みちしるべ
No195 自治体交渉報告特集号

目次(ページ内リンク)
 こんな風に変わります 「今年の自治体交渉」を振り返って  正岡 光雄 
 町づくりに関する交渉  有光 勲 
 「介護で足りない部分は自立支援で」  藤原 義朗 
 2007年夏の交渉、あはき問題  森本 
 子育て支援と消費者問題(サラ金関係について)  畠山 俊惠 
 2007年8月16日 守る会陳情交渉報告  中平 晃 
 県・高知市陳情報告  片岡 慈仲 
 8月23日(木)高知市との陳情交渉報告(保健医療課・交通安全課・道路関連各課・電車関連・住宅課・子育て支援・元気生きがい課) 生田 行信 
 「8月30日の交渉」報告(広報・図書館・災害・特別支援教育・消費者問題について)  井上 芳史 
 地震防災対策課及び障害福祉課との交渉  山崎 辰雄 

こんな風に変わります「今年の自治体交渉」を振り返って
正岡 光雄
 この夏も県庁や高知市役所への「自治体交渉」を行いました。会員の皆様から寄せられた「要求事項」を元に「07年度陳情書」を作成しました。
そのあらましについては「みちしるべ号外」でお知らせしましたが、今回は「要求検討委員会」が立ち上がり、活動を開始しましたので、今までよりもずっと整った「陳情書」が出来上りました。それから今回、交渉継続中に予定外の新たに2度もの交渉が入りました。
 皆様からの交渉への参加や「要求書作り」に対する心からのご協力に感謝申し上げます。 
 以下今回の交渉を振り返って、「検討委員会」での意見を元にまとめてみました。 


(1)参加状況
今年も各々2名ずつの「交渉担当責任者」を中心に実施しました。

  表.各交渉ごとの参加人数
・実施日/責任者名/参加人数
 8月2日/台風のため次週に延期
 8月9日/「前半」有光、藤原 「後半」
森本、畠山/8
 8月16日/片岡、中平/10
(内非会員1)
 8月23日/生田、大野/9
 8月30日/井上、濱口/10
 9月2日/正岡(予定外、県立図書館)/6
 9月6日/正岡(予定外、JR高知駅改修、トイレ等の音サイン他)/7
 9月7日/山崎辰雄/11(内非会員1)

(2)実った要求、改善された点
@高知市「元気生きがい課」 日常生活用具品目の拡大要求では、「必要度の高いものを上げて見てほしい。」との藤原課長の提案に対して「ものしりトーク」や「アイタッチトーク」等をリストアップした。また「ICレコーダー」の適応やコミュニケイション事業への読み書きサービス採用などのみで極めて前向きの回答があった。
 A読書権 県立及び市民図書館において、視覚障害者対応の図書目録検索が実施へ後一歩の段階に来た。また「県立」においては、夜間の音訳サービス「対面朗読」が認められるとともに、各地域での公民館や大学図書館等における、同サービス実施に向けての検討が約束された。音訳者及び図書館職員に対する「スキルアップ」研修も実施された。点字図書館においては、委託朗読及び蔵書目録のデイジー採用が実現されることになった。市民図書館においては、昨年作成のCD版の点字目録「ポップス、演歌」に加えて本年にはその追加版として、「クラシック及びオペラ編」が10冊分作成され、同館及び点字図書館、「守る会」等に置かれている。
 B警察 駐車禁止除外は、警察において「受給者証」を貰うと、どの車でもOKとなった。また音響信号機設置箇所一覧のデータも提供された。
 C高知市の広報「あかるいまち」でのメール版、県広報「さんSUN高知」へのトーンインデックス採用も約束された。 

(3)今後の課題
 @役員の参加は定着したが、参加者をもっと増やすために、さらに多くの会員の方への協力を呼びかけたい。交渉においては、「質問」と同時に積極的に提案も行いたい。例えば、視覚障害者の雇用においては「トライアル雇用」等。またパソコンの技術を役所の方に見て貰う(これは実現することになった)。
 A職員は情報不足気味なので、こちらからの情報提供も大いに必要になっている。当も認識した。
 B交渉時間の配分は必要度に応じて調整されるべきである。ただし、これについては行政側からの理解と協力が得られにくい可能性も強い。
 以上ですが皆様からのご意見をお聞きしたいと思います。

町づくりに関する交渉
              有光 勲
 8月2日に予定されていた街づくりと 福祉サービスに関する県との交渉は、台風のため9日(木)に延期されました。その内町づくりに関する交渉の概略を報告します。参加者は8名で、13時30分から約1時間行われました。
 
