みちしるべ
No197 2008年3月号

目次(ページ内リンク)
全国委員会及び手つな集会の報告  山崎 辰雄
「高知県視覚障害者の就労を促進する会」結成大会報告  吉岡 邦廣
65歳でどっちを選ぶ? 後期か国保か!  藤原 義朗
生協の朗読ボランティアとの交流会  畠山 俊惠
まさか私がマラソンなんて  畠山 俊惠
第13回中・四国盲ろう者大会(徳島)に参加して  田元 美紀
編集後記  片岡 慈仲

全国委員会及び手つな集会の報告
山崎 辰雄
1 全国委員会(2/2〜3)
1.トータルビジョン見直しの学習会
「所得」分科会に参加し学習しました。所得に関わる約30項目のトータル要求について、その要求内容を学習・検討しました。
生活保護費の引き上げや、無年金者に対する「最低保障年金制度」の創設、障害年金等級に視野・夜盲等の視機能障害基準を含めることや障害基礎年金にも3級を設けること、障害基礎年金を支給されない者には特別障害者手当金を拡充させること、その他様々な割引(水道・電気・ガス・電話・税金・交通機関等)に福祉的措置を更に拡充すること、点字の年金特別メール便、福祉全般の相談に関わる役所での窓口対応の充実等を学習し、要求として確認しました。



2.議案討議
(1)会員・点民の拡大
各組織から定例化した役員会や組織会議で方策を検討、若者に対する勧誘、拡大リーフレットの活用、活動への参加をきっかけとした取り組み等が報告された。
方針ではメーリングリスト参加者(未会員)へのメールでの勧誘や滋賀の組織化、点民拡大につなげるため点民代の振込手数料を事務局負担にしてほしい、集金が困難な場合の対策、会員数を基準とした点民拡大目標の設定等意見が出された。
(2)特別会計予算について
提案通り事務所会計予算の収入額の変更、特別会計監査員2名が承認されましたが、本会計と特別会計の監査員を一本化したらどうかという意見に対して、個別に監査員をおくことでそれぞれに強い権限を持たせたいという回答が執行部からあった。
(3)財政確立について
「執行部」財政確立のため大幅な収入増・支出減の方策について意見を出してもらい、次回全国委員会に具体案を提案したい。
「意見」会員増を図ることで収入増につなげる、会費の値上げ、販売活動への協力・強化、カンパ活動、予算に占める点民の経費が高いので抑制策を検討する、全国委員会の回数を減らす等の意見が出された。
(4)点字プリンター購入について
高速プリンターを購入し現在外注している点字資料についても印刷していく等、有効活用をしていきたいとの提案であった。
大半の意見が必要性は認め購入には賛成であるが、高額すぎる、もう少し安いプリンターでいいのではないか、このプリンターが必要な説得力のある説明が足りない等の意見が出された。
修正提案としてカンパからの充当額
150万円を170万円に増額、雇用助成金150万円、残りの80万円を各組織からのカンパでまかなう。各組織カンパは期限なしで集まるまで行うが目途として次の大会までに集めたいとの目標が提案され了承された。また総務局便り等で具体的な主旨説明を行うことや、購入については今すぐ購入し不足分の費用は運転資金でとりあえずまかなうことが確認された。
(5)重点目標実現を目指す運動に
ついて
「平和」では憲法9条の会の活動が組織拡大に結びついている事例や、憲法9条担当者を各組織におくこと等が報告・検討された。
「参政権・消費税」では国政選挙や知事選挙の候補者政見の点字版・録音版・拡大版の発行につなげる運動。増税に反対する署名に取り組むこと等が検討された。
「まちづくり」ではまちづくり集会の内容や各組織からの取り組み報告があり、高知からは新JR高知駅への取り組み状況を報告した。
「障害者自立支援法」では障全協署名の数の報告・確認が最近行なわれていないことを意見として出し、今後総務局便り等でお知らせすることの回答を得た。愛知の梅尾裁判支援については取り組みを強化したい旨の提案があり、各組織に要請ハガキ(1枚50円)購入の支援要請があった。
「医療保障」では各組織の取り組み報告(学習会等)があり、各組織の65歳以上の会員の不安解消に繋がるような相談活動への取り組みが必要でないかとの意見があった。
「情報保障」では金融機関の視覚障害者対応のATMの設置状況報告や手続き時の代書の課題(要手帳・委任状等)また、時間外でATMを利用する時の課題等、意見が出された。
「雇用・就労」では現在取り組んでいる「高知県視覚障害者の就労を促進する会」の取り組みを報告し、今後署名・要請ハガキの取り組みへの支援要請を行った。
「理療・教育」ではモード学園に対する要請ハガキ運動(目標5000、1セット5枚100円)、タイスパサービスの受け入れが無免許増加に繋がる懸念もあること、看護師がリンパドレナージを行うことはあはき法違反になることやその場合の診療報酬化を求める運動に看護師を含めることは疑念が残ること、各地の無免許マッサージ取締り事例報告、柔道整復師の療養費のカラ請求・水増し請求・振り替え請求の実態調査の要請等の現状報告があった。今後の取り組みとしてモード学園への要請ハガキ運動や無免許の日を中心とした無免許追放の取り組み、各組織でのあはき運動学習会の開催、あはき運動全国交流集会の開催等の方針が確認された。
また教育課題では愛媛から盲学校統合反対署名への支援要請があり、3月末まで2度目の署名活動を実施するとのことでした。
(6)各局活動について
「機関紙局」からは購読変更の連絡は必ず各組織担当者を通して事務局(岡田さん)までお願いしたい。
「会計局」からは会費振り込み時には必ず会員数と納入期間の記入をしてほしい。
「女性部」からは第15回奈良大会を8/23・24の開催予定。
「青学部」からは総会を5/3・4に東京で開催予定。
「文化の集い」は開催日が決定次第連絡有り。
「弱視者集会」は10/18・19に近畿で開催予定。
「あはき集会」は3/29・30に予定。
「次回の全国委員会」は9/6・7(手つなは9/8)。

