みちしるべ
No196 2007年11月号

目次(ページ内リンク)
 こんな風に変わります  正岡 光雄 
 「第1回あなたと障害者の雇用を 考える集い」が開かれました  吉岡 邦廣 
 10月に県庁で音声パソコンのデモを行いました  中平 晃 
 「障害者問題を考える四国集会」に参加して  中平 晃 
 視覚障害者にとっての自立支援法 パート11  藤原 義朗 
 第92回世界エスペラント大会(横浜)に参加して  田元 美紀 
 新入会員の自己紹介 *よろしくお願いします 角田 小米 
 新入会員の自己紹介 *視覚障害者の方たちと出会って  安藝 久美子 
 新しく点字・拡大文字のメニューを置いたお店 
 編集後記  大堀 正寿 

こんな風に変わります
              正岡 光雄
  *「自治体交渉報告集」番外編
 前回みちしるべ「夏の自治体交渉報告集」では入り切れなかった予定外交渉分を、今回掲載します。
 「予定外」は、9月2日県立図書館、9月6日JRがありますが、今回は後者のJRとの交渉分を掲載いたします。
  *JR四国高知企画部との交渉
 夏の交渉に先立って行われた「要求事項集め」の中にJRに対する要求項目がありましたので、早速申し入れを行いましたところ、9月6日に話し合いが持たれました。そして、その後11月1日に、回答会が持たれました。
 丁度高知駅改築及び周辺改修の行われる時期であり、タイミングのいい内容となりました。当日は企画部からざっくばらんにご意見をお聴きしたいとの意向だったので、高知駅裏にある企画部に7名の会員が集まり、思い思いに意見や質問を出しました。
 「質問・意見」、そして回答の順に掲載します。
 「最近は視覚障害に加えて聴覚障害を併せ持つ人が増えており、案内放送で磁気ループを使用して貰いたい」(藤原)…現段階で高知駅での設置については考えていないが、他の交通機関との動向も見ながら検討を行っていきたい。
 「自動券売機の点字表示について説明してほしい」(中平)…横方式のものでは、キーの上に点字表示を行うが、他の方式によるものでは別途検討を行わなければならない。高知駅の場合はこの上へ表示する方式である。
 「特急列車乗車の際、行き先に応じて切り離されることがあるので、車両番号などを分かるように点字表示してほしい」(中平)…四国管内での使用車両数が少なく、同じ車両もその都度番号が変化する。普通字の番号表示はLEDという自動装置で一気に行われるため、点字の表示は大変困難である。切符の検札の際にでも乗務員に確かめてほしい。
 「乗車や乗り換え介助はきちんと丁寧に行って貰えるのか」「乗車介助を頼んだら40分もホームで待たねばならないのに、直ちに連れて行かれ、次の列車が入るまでにじっと動かないでいるように言われたことがある」(中平)「接続列車の案内放送は、夜は行わないのか」(中平)…介助については朝8時30分から夕方5時35分まで案内人を配置しており、これ以降については改札担当が兼務で案内している。最終列車まで対応するが、多忙の場合はやや遅れることもあり、余裕を持って申し込んでほしい。今までに乗り継ぎ及び乗車ガイドで不充分な点があったようで、誠に申し訳ないと思っている。今後このようなことがあった場合は、電話などで指摘してほしい。夜の案内放送は睡眠の妨げにもなり、行えない時間帯もあるが、例えばムーンライトでいうと、早朝阿波池田からはお知らせしており、後免、高知駅の接続列車を車内放送している。
 「旅行代理店で購入したチケットも自動改札で使えるか」「『スイカ』や『イゴカ』等はどうか」…現段階では四国管内で購入した分しか対応できない場合がある。旅行代理店でのもの全て大丈夫となってはいない。「スイカ」や「イゴカ」も不可である。
 「到着遅れの放送は必ず行って貰えるのか」「駅での放送はあるが、乗車している者には分からないことがある」「トイレの流す方式が様々あり、分かりづらいので、説明してほしい」…大幅な遅れの場合には案内放送をしている。四国管内のトイレは概ねレバー方式だが、全国的には押ボタン方式が多い。新幹線では手をかざすだけで作動するものもある。駅売店において店員が直接対応してくれない場合がある。視覚障害者には大変不便である。
 「窪川でくろしお鉄道に乗り換える際わずか1分しか時間がないので、障害者や高齢者にはとても不便である」「トイレがない列車があり困っている」…売店にはキヨスク方式(店員が直接対応してくれるもの)と、コンビニ方式(店員の対応がなく、直接レジで決済するもの)とがあり、高知駅もコンビニ方式になる予定である。商品の所へはお願いすると店員が案内してくれるので、遠慮なく声をかけてほしい(これはなお、直接担当と話し合いを行う必要があると思う)。各駅停車などのトイレ設置については、他県では県の支援による設置の事例もあり、本県も検討してほしいものである。
 「列車内でのインターネット使用の場の設置をお願いしたい」…新たにLAN無線設置が必要となり、現段階では設置は困難である。  
「新高知駅に本会依頼の売店設置を行い、障害者団体への還元金給付を行ってほしい」…多分既に住所は決まっていると思うが、事業開発部が統括しているので、そちらに相談してほしい。
 「新高知駅に観光情報を流す企画はあるのか」…災害関係情報は新潟地震の経験を経て行うようになった。12月16日、ソーレにおいて行われる「防災情報デモ」を是非見てほしい。観光情報については高知市が担当になっているので、そちらで聞いてほしい。
 「新駅の音のサインについて説明してほしい」…トイレは川の音プラス音声案内(点字案内板も用意され、男女、多目的トイレの別等、分かるようになっている)、階段下り口はコマドリのさえずる声、改札及び出入口にはピーン・ポーン(音の性質を換える)、エスカレーターは上り口と下り口にそれぞれ「上りです」、「下りです」という案内放送がある。手洗いや洗面所では、手を持っていくとセンサーが作動し水が出るようになっている。
 まだ細かいこともありますが、長くなりますのでこの辺で終わりにします。いろいろご質問等がありましたら、直接JR四国高知企画部へお問い合わせ下さい。