  警察本部交通規制から(2名)
 音響信号機増設希望箇所について…桟橋4丁目電停交差点は15年12月に設置済みである。田野町芝入口前バス停には、今年度設置の予定である。朝倉駅前交差点については、以前にも回答したように交差点が複雑になっているため、仮に音響信号機を付けたとしても利用しづらいのではないかと思われる。道路改良がなされるようであれば、設置を検討したい。旭町3丁目電停交差点については、歩道が狭く信号機のための柱を立てることができない。道路管理者等と話し合いを持ち、設置可能かどうかを検討しているところである。設置箇所の候補には挙げている。
改善希望箇所について…旧ワシントンホテル前の交差点の信号機が鳴っていないとのことであるが、そこには音響信号機は付いていない。設置希望箇所ということで候補に挙げておく。旭駅前電停交差点では音が一部しか鳴らないとあるが、よく理解できないので、後日利用者立ち合いの下で調査し改善 したい。上町2丁目交差点の音が小さいということであるが、これも利用者立ち合いの下、調査した上で改善したい。山ノ端交差点南北方向のピヨピヨが3回しか鳴らないとあるが、実際は4回鳴っている。前回にも回答したように、歩車分離式になっているので止むを得ない。
 電車・バスの始発から最終便まで音響の作動を…電車の運行時間は始発は5時48分、最終は22時51分である。7時から22時の作動で了解して貰いたい。信号自体が22時前に点滅になっている所もあり、苦情があって停止を早めた所もある。住民から苦情が出た場合は、当然説得する必要もあるが、その際利用者も同行して貰えるとありがたいので、是非協力をお願いしたい。 
横断歩道について、上町2丁目交差点の横断歩道の白線が薄くなり見えにくい…今年3月8日に補修済みである。
 駐車禁止除外車を固定しないで、どの車への乗車の場合も適用を…警察庁で検討の 結果、対象車両ということでなく駐車禁止除外標章を個人への交付が6月2日から施行されている。標章の目的外使用等については、問題のないよう、その管理は充分注意して貰いたい。
 なお、昨年度回答できなかった部分について説明する。ピックス信号の導入経緯については、団体の意見を聞いて付けたというのではなく、こちらのほうで判断して設置した。設置箇所については意見を聞いてそれに従った。反射シートの購入先は、日盲連用具購買所で1枚700円で販売されているとのことである。
 音響信号機の音を青から点滅に変わる少し前で止めている。点滅になるまで音を鳴らしたほうがよいかどうかこちらでは判断できないので、後日意見を聞かせてほしい。
 
  県、道路から(2名)
 工事等でバス停を移動した際、点字ブロックも移動を…そのように充分注意する。 
 点字ブロックの材質・色・敷設方法等について、関係業者に対して周知を…これらについては、道路の自動円滑化整備ガイドラインに詳しく記載されているので、これを参考に整備することにしている。土木事務所や高知市には照会しているし、今後もなお一層周知に努めていくようにしたい。 
 点字ブロックの敷設工事に際しては、当事者の事前チェックを可能に…道路工事等で点字ブロックを敷設する場合には、事前に見ていただき確認したいと考えているので、今後もこれまでと同様協力をお願いしたい。 
 歩道の安全管理を徹底し、視障者が安心 して歩けるように、国からの2度にわたる通知を守り、歩車道の段差2cmの堅持を…これから整備を行う横断歩道の段差は国の通知に基づき横断歩道部での段差は2cmとする。 
 道路工事等で視障者の歩行が制限される場合、事前に連絡を…迂回路を設置するなど、安全に通行できるよう表示や誘導を行なっている。また、通行制限を行なう歩道に点字 
ブロックが設置されている場合に、交通誘導員での誘導か、もしくは仮設の点字ブロックを敷設するなど、安全に通行できるよう配慮したいと考えている。 
 歩道にあるポールを、歩行者の邪魔にならないよう移動を…移動の必要がある具体的な場所を挙げて貰えれば、それが可能であるかどうかの検討を行いたい。 
 歩道での駐輪等で歩行者の邪魔にならないように…不法駐車などの歩道上の障害物については、市町村と一緒に交通安全の県民運動として、人に優しい交通環境の改善に向けた取組みを進めていきたいと考えている。  
 全ての溝に蓋を、両側に側溝がある場合は片側だけでもグレーティングの設置を…山間部などの道路を含めて全ての側溝に蓋をすることは困難である。但し、歩道に接して側溝がある場合は、蓋を付けることを原則としている。グレーティングについては、工事の道路の排水処理のため、道路の勾配などを 
考慮し、どうしても必要な箇所に設置している。基本的には経済的なコンクリートの蓋を設置している。