2 手つな集会(2/4)
要請行動は6班(金融・福祉・総務・文化・郵政・あはき)に分かれ行われました。あはき関係の要請に参加したのでその内容を報告します。要請先は「厚労省・経産省・法務省・外務省」で、厚労省はあはき関係全般、その他の省はタイスパサービス受け入れに対して要請を行いました。

1.厚労省
(1)養成施設新増設の制限については職業選択の自由から制限にはより慎重にならざるを得ないとの回答。養成施設専任教員名簿のデータベース化は印刷物はあるがデータにはなっていないとの回答。
(2)看護師の業務範囲(リンパドレナージ施術)については、医療性が高く違反とは考えていない。たとえば助産師が行う乳房マッサージは違法とはいえないのと同じとの回答。
(3)タイスパサービスの受け入れについては、日本のマッサージ資格を必要とすることが前提だが、スパについての判断材料がない、慎重に対応したいとの回答。
(4)無免許マッサージ取締りについては、国会や厚労省に対する地方自治法第99条に基づく意見書は11都道府県から提出されている。第1条違反をした施術者に対してこの2年間に7件の行政処分を行っている。マッサージ行為の定義については法律上定義化は困難だが、人体に健康被害を及ぼす場合で危険性があれば有資格者が行わなければならない。柔道整復師の療養費請求の
99%が捻挫と打撲であるがこの内訳は捻挫25%・打撲73%であるとの回答に対して患者の実態と懸け離れているとの意見が出されたが明確な回答はなかった。あはきと柔整の両方の免許を持ち治療も両方行っている場合の施術室については治療室の兼用はできない、それぞれに専用の施術室が必要との回答。
2.その他の省庁
3つの省庁ともにタイスパサービスの受け入れについては、日本の法令に基づくことであり、基本的にはあはき法の解釈・厚生労働省の判断であるとのことで積極的に進めていこうとする姿勢は感じられなかった。しかし国と国との外交で話し合われることであり、政治的判断での受け入れという事態も十分に考えられ、今後も運動を続けていく必要がある。