「第1回あなたと障害者の雇用を考える集い」が開かれました
吉岡 邦廣
 10月13日に高知女子大学永国寺キャンパスで「第1回あなたと障害者の雇用を考える集い」が開かれました。60人を越える参加者が集まり、障害者雇用への関心の高まりがうかがえました。
 県身連の片岡会長の挨拶に続き、まず工藤正一氏の講演がありました。ご自身も全盲でありながら、工藤さんは厚労省で障害者雇用の問題に携わっています。
 眼科医、ハローワーク、リハビリ施設等が連携して、中途視覚障害者の復職を支援するなどの厚労省の取り組みを聴きました。また、失明して復職するまでの工藤氏の体験、ハローワークを通じて調べた視覚障害者の雇用の現状と展望もうかがいました。工藤さんはリハビリ期間中に盲学校に通い、その期間に点字試験実施を要求する運動などの多くの障害者運動を行ったそうです。そうした体験を通して、当事者の名前を出しての運動がいかに大切かを知ったというお話が印象に残りました。
 続いて、女子大学の水谷先生のコーディネートでパネルディスカッションが開かれました。県労連の樫原氏、ファクトリー取締役の上田氏、障害者雇用推進専任チームの甫喜本氏がステージに上がり、パネリングしました。私もパネラーとして参加しました。
 樫原氏は雇用率などの雇用に関する詳細なデータを、上田氏はご自身の考える障害者雇用について、甫喜本氏は障害者雇用推進チーム発足の背景等について話してくれました。私は、就職活動を通じて考えたことについて話しました。
 行政、企業、障害者がそろったよいパネルディスカッションだったように感じます。最低賃金が適用されていないという樫原氏の話を聴き、障害者雇用の現状の厳しさを再確認しました。しかし、そうした状況を何とかしようという動きも生まれています。専任チームは民間の障害者雇用の促進、作業所の賃率アップに力を注いでいくそうです。
 最後の閉会の挨拶で、「大学、行政、企業、障害者が集まり開かれたこのシンポジウムは障害者雇用の新たな夜明けです」と正岡さんが話しました。このシンポジウムの意義は大きいのではないでしょうか。高知の障害者雇用が前進する予感を感じるシンポジウムでした。