「介護で足りない部分は自立支援で」
藤原 義朗
 介護保険法と自立支援法の介護給付について、その区分認定や給付、契約などで介護保険に関する部分を高齢者福祉課が回答しました。
 守る会の介護保険対象の方も多くなってきました。また、統計的には視覚障害者の
大部分が介護保険の対象です。

1.「不一致にならないことはない」と言うけれど
 65歳以上は、まず介護保険が優先で、その上に自立支援給付があるという考え方であり、不一致はないという回答でした。守る会からは昨年の改正介護保険で要支援になった人など給付回数が制限されているのではないか。自立支援法では、負担に応能への見直しがされているのに、65歳になったとたん応益ではおかしくなるのではないかと反論しました。介護保険で足りないサービス量がありましたら、勇気を持って自立支援法で申請してください。

2.事業所との契約は利用者との間で
 契約が分かるよう点字や録音などでという要望をしましたが、「事業所とよくお話ください」と、いう回答でした。居宅事業の大手であるニチイ学館も800事業所がありますが、そのうち点字契約書を作っている所はありません。コムスンが譲渡売却されるとき、事業所認定の際、契約書が視覚障害者に分かりやすくできているか考慮に入れてほしいとお願いしました。

3.外部サービス利用型
 今まで養護老人ホームなど措置施設での介護は当然、施設が保障するものでした。
しかし、昨年の法改定で介護保険のサービスを利用できるようになりました。ところが、これには負担がかかってきます。県は、利用するのだから負担は当然という態度でした。この負担額は、収入により負担割合が違います。右手で負担割合表を持ち反論しようとしましたが、県の方が細かい資料を持ちえてなく、それ以上は押せず、要望という形になりました。制度利用の際、「矛盾がありましたら、どうぞご相談ください」と、優しくおっしゃいました。今後、社会保障の理念を盾に闘っていくことが必要です。

2007年夏の交渉、あはき関連
担当者 森本
8月9日(木曜日)午後15時から
出席者人数:守る会9名、薬務課3名、県警2名で交渉を行いました。
今回の陳情項目は核心的な内容では有りませんが、無免許マッサージ関連として下記
の3項目を要望した。
一、無免許による按摩、マッサージ、指圧業者及び無免許者を他県並みに、厳正かつ
敏速に取り締まってください。
二、ホテル、旅館等に対して無免許者を使わないよう県の方で指導を徹底してください。
三、無免許による健康被害及び危険性について、広報紙などを通じて定期的に一般の方々に対して周知徹底してください。

薬務医療課の回答
@さんさん高知、HPなどで広報はしている。
Aホテル、旅館等に対しての指導もしている。ホテル、旅館向けの指導文書を郵送で提供する。
B過去の要望事項の一つであるHPの内容に関しては検討している。

県警の回答
@外国人が勤務しているとはいっても或程度の裏付けがないと捜査は難しい。

交渉の争点はマッサージの定義についてとなりましたが、時間的な都合もあり、通一
辺倒の回答で終わりました。特記すべきは
生田先生の頑張りであった。

子育て支援と消費者問題
   (サラ金関係)について
             畠山 俊惠
 私は、8月9日に行なわれた県との交渉を担当しました。
 
  [子育て支援
(親が視覚障害者家庭の場合)]
*小中学校課の回答
 視覚障害保護者との連絡は、電話やメールで行なっているが、記録として残しておきたいものは、テープに録音するよう指導していきたい。手軽に録音できるICレコーダーがあることも伝えたい。他に実現可能な具体例があれば教えてほしい。 
 小学校入学前の書類についても、適切な対応ができるよう、考えていきたい。 
 小学校と幼稚園・保育園が連絡会を持っている場合もある。保護者の方も「体験入学」などの場を利用して、小学校の先生に個別に家庭の状況や要望を話していただければありがたい。 
 県としても、教育委員会を通じて「公聴会」などの場で、いろいろ情報を伝えていきたい。 
  *幼保支援課の回答
 視覚障害保護者が希望する連絡方法を取るよう、幼稚園・保育園に指導していく。希望を聞き入れて貰えないという情報があれば教えてほしい。

