いましたが、今朝は痛くてよう起きん、ご飯もよう食べんと言っています。」といきなり言われたのです。私はびっくりして、前日に治療した人を思い出していました。
 昨日、マッサージをしたのは5人。その内の4人はいつも来て下さる患者さんでした。  
初めてという方が1人いましたが、中島という名前ではなかった。いったい誰のことだろうなどといろいろ考えていました。けど、 店ではなく、私の家の電話番号を調べて掛けてくるのだからよほどのことだ。「どうしよう!」と困り果てた私はその方にいろいろ質問してみました。 
 私「起きれない、ご飯も食べれないとは 
どんな感じの痛みですか?
 中島「いやあ、よく分かりません。」
 私 「どこが痛いがですか。」
 中島「さあ、ちょっと…。」
 私 「熱が出たりしているのですか?」
 中島「それはないです。」
 私 「揉んだ後の皮膚が痛いがでしょうか。」
 中島「いやあ、よく分かりませんが、何か   穴を開けて神経を取ったと言っていました。」
その言葉を聞いて、私は心の中で「なあんだ!」と思い、今まで真剣に話を聞いていた自分がおかしくなりました。 
 私 「ああ、それなら違います。」相手に   
散々喋らせておいてそれはないだろう。 
 中島 「ああどうもすみません。」と言って慌てて電話を切りましたが、その中島さんという方も「一体自分は誰と話していたのだろう。」と思ったことでしょう。 
 実は、私の電話番号は、以前にある歯医者さんが使っていたらしく、しょっちゅう間違い電話が掛かって来ていました。その朝の電話も、その歯医者さんへの苦情の電話だったのです。 
 私が最初に自分の名前を名乗らなかったのが間違いの始まりですが、いきなり「昨日治療して貰った」と言われたら、私も一応治療家です。「マッサージをして、翌日起きられない、ご飯も食べれないほど具合が悪く なった。」と聞けば、「それはえらいことだ。どうしよう…。」と頭の中が真っ白に   なってしまいました。それこそ、冷や汗を かいた1本の電話でした。      

編集後記
             片岡 慈仲
 今年の秋、高知点字図書館は40周年を迎える。また、この4月からは日点と日本ライトハウスが力を合わせ、ないーぶネットやビブリオネットを充実・強化し、一定のパソコン機器を持っている個人に対してのオンラインリクエストの受け付け、点字図書データ提供と共にデイジーデータの自宅配信も本格化される。一方最近の調査では、カセット テープ図書の存続を求める声が70パーセントに上ることも明らかになった。
 このように視覚障害者を取り巻く情報 環境も遅蒔きながら発展してきてはいるが、私たちの間の情報格差もますますひどくなることが心配される。
 私たちにとって最も身近な情報提供センターである高知点字図書館の役割は、40周年に当たり一層重要となってきている。必要な情報をより適格に自分の手で獲得できるような、地に足のついたパソコンを中心とした情報機器の使い方の指導など、率直な希望を点字図書館に寄せ、より良い私たちの図書館に育てていきたいものである。
 ところで、私たちの会報「みちしるべ」も 
中平君の努力でインターネットに公開されている。全く知らない人も私たちの会報を閲覧できる。良かれ悪しかれ、まさに情報化時代である。
 6月17日の守る会総会には、皆さんの積極的な要望を出して下さい。また、久しぶりに語り合いながら、ビールを飲みましょう。



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