10月に県庁で音声パソコンのデモを行いました
               中平 晃
 10月25日(木)の午後、県就労支援チームのご協力をいただき、県庁で音声パソコンのデモを行いました。
目的は、高知県での公務員採用試験では点字受験が実施されていないことに関して、視覚障害者でも、音声パソコンを使用して業務を行えることを知ってもらうためです。
吉岡さんのワード、エクセル、アクセス、CGIのデモを中心に行いました。
また、片岡会長にも視覚障害者の雇用環境について話をしていただきました。
最後にあまり質問はありませんでしたが質疑応答を行いました。
参加いただいた課は、人事課、人事委員会、教育政策課(県教委)、総務福利課(県教委)、警務課(県警本部)、障害福祉課です。
 来年度には点字受験が実施されるように運動をしていきましょう。

「障害者問題を考える四国集会」に参加して
               中平 晃
 10月27日(土)、「障害者問題を考える四国集会」が高知女子大永国寺キャンパスで行われました。
10時からは就労関係のシンポジウムが、
14時からは桜美林大学教授の茂木俊彦氏による記念講演、17時30分から交流会でした。
私はシンポジウムにパネラーとして参加しました。パネラーとして正岡様も参加されていました。私は高知県と高知市での公務員採用試験では点字受験が実施されていないことについて、守る会は30年あまり陳情を行っていること。現在、視覚障害者でも、Windowsの画面を拡大するソフトや、文字情報などを読み上げるソフトなどを用いて、パソコンを使用して業務を行えること。ライトハウスなどでパソコンを用いて業務を行うための職業訓練も行われていること。
その理解を深めてもらうために10月に県庁でデモを行ったことなどを話しました。
また、今回のイベントに関連すると思う方で、今回のイベントを知らなかった方もいましたので、情報の共有についても提案しました。
現在、イベント情報や就労関連の新情報の共有、障害者についての理解を深めてもらうことなどを目的に、RSS配信を行うことを含めて簡単に共有する方法を考えています。
また、障害者の就労を促進するには、官民一体になって取り組む必要があります。そのためにも香川県のような、官民が連携して障害者の就労支援策を進める組織を高知にも作ることが必要です。

四国新聞社のホームページ記事
障害者の就労促進へ ネットワーク来月発足
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/article.aspx?id=20070802000122&ref=rss
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視覚障害者にとっての自立支援法 パート11
藤原 義朗
 前回は、市町村など自治体の境界を越えた場所での外出支援について述べました。
今回は、事業所の経営的課題や、ガイドヘルパーさん・ボランティアさんとの経費の負担について述べてみたいと思います。

1.やっていけない今の収入単価
 千葉県浦安に、「エメラルドサポート」という訪問介護事業とガイドヘルパーを行なっている事業所があります。ここの代表の佐藤さんは、20年前、糖尿病で中途失明され、在宅援助がいかに大切なのかを体験され、事業所を立ち上げられた方です。しかも、役員報酬ゼロで運営されてきた方です。
 昨年の赤字は300万円。銀行に融資をお願いしたところ、役員報酬も出せていない
ところには貸せんと断られたそうです。役員報酬をいただくとつぶれるし、いただかないと貸してくれないしと悩んでおられました。
 つまり、自立支援法やガイドヘルパーの割合の多い事業所ほど運営がやっていけなくなるわけです。単価の安さのことは前回も説明いたしました。
 そこで、在宅援助の介護保険と障害者支援との差を簡単に書いてみます。