「高知県視覚障害者の就労を促進する会」結成大会報告
吉岡 邦廣
皆さんのご協力のおかげで、2月10日に「高知県視覚障害者の就労を促進する会」結成大会を開くことができました。参加者数は105人で、会場となった高知市市民図書館視聴覚ホールに入りきらないほどの成功となりました。
「高知県視覚障害者の就労を促進する会」は高知女子大学教授の田中きよむ先生、元点字図書館館長の渡邊進さん、正岡光雄障高連会長、片岡慈仲会長、吉岡の5人が発起人となり結成に至りました。
 渡邊さんの開会挨拶で始まった結成大会は、片岡さんによる結成までの経緯説明、日本ライトハウスの津田諭先生の講演、音声パソコンのデモンストレーションと続きました。実際の就労事例も踏まえて、津田先生には行政、民間における視覚障害者の就労の現状をお話いただきました。あんま、鍼、灸の資格試験の晴眼者の合格率が8割に達しているというお話をうかがい、改めて職域開拓の必要性を痛感しました。質疑応答にも丁寧に答えて下さり、分かりやすかったと公表でした。
 結成総会の部では役員、運動方針が拍手承認されました。吉岡が会長を任せていただくことになり、副会長として田中先生、渡邊さん、事務局長として片岡さんが選出されました。この役員体制で、当面は点字による職員採用試験の実施、年齢制限の緩和を高知県、高知市に求めて運動します。
 大会の参加者は、県職労、市職労、点訳・音訳ボランティアさんをはじめとし、晴眼者の方々が8割を越えました。一般の人々に視覚障害者の就労の現状を知ってもらうよい機会、県、市に対する大きなアピールになったに違いありません。結成大会は大成功でした。開会のために尽力していただいた皆さん、本当にありがとうございました。
 結成大会以降も請願書の提出、署名活動、要請はがき運動の3点を柱に、当会はさらに激しく動いています。署名、要請はがき運動へのご協力、カンパ、会費をお願いしています。今後とも、どうぞ更なるご支援のほどをよろしくお願いいたします。

65歳でどっちを選ぶ?後期か国保か!
藤原 義朗
 1月20日の山岡高知県社会保障協議会事務局長の後期高齢者医療制度の講演では、制度の全体像が良く分かったと思います。本日3月3日、65歳以上の障害のある人に「後期医療、国民健康保険どっちを選びますか」という通知が、しかも墨字で送られてきました。患者さんからは「どういう意味か、さっぱり分からん。どうしたらいいか教えて」と、質問が殺到して来ました。急遽、後期高齢を選ぶか、一般医療を選ぶかを解説してみようと思いますのでご辛抱願います。
●後期高齢者医療の対象者
・75歳以上の人
・おさらい@で示す障害のある人
おさらい@…老人医療先取りの人が後期高齢でも対象になる。65歳以上で74歳までの方で、身体障害者手帳1級から3級、4級下肢障害もしくは音声言語障害の方。しかし、視野障害で2級または3級を取得しておられる方は除外です。これらの方は今までも老人医療の先取りという形で65歳から老人医療制度に加入されています。この方々に役所からあのサッパリ分からん手紙が送られてきたのです。これから、選択のポイントの5つを解説していきます。

〔ポイント1〕まず福祉医療かどうか
 高知県の重度障害者福祉医療助成制度受給の方、又は、「私は絶対に病気になっても医療機関にはかからない。」という方がおいでましたら金額的には保険料の安い方を選ぶ方が得です。
おさらいA…高知県重度障害者福祉医療助成制度は、身障手帳1・2級および療育手帳A1・A2、身障手帳3・4級で療育手帳B1の方、65歳を超えての発症の方は住民税非課税世帯。
 しかし、3月3日の通知で明らかになったことは65歳から69歳までの方で国民健康保険を選ばれた方は福祉医療が効かない旨の記載があったことです。つまり、福祉医療の負担分は1割、国保負担は3割ですから、差額の2割分は国保の人は負担して下さいということです。11月の後期高齢者広域連合議会でも、12月の県議会でも障害者福祉医療を守る請願書を採択されたにもかかわらず2割の負担です。請願人の代表でもある正岡先生の「絶対にひっくり返す」という声が電話から聴こえてきました。対象の方はもうちょっと待って下さいね。

