みちしるべ
No198 2008年5月号

目次(ページ内リンク)
長寿医療制度と障害者 パートU  藤原 義朗
越知町の料亭で楽しいひと時を  畠山 俊惠
風蘭の鉢植え会  友永 行保
県議会、市議会で請願書が採択されました 高知県視覚障害者の就労を促進する会  吉岡 邦廣
第79回メーデーに参加して  中平 晃
点字用紙30枚の話  大上 俊子
編集後記  有光 勲

長寿医療制度と障害者 パートU


藤原 義朗
 長寿医療制度が始まり1ヶ月が経ちました。「名前だけ変えたっていかん。中身を変えんと」など、聞こえてきます。
 前回は「65歳でどっちを選ぶ」と題して書きましたが、「長寿医療制度と障害者・
パートU」として続けさせていただきます。

1.高知市の独自減免続くか?!
 「高知市は国保料が高い」と、いわれることがあります。しかし、高齢者、障害者、寡婦の人には独自減免制度がありました。私は、保険料が国保か長寿かどちらが得かシミュレーションしてきましたが、意外と高知市の障害のある人に長寿を選ぶと保険料が高くなる人が多いことに気付きました。
 具体的には、1年間の年金収入が153万円以下の高齢障害、寡婦の人で年間国保料
9750円の人が、長寿医療制度を選ぶと年間保険料14570円に上がるのです。
なぜなら、今まで高知市が全国に誇れる独自減免制度を行なっていたからです。それにしても、これはあまりにも高い値上げです。
(保険料の計算式は前号に示しましたので、そちらをご参照下さい。)
そこで、高知市は、「65歳から69歳までの障害のある人で、長寿医療制度を選択した際、保険料が上がる人2百数十人については、その値上がり分を補助させていただきます。」ということにしたのです。その代わり、高知市の思惑は、重度障害者福祉医療の人について、国保を選んだ際、70歳までは、3割分補助しなければならないので、いっそのこと長寿に移行させて、1割分の補助で済ませようというものです。
 3月に、「国保を選ぶか長寿を選ぶか、お申し出がなければ自動的に長寿になります」という通知が対象の方に送られてきたのです。届いた人の中には「どういうことなのかさっぱり分からん」と、私やケースワーカーの所に通知を持って来られました。
☆今後の闘いのポイントは、
・国保を選んだ人でも、重度障害者福祉医療制度の適応をさせること。
・今までの国保の独自減免を守ること。
・長寿を選んだ障害の人の保険料の減免制度を守ると共に、75歳以上の人の独自減免
を勝ち取ること。
そのためには被保険者を中心とした連帯行動が大切になってきます。

2.保険証も通知も障害の人に
分かるのか?
 まだ新しい保険証を病院に持って来られていないお年寄りがおられます。高知市からは3月末にピンク色の封筒でご自宅に郵送されたはずです。お年寄りの中には何のカードなのか分からない方もおいでます。それが視覚障害者にもそのまま保険証カードが送られてきたのです。
 皆さん、カードの見分けはつきますか?私は20枚くらいカードを持っていますが、覚えきれず、いつも人に見分けて貰っています。「みんなの為の郵便局をよくする会」で、正岡先生が、郵貯銀行のキャッシュカードには、「テ」という〒マークを浮き出しで付けてほしいと言っておられました。そのように長寿保険証の場合には、国土地理院の病院を示す十字マークなど触って分かるカードにして貰う必要があります。
 なお、この保険証は磁気カードではありません。墨字が隠れないなら点字を振ってもかまいません。
 それと共に必要なことは、7月中旬に納付書が送られてきます。年10回に分けて送られてきます。75歳以上の人は年金からの天引きですが、65歳から74歳までの障害の人は納付書通知です。これでしっかり納めなければ、1年後には短期保険証が送られてきて、保険証が取り上げられる危険性があります。
 今まで、高齢者や障害のある人は、人道的な理由で保険料を納めることができなくても、保険証の取り上げはありませんでした。しかし、この保険制度になると取り上げも可能になるのです。このように、納付書なども、視覚障害者にしっかりと分かるように点字通知や説明をして貰うことが必要です。

3.現時点でどっちが得か?
 これは、住んでいる地域の制度、年齢、保険、重度障害者福祉医療制度(マル福)を受けているか、医療ニーズなどがポイントになります。
金額のみでいうと、
@高知市以外の人でマル福の人は、保険料の安い方を選んだ方が得です。マル福以外の障害の人は、受ける医療サービスの量によって異なります。
A高知市の人でマル福の人は、国保か長寿かというと、保険料の補助がある分、長寿の方が得です。健康保険家族のように、被扶養者の人は保険料支払いのない分、健康保険の方が得な人が多くなります。
 ここで、気をつけないといけないことは、今回の医療制度改悪が、医療費の伸びを押さえつけることを最大の目的に作られた制度だということです。外来のマルメ医療、6千円業務は、それこそ、1ヶ月6千円分位のサービスしかしませんよ、という危険なものです。
 5年前、重度障害者福祉医療制度の県単事業の切り崩し問題の時に、大運動が起きました。障害があって、普通の人よりもっと医療機関にかかることが多いからです。しかも、いろんな科にかかることがあるのです。それを制限する恐れのあるのが6千円のマルメ医療です。
 現在、多くの県医師会や保険医協会、全日本民主医療機関連合会などが反対の狼煙をあげています。障害者だからこそ、この医療給付の制限に反対していこうではありませんか。