@高齢者介護の方が「何曜日の何時から何時まで」と、時間割を組みやすくホームヘルパーもタイムロスが少なく廻れる。障害者は、社会参加という突然のことが多くヘルパーのやりくりが行ないにくく、タイムロスが出やすい。
A家事援助など介護保険の方が単価が高い。
B視覚障害者のガイドヘルパーは、落ち合った所からさよならの場所が、違うことが多く、ガイドヘルパーの動きにロスが出やすいこと。
 例えば、1時間1500円の収入単価しかないのに、その前後のヘルパーの移動時間は、合わせて3時間の労働になることもある。
 つまり、障害者のことを中心に事業をしていたら潰れるということです。

2.「いないいない、ヘルパー」
 現在、医師不足、看護師不足が社会的問題になっています。それとともに、ホームヘルパー、ガイドヘルパー不足が大変深刻になってきました。
 ヘルパーさんは、たくさん養成されていると思われるかもしれませんが、あの不規則労働、低賃金の中、また砂を噛むような仕事内容の中、都会では景気が上向いてきたため、ヘルパーさんがいっぺんに辞めてしまったのです。介護福祉士養成校は定員に達しないところが相次ぎ、来年は4校閉鎖が決まりました。ヘルパー不足の背景があって、事業所は、単価の高い介護保険の方にヘルパーを廻すため、視覚障害者にはヘルパーさんが廻ってこなくなったのです。
 先日、名古屋への旅行のため、コムスンに連絡しましたが、出発前日になって「ヘルパーさんが見つからずヘルプできない」と連絡がありました。お陰で、一人白杖振り振り、人に尋ねながらの旅行となりました。
 皆さんもご存知かも知れませんが、先日、「正岡先生、東京でダウン」というニュースが入ってきました。羽田空港で、コムスンのガイドヘルパーさんと待ち合わせがうまくいかず、2時間も待たされたのです。そこで、具合を悪くされたそうです。つまり、ガイドさんのやりくりがギリギリであること、「一元さん」と、いうことでヘルパーさんの中でも、あまり気の利かないガイドさんが視覚障害者には廻される事が多くなったわけです。つまり、良いヘルパーさんは単価の高い介護保険にまわされるのです。


3.利用者の負担額はいくら?
 ガイドヘルパーを利用した場合と、JBOSをはじめとするボランティアサークルを利用した場合での負担金額についてご紹介いたします。
 まず、ガイドボランティアの全国ネットワークである「全国視覚障害者外出支援連絡会」は、現在34の団体が加盟しています。
 その負担金額については、それぞれの団体が決まりごとを作っている為、まちまちです。

 @ボランティアサークルによって様々
 主な傾向を見ると、
【交通費】
 一緒に移動する時の交通費は、ほとんどの団体が視障者の負担。ボラさんが、家から待ち合わせまで、さよならから自宅までの交通費も視障者負担の場合が多い。大阪のクローバーの会のように、この部分を千円までは視障者持ち、越える部分はサークルが持つというところもあります。
【食費】
 基本的には、利用者がボラさんの食費も持つところが多い。中には、長崎アイヘルプのように、500円までは利用者負担。というようなところもあります。
 私は、お昼にかかった利用をしたことが9回ありますが、ボランティアさんも「どうせどこかで食べるんですから」と、自分で出された方もおいでます。9回のうち、私が負担したのは4回。ボラさんが自分で出されたのは5回でした。
 その他、サークルによっては、連絡料金として、2〜300円徴収しているところもあります。
 つまり、ボランティアさんの場合、サークルの原則やどこに住んでおられるかによって負担額がまちまちであることです。
 もう一つ気になるのは、食事の時、ボラさんが遠慮がちということです。正岡先生が築地の寿司屋に行った時もなかなか食べてくれなかったそうです。私のように、旅行中の昼飯はきつねうどんしか頼まないものに付き合った時は、ボラさんも同じ物しか頼まないのです。
 Aヘルパー事業所、重要事項をよく読んで
 ガイドヘルパーの場合の負担の仕方は、重要事項説明書に書いてありますので、契約の際、確認してください。
 事業所によってまちまちですが、全体的傾向として交通費は、利用者と一緒に移動する時の料金は、利用者持ちが多い。コムスンで事業所によっては「会社が支払いますから」という場合もあります。
 ガイドヘルパーさんが自宅から待ち合わせ、さよならから会社などの交通費は利用者が負担することはほとんどありません。
 食費は、一般の食事の場合は、利用者負担はありませんが、ディナーパーティーなど高級な場合は、話し合いの上、利用者が負担するところが多いです。また、入場料金の要るところは利用者負担です。
 また、ガイドヘルパー利用料金として、高知市は、1割負担で1時間280円負担。その他の自治体では、1時間150円。障害程度区分が重度と判定され、身体介護給付の移動支援と判定された方は、1時間400円負担というところが多くなっています。