〔ポイント2〕保険料で選ぶ
 今、納めている保険料と後期高齢者医療の保険料とを比べて安い方を選ぶのが、選択肢の一つです。後期高齢者医療の保険料計算は応能負担である所得割と応益である均等割の二つの計算式で決まります。障害のある人で年金が主な収入の人を比べても、障害年金のように非課税所得の人は保険料が安くなりますが、正岡先生のように厚生年金の方は保険料が高くなります。
 後期高齢の保険料は高知県全体の制度ですので、現在の所得と家族収入を教えていただければ藤原の方で計算ができます。
 なお、国保料は市町村によって計算方法は違います。国保の方で国保から抜けた場合、家族でどれだけ安くなるかは、役場で計算してもらって下さい。
 なお、国保料の計算は、所得割、固定資産割、平等割、均等割という4つの計算式で行いますが、高知市と四万十市は、資産割計算がありませんので、その地域の方は資産のある方は比較的安い保険料になっています。
 なお、私が相談を受けた人で試算してみましたが、元サラリーマンなど一定所得のあった方は、後期の方が安くなります。2人世帯で2人の所得差のある人が保険料が高くなる傾向にあります。
 しかし、油断は許されません。2年ごとに保険料の見直しがされます。高齢者人口が増える傾向にありますので、確実に後期保険料は上がります。介護保険料もその理屈で6年間の2回の見直しでは、比較的引き上げ率の低い高知市でも3190円から4631円へと上がってきました。
 なお、高知市では後期の方が高くなる人が2〜300人、国保へ移行の意志を示さないと自動的に後期へ移り保険料が高くなってしまうことから、その高くなった差額分を後で返却する条例を3月市議会にかける予定です。

〔ポイント3〕医療機関によくかかっておられる方は、負担割合と高額療養費が目安。
@負担割合
 後期高齢者医療の対象である75歳以上の方とおさらい@の方は、かかった医療費の1割が自己負担分です。
国民健康保険や被用者保険の方
・70歳までの方は、3割負担
・70歳から74歳までの方…現役並み所得のある人は、3割負担。現役並み負担というのは、夫婦世帯で年約620万円以上の方です。それ以下の人は、1割負担。08年4月から2割負担になる予定でしたが、1年間国の補填措置がとられ、09年4月から2割負担になります。
・75歳以上…現役並み所得のある人は、3割負担。それ以下の人は、1割負担。

A高額医療費
 医療費負担の多い人は、高額療養費の上限額が、選択の目安になります。
おさらいB…一般保険のひと月当たりの医療費の上限額は、80100+医療費の1%。住民税非課税世帯が、35400円です。
 これが、後期高齢になると、外来で、
12000円、入院が44400円です。
更に、住民税非課税の方は、外来で
8000円、入院で2段階に分かれ、
24600円と15000円。
 15000円と24600円は、年間所得が80万円以上か以下かで決まります。

〔ポイント4〕40歳以上の人は健診の義務化、しかし。
 今年度まで、基本健診が40歳以上の人に行われてきました。市町村が主体となって任意の制度でした。それが、今年から義務健診になるわけです。高知市では7月から始まります。
【問題点】
その@ 国保の人は基本健診の時と同じく、任意の医療機関で健診できますが、65
歳以上の障害のある人で後期高齢を選んだ人は、この健診の義務付けから外れます。ただでさえ健診率の低い障害のある人を外すのでなく、健診に行きやすくすることが大切なのではないでしょうか。
そのA 政府管掌健康保険の人は健診センターに。いわゆる政管健保の人は、健診の場所が定められた高知県内でのいくつかのセンター(病院)に振り分けられます。今のところ、高知県内で10数箇所手が挙がっています。実際、障害のある人が普段行ったことのないセンターに行くことができるでしょうか。
そのB この特定健診でメタボリックシンドローム予備軍とされた人は、特定保健指
導という指導がなされます。その@で述べたように、特定健診から外された障害のある人に対して保健指導は健康増進法による指導になるため、ちゃんとした指導や障害に配慮した指導が行われるかは、はなはだ疑問です。


〔ポイント5〕医療給付の削減
 3年前、元小泉政権は、「医療費の適正化」という名の下に、つまり医療費の削減を目的にこの法案を強行可決したのです。現在
1300万人いる75歳以上の人が
2025年には2500万人になる、しかし、かける医療費は今も2025年も同じ10兆円。つまり、半分近い医療給付の削減になるわけです。
 紙面の都合で簡単にしか書けませんが、
・医療給付は、特に外来で診察や検査関係がまるめられます。1ヶ月の医療機関に支払われる報酬が限られるため検査などが制約されます。
・医療機関が絞られ、他の医療機関に行く場合は紹介状を持っていかねばなりません。受診の抑制につながります。
・退院の際、「私は延命治療はしません」と、念書をついた場合は病院に報酬が支払われる、というように、入院しにくい仕組みが強要されようとしています。
●以上の点を参考にして、65歳以上の人は、後期にするか一般保険にするか考えてみて下さい。一番問題なのは医療給付の削減です。3月末にはもっと明らかになってきます。守る会でもまた学習会を行ってみてはいかがでしょうか。