  [消費者問題(サラ金関係)]
  経営支援課の回答
 貸金業者に「法令を守りなさい」という  指導はこれからもしていくが、「約款」等の拡大文字・点字・録音版作成等、法令の規定にないことを、指導するのはなかなか難しい。 
 ハンディーを持った方が契約に来た場合は充分説明をし、相手が納得した上で契約を交すよう、将来指導していきたい。 
 「貸金業規制法」が昨年12月に大幅に改正され、今まで各県にあった「貸金業協会」が今年12月からひとつに纏(まと)まる。各県は支部という形に変わる。全国組織になるので、要望を伝えることはできる。全国的な運動は、今後「金融庁」にしていったらよい。 
  
[質疑応答]
 「契約の際に、業者が言ったことを証拠として残す方法はないものか。」「自己防衛策」としてテープに録音するとか、分かる人と一緒に行くということも必要だと思う。 
 「データをフロッピーなどで提供して貰えないのか。」貸金業者にはデータがない。東京の連合会にはあるかもしれない。 
「契約で電子署名はできないだろうか。」 
貸金業者では、目の前で説明をして、契約することになっているので、パソコン契約はできない。
 「万が一、貸金業者とトラブルがあった場合にはどうすればよいのか。」そんな時は、県の「経営支援課」に相談してほしい。月に1度「弁護士相談会」も開いている。

2007年8月16日守る会陳情交渉報告
中平 晃
8月16日(木)13時から15時にかけて鷹匠庁舎2階街づくり推進課会議室で、高知市と、無免許マッサージについて(地域保健課)、雇用就労について(人事課)、障害者福祉について(元気生きがい課)の交渉を行いました。
また、15時から17時にかけて県庁西庁舎7階会議室で、高知県と、読書権について(生涯学習課・県立図書館)、消費者問題について(県民生活課)、雇用就労について(人事課・人事委員会)の交渉を行いました。
参加者は10名でした。雇用関連を簡単にご報告させていただきます。
 さて、本会は30年に渡って公務員の採用受験に点字受験を実施してほしい旨を陳情しています。
 市との雇用就労関連では、陳情への回答が昨年とほぼ同様で、点字受験のために点訳などを行う期間がないとのことでした。会場でのやりとりでこの問題が解決すれば点字受験を実施するといっていました。
 県との雇用就労関連では、人事課の交渉担当者は去年と同じ方でした。そして、陳情への回答が昨年とほぼ同様で、業務のアウトソーシングや職員数を減らしていること、庁内に活字が使用できない重度の視覚障害者が行える業務がないことを理由として、点字受験を実施していないとのことでした。
そこで県外で点字受験を実施している所ではどのような仕事が行われているかを聞くと、これまた回答が昨年とほぼ同様で、何年も前のデータをもとに、理学療法士や電話交換手などをあげました。
そこであらかじめ調べておいた19年度点字受験を実施している自治体の一例の資料を見てもらい、事務職採用でも点字受験を実施していることを述べました。
 次に、昨年とほぼ同じ質問として、重度の視覚障害者でもパソコンを活用してできる仕事があるが、そういう状況を見たことがあるか、音声パソコンを見たことがあるかを聞くと、ないという回答でした。
昨年の陳情交渉から丸一年経っても、勉強を何もされていないことがよくわかりました。人事課の方は、今回の陳情交渉へ向けて、下記の点を調査しておく必要があったと考えます。
1、活字が使用できない重度の視覚障害者が行える業務について理解する。
2、点字受験を実施している自治体が重度の視覚障害者を採用するにあたり、どのような業務を想定しているのか調査する。
3、庁内に重度の視覚障害者が行える業務があるか調査する。
上記の点を調査せずに、庁内に重度の視覚障害者が行える業務がないことを理由として、点字受験を実施しないというのは、あまりにお粗末です。
また、ここ数年の陳情交渉で、人事課の回答として、業務のアウトソーシングや職員数を減らしていること。この2点がでています。しかし、好景気の年でも点字受験は実施されていませんでした。これ幸いと後ろ向きな回答が追加されたような気がして釈然としません。
 最後になりますが、陳情交渉に参加された皆様、県、市の各課の担当者の皆様、ありがとうございました。

*10月5日追記
 今年、県庁に健康福祉部障害福祉課障害者就労支援チームが新設されました。今度、就労支援チームと人事課の方に、音声パソコンを使用している様子を見て貰うようになりました。