4.ボランティアにも赤信号
 今までJBOSを利用する中で、ガイドボランティアさん、皆明るい積極的な人が多く旅行の思い出にもなりました。しかし、ここにも赤信号がついたのです。
福祉の市場化の中「ヘルパー事業所の営業妨害はしないでよ」といわれたところもありボランティアグループも弱ってきています。
 先日の名古屋への旅行は「キリンビール工場見学のあと、ビジネスホテルへ」というプランでした。しかし、「以前、男性を酒の席へ案内した後、ホテルへお連れしたところ、急に豹変されたこともあった」という事から、「ガイドボラさん見つかりませんでした」と、いう連絡が直前になってありました。サークル運営者としては、ただでさえボランティア不足、見知らぬ県外客の案内には構えてしまうみたいです。

5.話し合いで高知市は柔軟に
 高知市では、8月にガイドヘルパーの取り扱い要領を次のように整理しました。原文から抜粋して貼り付けますのでご確認ください。

高知市個別支援型移動支援事業取扱要領を以下のとおり定める。
平成19年8月3日
高知市元気いきがい課
高知市個別支援型移動支援事業
取扱要領
第5条 交通費,入場料等を要する場所への出入りを行う場合等,ヘルパーについても費用が発生する場合,その要する費用は利用者が実費負担するものとする。
2 前項の規定にかかわらず,業務内容にかかわらず発生する費用(食事代等)については,ヘルパーの負担とすることができるものとする。
3 事業所は,申込み時の聞き取りにおいて,実費負担が発生するかどうか確認のうえ,利用者とあらかじめその金額・内容等について打ち合わせを行い,齟齬(そご)が生じないよう確認・整理するものとする。

  ○発地又は着地
従来は発地又は着地のいずれかが利用者の居宅であることとされていたが,今後は利
用者の希望する場所を発地又は着地にできるものとし,居宅を前提としないものとする。

  ○社会通念上適当でない外出
 従来の個別に外出先として適当でない場所を定める運用を改め,外出先が法令に違反している場所(違法の賭博場など)でない限り可とする。

  (外出先として可能な場所の例)
カラオケ,映画館,居酒屋,競輪,競馬,
プール,選挙投票,よさこい等

6.直営ヘルパーの復活を
 いろいろ書きましたので、次のようにまとめてみます。
@昨年の改定介護保険法などによって介護事業の運営が厳しくなってきている。
A景気の上向きと介護単価の安さによりヘルパーが急に不足している。
B視覚障害者への家事援助とガイドヘルプには、ヘルパーを廻さなくなっている。
Cボランティアが弱まっていること。
です。
 私が思う解決策は、「市直営のヘルパー事業所の建設」です。今、名古屋で梅尾明美さんをはじめ、愛知県の全視協の仲間たちが、名古屋市を相手取って、公的ヘルパーの必要性を訴え裁判で闘っておられます。
 この20年間、国鉄も電話も郵便もどんどん民営化されてきました。福祉の市場化の下、守る会が反対運動をしたにもかかわらず、3年前、高知市も直営ヘルパーを廃止しました。
 政府の動きに逆らう大変なことですが、もう一度市の直営ヘルパーが必要になってきたことを感じます。各県に直営をもち、ガイドヘルパーのネットワークが築かれると、県外移動も随分スムーズになります。