生協の朗読ボランティアとの交流会
畠山 俊惠
 こうち生協では、私たち視覚障害者のために、カタログをテープに録音して下さっています。
 以前は、プロの業者の方がして下さっていましたが、費用の問題もあり、1年半ほど前から生協の組合員の方がボランティアで録音して下さっています。
 その朗読ボランティアの方と、私たちテープ利用者との初めての交流会を2月3日(日)に持ちました。
 男性3名を含む8名で、タクシー2台に分かれてコープよしだ店に向かいました。
 生協からは 職員2名と、朗読ボランティアの方2名が参加して下さいました。
 「木曜会」といって、毎週木曜日に6名の方がテープの吹込みをして下さっているそうです。私たちはそのテープを聴いて、欲しい商品の番号を書き取り注文しています。
 「強度の弱視は、スーパーで買い物をするのがなかなか大変です。生協のテープを聴いて注文できるので、とてもありがたいです。」「原産地や賞味期限などを読んでくれるようになったので、とても助かります。」「以前はなかったお酒のコーナーも読んでくれるようになったので、毎週楽しみに聴いています。」など、自己紹介の時にそれぞれの思いを伝えました。
 ボランティアの方からも私たちに対し、 「読む速さは今のままでいいでしょうか?」 「冷凍・冷蔵・調理法などを読んだ方がいいでしょうか?」などいくつか質問がありました。
 ほとんど「今まで通りでかまわない。」というみんなの意見でした。それに加えて、 「コーナーとコーナーの間が分かるように、何か音を入れてほしい。」「テープの面が変わる時にはそのことを言ってほしい。」「読んで下さっている方の名前もできれば入れてほしい。」などを新たに要望しました。これからはそのようにして下さるそうです。
 また、昨年9月に要望していたカタログのデイジー版も今年中に実現できそうだとのことでした。
 わずか1時間ほどでしたが、実りある交流会でした。私たちがお土産に持って行ったアクリルたわしも、とても可愛いと喜んで下さいました。
 会が終わった後、生協の店で買い物のサポートもしていただきました。
 普段はスーパーで買い物をすることが 少ない男性たちも、お酒のつまみなどを沢山 
買い込んでいました。
 生協は個人宅配もして貰えるし、私たち視覚障害者にとっては大変便利で、なくてはならない存在です。

まさか私がマラソンなんて
畠山 俊惠
 私は学生時代、何より苦手だったのが1月の終わり頃に行われていたマラソン大会です。
 3学期になると「耐寒訓練」と言って、生徒も職員も全員が参加して、学校の周りを
10分ほど走っていました。
 1周5、600mくらいではなかったかと思いますが、友達に引っ張られて3周することもありました。
 しかし、最後に行われるマラソン大会は円行寺街道を5kmです。あんな苦しくてつらいものはありませんでした。
 途中に立っている先生が見えだしたら走り、見えなくなったら歩き…。まあ何とも
不真面目な学生でした。
 交通量が増えて危ないという理由で、マラソン大会がなくなったと聞いたときは、大喜びしたことを覚えています。
 そんな私でしたが、今は走りたくてたまりません。どうしてこれほど変わったのか自分でも不思議です。
 視覚障害者の駅伝大会が、毎年滋賀県で行われているそうです。高知もぜひ参加したいという話は何年か前からあったそうですが、メンバーが一人足りないために、未だ実現できていないとのことでした。
 私に「そのチームに入らないか」と話があったのが、一昨年の暮れのことでした。「いやよしんどいに。ぜったい無理!」と一度断っていました。
 それから少したった頃、たまたま卓球をしに来ていた前岡さんから、改めて駅伝の誘いを受けたのです。「一番短い3kmを走ってくれたらいいし。」と前岡さん。「3km?そうやねえ。まあ3kmなら頑張ってみようか。」と思い、私はオーケーしたのです。
 その後、伴走の細川さん(市立養護学校の男性教諭)を紹介してもらい、昨年の3月から駅伝に向けての練習を始めました。
 細川先生は私の近所に住んでいる方ですが、練習のときはいつも走って私の家まで迎えに来てくれます。そこから歩いて鏡川の所まで行き、堤防沿いを走ります。
 何十年も走ったことがないので、最初は
500mくらいから始めました。少しずつ距離を伸ばしていって、6月頃には何とか3km走れるようになりました。
蒸し暑いときには滝のように流れる汗。「もうやめたい。えらいことを引き受けたもんや。」と何度思ったことでしょう。
 親しい友達に伴走してもらっていたら、すぐやめていたかもしれません。細川先生が私のために時間を作って伴走してくださっていると思うと、つらくても言えませんでした。それがかえってよかったのかもしれません。
 雨で3週間練習ができなかったこともありましたが、だいたい週1、2回のペースで練習していました。
 駅伝は1チーム5人です。前岡さん夫婦・林さん・檮原で鍼灸を開業している親子ほど年の違う宮本くん。そうそうたるメンバーです。その中で、全くマラソンの経験もない私…。なんとか無事たすきを渡すことだけを祈っていました。
 2回の合同練習を経て、9月2日に行われた視覚障害者の全国駅伝大会に参加しました。
 私たち「高知ライトステップス」は初出場にもかかわらず、25チーム中8位と大健闘でした。私自身も予想タイムより1分ほど早く走れたのでほっとしました。
 最初は、駅伝が終わったらやめるつもりでしたが、あの日の何とも言えない感動が忘れられず、その後も走っています。
 11月23日には日高村で行われた健康マラソンに参加して、「3km一般女子」で
17人中7位でした。
 2回の大会とも、伴走は高知女子大の八木さんという方にしていただきました。
 この3月2日には、京都で行われる視覚障害者のマラソン大会に参加します。3kmの部の全盲女子は9名だそうです。果たして何位になれるか分かりませんが、私自身18分を切りたいという目標があります。
 今年中には5kmにも挑戦したいと思っています。
 「一度大会に出たらやめられなくなる。」とよく聞きますが、私もその気持ちが少しだけ分かるような気がします。
 健康のためにも、マラソンを続けていきたいと思っています。