県・高知市陳情報告
             片岡 慈仲
 私は8月16日に中平君と共に担当しました。中平君が雇用に関連する部分を書いてくれたので、それ以外の課について報告します。

  *あはき問題(市地域保健課)  
1.昨年、届出を行なっている施術所を訪問し、有資格者が業をしていることを確認の上、「届出済」プレートを配布した。所在地に施術者が存在しない所が70施設あった。  
指摘のあった無資格者を雇用している所は 
1施設調査した。免許証と身分証明書の両方で確認している。2回調査に行ったが2名休んでいたので、盆明けに更に調査する。  「ビッグワン」のように、施術所が廃止された所はプレートを返して貰うが、もし他の 人が使った場合は番号を入れてあるので分かるようになっている。無免許者が働いている所があればすぐに知らせてほしい。「クオン」には調査に行く。
 2.ホテル、旅館等への指導…旅館組合などには、プレートの確認と併せて身分証明書の確認をして業者を雇用するよう指導している。過去には文書も送っていたが、最近はそれはしていない。
 3.健康被害・危険の広報…無免許マッサージは違法行為であり、健康に害を及ぼす虞があることをホームページで知らせている。

  *市元気生きがい課
 IT関係…来年度以降もパソコン講座は行なう。パソコン本体への購入助成は困難。カルテ用ソフトなど業務用ソフトを助成できるかどうか検討する。
 広報…希望者にはメールで配信することはできるので、申し出てほしい。
 福祉のしおり…テープ版とデイジー版も 作成した。
 ヘルパー…入院時のヘルパー派遣は現行制度では認められていない。子ども連れの場合のガイドヘルプは親への支援が優先とはなるが、事業者の判断により子どもへの配慮も可能である。投票所へのガイドもできるが、投票所内ではそこの係員が誘導するのが原則である。片道のみのガイドも認めるようにする。事業所一覧は毎年9月にお知らせしている。  
 受給者証…全文は無理だが、一部は点字化している。要望があれば大活字化にも応じるが、テープ化は難しい。また訪問による説明も実施している。契約に際して視覚障害者が困る場合、市に言って貰えば対応する。
 コミュニケーション事業…どのような ものになるかはまだ分からないが、実施に向けて検討している。
 日常生活用具…制度の変更に伴い、今見直しを進めている。こういう物を入れてほしいという希望があれば出してほしい。
 加盟表示など…国保に関しては、来年度から加盟表示だけでなく、国保料や納入日などを点字でもお知らせしたい。守る会から希望者の名簿を出してほしい。今加盟表示は市民税課、資産税課、人権啓発課、地域保健課、 
保育課、水道局料金課などで行なっている。他の課でも実施するよう元気生きがい課から要望を続けていく。

  *県生涯学習課(県立図書館)
 蔵書目録…蔵書検索システムを更新中で、平成20年3月に完成する。この際、音声システムを組み込む。 
 音訳サービス…地域の図書館や公民館での実施は、読書機会の提供として大事なことだと思っている。人材養成講習会を実施している。現在34名の登録者があり、安芸や 
室戸など、郡部にも少数ながら音訳者がいる。  またスキルアップ研修会も行なう(8月末に枚方市の全盲の図書館職員服部さんを講師として招いて、熱心に実施された)。閉館時間は火曜から金曜までは7時、土日は5時なので、この時間までは音訳サービスも利用できる。また、大学の図書館など外部に借り出せない所については、音訳ボランティアを派遣してそこで読んで貰えるようなことを検討したい。
 昨年度から郡部での対面音訳実施について県立図書館、点字図書館、県障害福祉課の三者でその仕組み作りを話し合っている。まだきちんと結論が出ていない。(当事者も交えて話し合いを続け、できるだけ早く実施してほしいことを伝えた。)
 大活字本…現在1511冊所蔵している。今年、そのリストを作成し、県下の図書館に送った。地域の図書館からでも、希望を出せば借りることができる。また、希望者にはこのリストをお渡しする。今後高齢者もますます増えるのでこれからも大活字本の購入は続ける。拡大読書器も設置する。
 新しく設けられたハンディキャップサービス担当の谷岡さんの話…東京に3日間研修に行ってきました。視覚障害者の方がいかに自分が得たい情報を得られにくいかという状況がよく分かりました。公共図書館がやらなければならないことをいかにやっていなかったかもよく分かりました。早速大活字本のリストを作り、県下の図書館に送りました。皆様からこんなことをしてほしいということをどんどん教えて下さい。拡大読書器も種類が多いので、どれがよいか教えて下さい。
    