7.おわりに
 郵政は民営化されましたが、ニュージーランドでは「民営化になって料金値上げ、深刻な利便性の低下で」ということで、国営に戻りました。私たちの要求で直営ヘルパーを復活させていこうではありませんか。

  第92回世界エスペラント大会(横浜)に参加して ―― 視覚障害関連を中心に ――
              田元 美紀
 本誌194号の編集後記で触れた通り、8月4日から11日まで、横浜で第92回世界エスペラント大会が開かれた。
私はJABE[ヤーベ](日本盲人エスペラント協会)の協力者として活動に関わった。大会期間中、視覚障害のある参加者と同じホテルに宿泊していた。
4日の日本点字図書館での国際セミナー(本誌194号参照)が終わってから、片岡慈仲先生、田中禎一先生、富田伴七先生らJABEの関係者5人とパシフィコ横浜へ行き、参加の受付を済ませ、資料を受け取った。点字を使用する参加者には、点字の資料が用意されていた。
5日の午前中、開会式が横浜みなとみらいホールで行われた。ステージに立った各国からの参加者の代表があいさつをした。開会式の最後に”La Espero”[ラ・エスペーロ](希望)を斉唱した。
午後には、メルパルク横浜でJABEの昼食会。昼食会が始まる前に、ロイ・ビッショジド先生、ビッショジド秀代さんご夫妻に初めてお会いできた。秀代さんに本誌の181号を見せた。
イタリアのアルド・グラッシーニさんに、「あなたの国では無資格でマッサージをすることが重大な社会問題になっていますか」と質問した。アルドさんの答えを私はほとんど聞き取れなかったので、慈仲先生が通訳してくれた。「イタリアでは晴眼者が無資格でマッサージをすることはない。それは法律上許されない」そうだ。
昼食会の料理は日本の懐石料理で、1人分ずつ器に盛り付けられていた。料理が出される時に、菊島和子さんが料理とその食材、食べ方について説明した。先付け、刺身盛り合わせ、茶碗蒸し、天ぷら盛り合わせ、たこ芋南京の含め煮、うなぎひつまぶし、香の物、甘味、熱い緑茶が昼食会で出た。
フィンランドのアルヴォ・カルヴィネンさんが料理の感想を述べた。「日本に来てやってみたかったのは、日本のものを食べること。魚についても、普段食べられないものを食べられた」
7日の昼には、フランスのフィリップ・ネオさんと食事をした。「これは何ですか」と聞かれた。「梅干しってエスペラントで何と言うのかな…」と辞書を引いて、見つけた単語を読んだのだが、通じない。隣のテーブルの峰芳隆さんが「ゆっくり言わないと分からんよ」と助言した。
8日、遠足があった。いくつかのコースがあったのだが、JABE独自の遠足も企画された。
8時、宿泊先のホテルを出発。バスの中で
菊島さんが参加者を点呼し、ガイドをした。
9時10分、文京盲学校(禎一先生が勤めていた学校)のそばを通った。
 それから間もなく、小石川後楽園に着いた。日本の視覚障害者は外国の晴眼者に手引きされることになった。私はスペインのペドロ・スリータさんを手引きした。すぐそばを歩いていたクロアチアのスポメンカさんが状況を流暢に説明していた。
 大きな池があった。その池の周りの木をペドロさんに触らせた。狭い道へ入ると、階段や小さな橋、溝が所々にあったが、その時には片言のエスペラントで声をかけた。
 広い公園に出た時、ペドロさんにスペインの文字N n[エニェ]の点字表記を教えて貰った。
「セ」の点で表記するのである。
 11時55分頃、深川江戸博物館に着いた。江戸の街を再現した実物大の模型が展示されていて、それを触ることができた。民家の道具をアルヴォさん、その他の外国の方に触らせながら説明した。八百屋、火の見櫓、休憩処、そばの移動販売の籠などもあった。
 博物館の地下でお弁当を食べ、午後には柳田三之助さんの落語2編を鑑賞した。演題は「初天神」「酔っ払い」。落語そのものは日本語で上演されたが、外国の視覚障害者にも大変受けがよかった。特に「酔っ払い」は声を聴いただけでもそのシーンをイメージできる、という。
 夕方、浅草のお土産屋を回った。外国からの観光客にも喜ばれるような和菓子、着物、日本的な小物がたくさん売られていた。18時30分、バスに戻り、ホテルへ帰った。
 10日の午後には、LIBE[リーベ](国際盲人エスペラント連盟)の分科会が開かれた。
 この大会の期間中毎日、大会新聞が発行された。会場内に点字プリンターが持ち込まれ、点字版の新聞も毎日(最終日を除く)発行された。
 1週間にわたる大会だったが、大変盛りだくさんの内容だった。国内の旅行なのに、まるで10カ国以上の外国を旅行したような気分だった。エスペラントを不自由なく聴いたり話したりする能力があれば、もっと楽しめたのに、講演を聴いたり討論したりできたのに、と思う。
 なお、「エスペラントを学びたい」と思った方のために、JABEの連絡先を下記に挙げておく。
162-0042 東京都新宿区早稲田町12-3
エスペラント会館内
電子メール:jabe@esperanto.ne.jp