第13回中・四国盲ろう者大会(徳島)に参加して
             田元 美紀
 昨年11月17〜18日、徳島で第13回中四国盲ろう者大会が催された。徳島県立障害者交流プラザの体育館で、開会式、歓迎アトラクション、全体会が行われた。
 受付を済ませ、福祉機器展示を見て回った。拡大読書器が展示されていた。「でこ人形」を触れる体験コーナーがあった。
「地域活動支援センター やまもも」のメンバー(聴覚障害者)の指導を受けながら、プラスチックのテープを編んで金魚を作る体験をした。予想以上に難しかったが、できた時は大変嬉しかった。その金魚は今、「守る会」の印刷所のドアの内側に飾られている。
「やまもも」で作られたコースター、携帯電話のストラップ、キーホルダー、レッグウォーマー、などが販売されていたので、私もストラップなどを買い、リーフレットを貰った。
参加者の名札とストラップは、障害の種類によって色分けされていた。盲ろう者は赤、聴覚障害者は黄色、視覚障害者は青、その他は白(ストラップは茶色)だった。
13時30分、開会式が始まった。実行委員長(徳島盲ろう者友の会会長)の高原シゲミさんが開会のあいさつを述べた。「前会長の近藤孝直さんが昨年(2006年)11月帰らぬ人となった。彼を偲ぶパネル展も企画されている。盲ろう者が中心となって企画し、準備を進めてきた。中身の充実した大会となりますよう」
来賓の大杉勝則さん(全国盲ろう者団体連絡協議会代表)が祝辞を述べた。「盲ろう者団体連絡協議会は盲ろう当時者の声を国や社会に届けようと、昨年8月に設立され稼動したばかりである。盲ろう者福祉の向上や盲ろう者の生活の安定をと、盲ろう運動に取り組んでいる。更に仲間の輪が広がることを期待している」
開会式の後、徳島ろう学校中学部、高等部によるアトラクション。中学部は劇「語り続ける手 私たちは忘れない」、高等部は「長崎くんち 龍(じゃ)踊り」を上演した。
中学部「語り続ける手 私たちは忘れない」。10月10日から2泊3日で長崎・佐賀・福岡に修学旅行に行ってきた。思い出に残る楽しい旅行になったが、それと共に平和について考える機会となった。「長崎で何が起こったか、何をしていくべきか」という劇と発表である。
 修学旅行の前後に、平和について意識調査をした。旅行の後には「世界各国が仲良くする」「戦争の怖さを伝える」ことの大切さを意識するようになった。「戦争の悲惨さと平和の貴さをこの手で語り続ける」
 高等部「長崎くんち」。スライドに龍の張子を作っている様子が映し出された。前の人が太鼓を叩くと、龍が入場してきた。太鼓の響きに合わせてぐるぐる回った。先導の龍使いが玉を動かすと、その動きに合わせて龍が体をくねらせた。龍が退場すると、拍手が起こった。
 休憩の後、全体会(意見発表会)に移った。
 川村啓子さん、土井裕美さん、矢橋和子さん(山口盲ろう者友の会)「聞きたい、話したい、いろんなこと」:3人で助け合いながら発表した。「岡山での中・四国大会に初めて参加したが、ソーセージ作り、バター作りを体験した」(川村さん)「いろいろなコミュニケーション方法であいさつをし、握手を交わした。それがとても嬉しい思い出」(土井さん)「施設での生活は4年になる。他の人とコミュニケーションが取れず寂しい思いをしたが、いろんな人とお友達になれて嬉しい。点字の本を読んだりしている。パソコンを覚えたいので勉強したい」