*消費者問題(県民生活課)
 ソーレの2階に「消費生活センター」を 設けている。ここで情報提供や消費者相談に当たっている。契約等の疑問や解約したいなどあれば、電話でもよいからここに連絡してほしい。養成に応じて出前講座も行なっているので希望を出してほしい。
 「文字を読めない視覚障害者が契約書に判をつくのは非常に不安である。契約書を読むサービスを実施してほしい」
 ――その場に行って私たちが読むということはできない。障害福祉課と話し合って どうすればよいかを考えている。  

8月23日(木)高知市との陳情交渉報告(保健医療課・交通安全課・道路関連各課・電車関連・住宅課・子育て支援・元気生きがい課)
生田 行信
 8月23日(木)午後1時から、片岡さん、正岡さん、井上さん、藤原さん、中平さん、門脇さん、担当の大野、生田、会員外の角田さんの参加のもと、高知市議会第1委員会室で行われました。
 各担当課の主な回答を報告します。

【保健医療課】畑中課長
●鍼灸、あん摩補助券について
 予算の増額や適応疾患の拡大、適応年齢の60歳までの引き下げなど要望しましたが、前進の回答はありませんでした。16年度から予算は600万円の同額で、実際に使われた予算は500万円ほどで執行率は80%弱とのことなので、補助券の交付期限や枚数について更なる柔軟な対応を要求しました。適応疾患は「医療保険において療養費が適応される疾患」ということで、医師の同意書が必要な療養費の適応疾患にこだわる必要はないことを訴えました。
●保険料の納付書の点字化について〔年間の保険料と各月の保険料〕
 (来年度実施に向けて)希望者を把握したいので、予め貴団体から名簿を頂き実施に向けた検討をしたい、との回答がありました。

【交通安全課】前田係長
●音響信号機について
 音響信号機の新設は、現在のところ技術的な理由から「道路の幅員が3.9m以上」という基準があるとのことでした。また、音響信号機の音声開始・終了時刻は私達の要望が通り、HP上に掲載するので活用してほしいとのことでした。

【道路関連各課】池田道路維持課長
●点字ブロックについて
 改修、整備を要望していた富士書房、NTTプラザ付近の点字ブロックは昨年から今年にかけて改修工事が終了したとのことですので、私達の使いやすい状態になっているか確認してみる必要があります。山ノ端交差点から小津町にかけての南側と北側の歩道・誘導ブロックの改修は、19年度から21年度にかけて南側から順に工事が進められるようです。

【電車関連】岡村都市整備総務課長
●電停の安全対策について
 土電にも問い合わせた結果の回答として、線路側の柵は除けられないとのことでした。国の電停などの整備ガイドラインに設置が定められていることや車椅子の方への安全確保に必要と考えていることが主な理由でした。転落防止のための誘導ブロックを設置しているが、幅員の狭い電停には設置できていない。100を超える電停のうち29箇所がバリアフリー電停になっている。高知駅敷地内から電停への区間は車がよく往来し危ないので、点字ブロックか何らかの安全対策を要望しました。

【住宅課】畑中住宅課長、山中課長補佐
●防災対策について
 高知市の行なっている防災対策やサービスがあっても、視覚障害者はそれを知る機会がないことが多いので、積極的に広報してほしい旨を訴えました。課長からは、あかるいまち9月号に高知市の行なっている対策の広報を出すので、是非ご覧になってほしいとのことでした。


【子育て支援】
(親が視覚障害者家庭の場合)
●視覚障害を持つ親への子育て支援について:井上子育て支援課長、大西係長
 「保健師の訪問など既存の子育てサービスの中で対応する」の一点張りでした。参加した子育て経験者から、「それでは全く不十分だった。訪ねてきた保健師さんのほうが、驚いて帰っていくような状況だった。」と重ねて訴えても、回答には前進はありませんでした。障害に応じた専門性が必要なことを認識してもらえたかどうかさえ疑問です。この現状への補完になればとの思いから要望していた「ファミリーサポート事業」の無料化についても「会員制の趣旨から無料化は困難」との回答でした。じゃあどうすりゃいいんだと言いたくなる気持ちでした。
学校などからの「お知らせ」を
視覚障害者にも読める媒体で:
岡村学校教育課長
 現在は、旭小学校、市立養護学校で具体的には対応しているとのことで、直接当事者である藤原さんから対応への評価と感謝の気持ちが表されました。さらに給食費などの金銭関係についても、点字等の希望があれば対応を検討してくれるそうです。