新入会員の自己紹介 *よろしくお願いします
              角田 小米
 私は、正岡先生から会があるから来て下さいねと言われました。一瞬どうしようかと思いましたが、でも行ってみると、皆さんが障害者のために力を入れて、県の方まで交渉してやっていることもよく分かりました。今思うと、行ってよかったと思います。またよろしくお願いします。

新入会員の自己紹介 *視覚障害者の方たちと出会って
             安藝 久美子
 私は、網膜色素変性症という病気を持っています。
 段々と見えなくなっていくことに不安を感じていましたが、皆さんと県・市との交渉に参加したことで勉強になりました。自分たちの生活と直接関係したことが、「あっ、そうなのだ」と感心させられたり、便利とか危険とか、改めて感心させられたりしました。
 一番は、図書の利用のことでした。新聞の字や小さい字が見えにくくなりつつあり、本を読むことが嫌でした。拡大活字本・テープ・CDなどが利用できること、対面読書など、ちょっと夢を見るような気分にさせて貰いました。県下に広がるといいですね。
 私は安芸市に住んでいます。安芸市の図書館を訪ねていくと、拡大活字本があり、高齢者の利用が多くなったと話してくれました。
 正岡さんや藤原さん、他の方もとっても積極的で本当に驚かされましたが、出会えて嬉しく思っています。よろしくお願いしますね。               (10月4日)

新しく点字・拡大文字のメニューを置いたお店
  *バリムーン
 主な料理や飲み物 バリ料理・沖縄料理・
土佐料理・カレー・宴会メニュー・酒類・ソフトドリンク
 所在地 高知市九反田8−13
 電話・ファクス番号 088−883−
0121
 営業時間 ランチ11:30〜14:00、居酒屋タイム17:30〜22:30(ラストオーダー)
 定休日 日曜日
 駐車場の有無 コインパーキングが2ヶ所ある。広い。
 その他 バリ・沖縄・土佐料理、飲み物については、英語のメニューも別のページに掲載している。

編集後記
              大堀 正寿
 今年の「みちしるべ」も今号が最後となりましたが、今年、皆さんにとってどんな年でしたか?
 僕としては、印刷の手伝いが少ししかできなかった年でした。来年は毎号手伝いができるように頑張りたいです。
 社会全体を見ると、あまり良い年ではなかったように思います。印象的なのは、老舗和菓子店の「赤福」で発覚した賞味期限の改ざんなどの問題でした。創業時には、他人に喜んでもらえるように質の良い物を作ろうと努力していたにちがいない。しかし、代を重ねるごとにその精神を忘れ、お金もうけに走っていったのではないでしょうか。
 来年は、こんな問題が起こらないように私たちが安全に暮らしていける年でありたいものです。



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