(川村さん)「私は文章を書いたりしている。メールは携帯電話でしている。もう1つの趣味は折り紙。小学5年まで見えていた。弱視になっても指先や頭の感覚で覚えている。作品を持ってきている」(土井さん)
 女鹿田久美子さん(しまね盲ろう者友の会)「私の体験談」:見えないために活動する気力もなく4年間寝たままの生活だったが、手話通訳が家に来てくれて、手のひら書きでのコミュニケーションを取った。初めはろう者同士でも手のひら書きだったが、自然にぎこちない手話だが会話ができるようになった。手話サークルのビアガーデンでは、触手話で会話を楽しんだ。ライトハウスライブラリーで点字の学習会が始まった。職員から指導を受けて段々点字のほうも上達していった。点字を教えて貰うかわりに手話を教えた。ショッピングセンターで歩行訓練を受けた。通訳、ヘルパーと一緒に白杖を使って歩いた。おにぎりを作ったり、インスタント味噌汁を入れたりした。漬物もスムーズに切ることができるようになった。
 棟口健次さん(広島盲ろう者友の会)「私の体験」:補聴器を頼りに何とか音声でコミュニケーションを取ることができる。1995年、右眼、左眼と見えなくなり、仕事ができなくなった。視覚障害者として自立するため、いろいろ勉強した。指点字に出会い、どこか指点字を習った人はいないかと探し回った。手書き、触手話も体験させて貰った。広島での大会の時までに(触)手話や指点字を使って自分の力でコミュニケーションが取れるようになりたい。
 赤木豊さん(岡山盲ろう者友の会)「パソコンができるようになって」:耳はほとんど聞こえない。眼は先天性白内障だったが、
40歳の頃白内障、網膜色素変性症が広がり、すごく暗く、つらくなった。2006年6月に盲ろう者向けパソコン講座が開講し、受講した。初め、コードのつなぎ方を覚えた。7月にはニュースを聴く方法を覚えた。8月にはテキストを読みながらキーの位置を覚え、ローマ字で文字入力の練習をした。翌年の2月にはメールのやりとりができるようになった。

日中だけという慌ただしいスケジュールだったが、盲ろう者の意見を聴き、生活を知ることができた。高知でも盲ろう当時者が活発に活動できるようになることを願っている。

編集後記
             片岡 慈仲
 本号の発行が遅くなってしまい、申し訳ありません。
 割と寒かった冬もやっと終わり、本格的な 
春が訪れてきました。しかし、食料品などの生活必需品の相次ぐ価格高騰に加え、4月からは「後期高齢者医療制度」という高齢者いじめの悪法がスタート。私たちの生活は政府の悪政の結果ますます厳しいものになりつつあります。こんな時こそ一層仲間の輪を 大きくし、自分たちの生活を守るため力を尽くさねば、と思います。
 そんな折、「高知県視覚障害者の就労を促進する会」が2月10日、110名という多数の参加者で力強く結成されました。
署名数も1ヶ月足らずで5千筆を上回り、要請葉書も県外482セットを含め
約650セットを普及しました。県議会への請願書も各会派の賛同を得て提出することができ、間もなく採択されるでしょう。
 このことは、切実な要求を掲げて立ち上がれば、きっと大きな支持が広がり、大きな運動に発展するという何よりの証明です。今後も粘り強く私たちの生活を守るため努力していきましょう。



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