【元気生きがい課】藤原課長
 元気生きがい課への要望事項はとても多く、また回答を文書で頂いていますので、ここではガイドヘルプと日常生活用具についてのみ報告します。
●ガイドヘルプについて
・片道のみのガイドヘルプ利用が8月から可能となりました。
・視覚障害者の親が子ども連れの場合のガイドヘルプや通院介助が実施事業所の判断により可能となっています。保育園への定期的送迎などへのガイドヘルプの利用についても検討課題として残ったままです。
・居住自治体以外でのガイドヘルプの利用については、利用はもちろん可能ですが、積極的なコーディネートまでは引き出せませんでした。
・施設入所者が実家に帰省している時の利用については、理論的には可能なはずですが、正式には回答を待っている状況です。
●日常生活用具について
・対象品目として「物知りトーク」や「アイタッチトーク」が生活上とても要望が高いことを訴えましたが、予算の枠内で1つ増やすと1つ減らさなければならない現状が繰り返されました。

「8月30日の交渉」報告(広報、図書館、災害、特別支援教育、消費者問題について)
             井上 芳史
 蒸し暑い日に高知市との交渉には7名、県との交渉には10名の参加者で行なわれました。今回は県や高知市の広報・議会便り、市民・点字図書館、災害、特別支援教育、消費者問題について話し合いました。
 1.災害について:市の防災対策課と元気生きがい課で18年度から3年間かけて、災害時の障害者の誘導や福祉避難所について検討しています。しかし、災害弱者である当事者の声を聞くことなく進められています。視覚障害者が災害に対して不安に思っていることや災害時のニーズについて調査してほしいと訴えてきました。
 2.「あかるいまち」や「市議会便り」について:来年度からデイジー版も作成したい。メール版は今年の11月頃から行なっていきたい。
 3.「さんSUN高知」や「県議会便り」について:この場でパソコンを使ってのデモンストレーションを行ないました。担当者からはメール版やRSSリーダー版についてもう一度、検討したいということになりました。
 4.視覚障害者教育について:現時点では盲学校は視覚障害の専門的な学校と位置づけています。中途視覚障害者に対し、あはきの職業コース以外に社会自立していくためのコースも必要ではないかなど話し合いました。
 5.消費者問題:貸金業者には十分に説明をするように指導しています。十分に説明を受けずに契約しないように啓発していきたい。ホームヘルプサービスを利用して読んでもらってはどうか。障害者自立支援法のコミュニケーション事業が使えないか検討してみたい。簡単な冊子の点字版の作成を検討してみたい。
 6.高知駅北東にできるトイレについて:駅周辺整備に伴い、高知市は駅の北東(以前、駅の南から北に渡る歩道橋の北側)に公衆トイレを建設します。このトイレが分かるように「音サイン」を流します。トイレの入り口を通ると「右は男、左は女」と音声で分かるようにしたい。これはJR高知駅内にできるトイレも同様に進めていきたいなどと説明がありました。

地震防災対策課及び障害福祉課との交渉
山崎 辰雄
9月7日(金)の18時から20時に県庁本庁舎2階会議室で、会員10名・会員外1名の参加で行なわれた。

1.防災対策
・視覚障害者が利用しやすい避難所の位置付けについては、具体的プランはまだ無いが早急に検討するとの回答。参加者から盲人ホームや旭のセンター等の例が出たが具体的回答はなかった。
・防災MAPの取り扱いを慎重に行い犯罪のターゲットとならないような配慮を、については、自主防災組織に対して慎重な取り扱いを求めるとの回答。それだけでは不十分との意見、5人組や手挙げ方式の例も参加者から出たが十分な回答はなかった。
・家具等の転倒・落下対策については、県・市が補助を出してシルバー人材センターの事業として金具の購入や取り付けを行なっている自治体もあり、今後県下に広めたい。ホームセンターが相談、勉強会を行なっているので利用してもらいたいとの回答。
・避難時の安全な誘導については、自主防災組織用に要援護者の手引きを作成する、点字版も検討するとの回答。
・復興に対して障害者の意見を取り入れてほしい、については、回答はなかった。

2.IT関係
・高知市以外の市町村でも視覚障害者向けの講習会を開いてほしい、については、須崎市やいの町等では障害者全般に向けて行なっている。視覚障害者だけの講習会実施は難しいとの回答。
・県、市のHPの利用に向けインターネットを活用した講習会を開いてほしい、については、生活訓練指導員がサポートしていくことで対応したいとの回答。
・パソコン周辺機器への助成の適応範囲拡大や本体も助成対象にしてほしい、については、現在の国の情報を市に提供するとともに提案・助言を行なっていく、本体は対象とはならないとの回答。視覚障害者のパソコン環境やその必要性など助成の拡大を訴えたが、十分な回答がなかった。
・パソボラ派遣の広報実績については、テレビ・ラジオで18年度14回、19年度5回。
・パソボラ派遣回数に上限を設けないでほしい、については、実績として20回で対応できているデータがあるが個別に相談にのることで対応したいとの回答。

3.雇用・就労問題
・県の雇用・就労に対する方針や県職への採用、企業での雇用促進については、個人の能力・適性・意欲などから促進していく考えで、4月から3名で専任の就労支援チームをつくりハローワークなどとも連携し進めている。また、県職採用については人事課と連携し進めたいとの回答。点字での採用試験受験については明確な回答はなかった。

4.中失者に対するリハビリの充実
・生活訓練実施状況については、19年度の途中経過は12名、79回。生活訓練を毎日実施してほしい、については、1サイクル
20回を基本とし実施しているとの回答。点字指導を行なってほしい、については、行なっているので申し込みをして下さいとの回答。
・先進地から講師を招き講習会や啓発をしてほしい、については、今のところ予定はないが、経費の補助はできるとの回答。
・在宅者の情報入手に対する講座の開催については、定期的なものは難しいが講師は可能、またルミエールサロンや個別相談で対応したいとの回答。
・視覚障害世帯が地域で孤立しないような措置を、については、意見を市町村に提案してほしいとの回答。
・常時ルミエールサロンの利用ができるように、については、第3木曜日を設定している。出張が多いため事前の予約をお願いしたいとの回答。

5.街づくり
・エレベータの音声案内の整備や部屋名表示を分かりやすいようにしてほしい、については、ホテル等に文書で依頼するとの回答。
・タクシーの点字シールの剥がれが目立つ、については、タクシー協会を通じて指導していくとの回答。
・有料道路料金割引の更新時の通知や対象車を拡大してほしい、については、本人申請に基づく制度で、事前登録、1人1台となっているとの回答。

6.読書権
・音訳サービスを地域図書館や公民館でも実施してほしい、については、市町村に投げかけていくとの回答。
7.福祉サービスの充実
・障害者及び高齢者へのサービス不一致が起こらないようにしてほしい、については、どのような不一致があるか教えてほしい、国に要望していくとの回答。
・利用の手引きの点字・拡大・録音版の作成については、点字については作成の相談をしていくとの回答。
・応益負担や家族負担の撤廃については、国に見直しの働きかけをしていくとの回答。
・受給者証・支給決定通知の点字版は難しいが、大活字併記は可能であるとの回答。
・事業所との契約書などの書類を点字・録音・拡大文字にしてほしい、については、事業所に相談をしてほしいとの回答。
・支給決定や障害程度区分の調査員・審査会委員の選任に視覚障害に精通した人を、については、保健師に対して研修を実施しているとの回答。また当事者の環境やニーズを支給決定で勘案してほしい、については、勘案するとの回答。
・入院時のヘルパー派遣については、認められていないとの回答。
・ガイドヘルプ関係では、障害者の親が子連れの場合のガイドは市に相談をしてほしい。投票所へのガイド派遣は問題ない。ガイドの全国ネット崩壊や県外での利用コーディネートは事業者にお願いをしてほしい。ガイドを行なっている事業所はHPに年1回掲載している。緊急時のガイドについては市に相談をしてほしい。ガイドの1割負担やヘルパーの当日キャンセルに対する代替措置義務付けは難しい。片道のみのガイドでも断れない。ガイドの対応の悪さは知らせてほしい。などの回答があった。
遮光眼鏡給付の適応疾患については、
18年度から黄斑ジストロフィーが入った。
・物知りトーク・アイタッチトークを日常生活用具に入れてほしい、については、全国の状況を市に周知していく。
・触読式や音声の時計の給付は、耐用年数があるが使用不能になった場合は修繕・給付できる場合がある。

8.子育て支援
・子育てに必要な福祉・保健・育児などは相談をしてほしい。

9.医療について
・重度障害者医療費助成制度の存続に努力したい。

10.消費者問題
・消費者トラブルに陥った場合は消費生活センターへ相談してほしい。



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