4.差別反対
 同じ人間なのに、75歳になったら受ける医療が減らされる。65歳の障害で長寿制度になったら減らされる。この典型が、高知市国保老人のあはき補助券打ち切りです。今まで国保制度として出していたのだから、別の保険の人は適応になりませんよ、という高知市側の理屈です。もう一つ、高知市の人で葬祭料が減らされたことです。5万円だったのが長寿で3万円に減らされたのです。ある高齢の方が「75歳の誕生日までに死んだ方が得なのね」と、悲しいジョークを言っておられました。このように、年齢による差別、障害による差別は大きな矛盾を生んでいるのです。
 現在13の道県で高知市のように国保から長寿への誘導策が行なわれています。4月下旬に行なわれた参議院厚生労働委員会でもこのことが採り上げられ、厚生労働省が緊急に調査活動に入っています。近く、何らかの制裁措置が行われます。
 県内では、高知県長寿医療広域連合の下に、長寿医療制度懇話会が作られる予定です。学識経験者や被保険者などで構成されます。障害者の立場で発言できる代表を送り込むと共に、そこに意見を集中しようではありませんか。
 10月には、今年度第1回目の広域連合議会が開催されます。そこにも意見を集中し、みんなで傍聴に行きましょう。

5.おわりに
 現在8の都道府県に保険料の独自減免が実現しました。この「みちしるべ」が発行される頃は、高知市のあはき補助券になんらかの動きが出ているかもしれません。
 元朝日訴訟対策委員会・長ひろし事務局長の「権利は闘ってこそのみ勝ち取られる」という言葉を思い出します。

越知町の料亭で楽しいひと時を


             畠山 俊惠
 今年の女性部総会と懇親会は、越知町にある「土佐料理狩女」という所で行いました。
 会員の松田百加さんが、体調を崩しここ数年行事に参加できていなかったので、みんなで訪ねていこうという話になったのです。そのことを百加さんに伝えると、「いやあ嬉しい!久しぶりにみんなに会える!」と、とても喜んでくれて、早速「狩女」に予約の電話をしてくれました。
 4月27日、私たちは9時20分にJR旭駅に集合して、39分の窪川行き普通列車に乗りました。
 西佐川まで約50分の車中でも、積もる話に花が咲き、あっという間に到着したという感じでした。そこから3台のタクシーに分かれ、越知町にある「狩女」に向かいました。
 私たちが店の奥の座敷に落ち着いた所へ百加さんも到着しました。今年の総会の出席者は15名中13名で、こんなに集まることはまずないことです。
 議長に井上奈美子さん。書記に大原保子さんを選出し、議案書に沿って進めていきました。
 07年度の活動報告の中の反省として、「外から講師を招いての学習会の時、集まりが悪いので、講師の方に対して失礼だし、早く来て待っている者の気持ちもたまらない。会が始まる10分くらい前にはみんなが席に着いているようにしようというのは前々からの課題ですが、それがなかなか守れない。自分たちが計画した学習会なので、もっと一人一人が社会人としての自覚を持ってほしい。これから学習会を計画する時は、もっとみんなが集まりやすい時間にするなど、役員で話し合って貰いたい。」という貴重な意見が出ました。
 それはどの会でも言えることですが、気をつけなければいけないことだと思います。
 08年度の活動方針案では、女性部奈良 大会で高知が担当する「気軽に参加」の分科会について。当日は「健康運動指導士」を招いて、健康についての話や、その人に合った運動方法などを教えて貰うことになっています。高知でも実際に「健康運動指導士」の方に来て貰って、話を聴いてみようということになりました。
 今年は役員選挙があり、次のように決まりました。
部長…畠山俊惠、副部長とレクリエーション兼任…田所良子、会計…田所国江、
学習…井上奈美子、組織…大原保子。  
また、会計監査とレクの補助を津野一美さんにお願いしました。
 総会は予定通り12時頃終わり、懇親会に入りました。
 百加さんの知り合いのヘルパーさんも 参加したいということで、みんなが注文していた「松田精肉店」のコロッケを70個買って、駆け付けてくれました。その店のコロッケは、「美味しい」と評判になり、遠くから車で来て、1人が何十個も買っていくそうです。
 百加さんの乾杯の音頭で懇親会が始まりました。1500円とは思えないくらい美味しい料理を沢山食べて、ちょっといい気分にもなって、ますます話も弾みました。
 約2時間ほどでしたが、楽しいひと時を 過ごしました。みんなすっかり「狩女」が気に入って、「来年の総会もまたここでしよう。」と、もうほぼ決定といった感じの雰囲気でした。
 天気にも恵まれ、元気な百加さんにも会え、最高の1日でした。

初の風蘭鉢植え会を開催


             友永 行保
 3月1日盲人ホームで、男性7名、女性3名が、風蘭の鉢植え会を行いました。
 初めに、簡単に各テーブルの風蘭・鉢・水苔を説明し作業開始、風蘭の根を軽くやさしく水苔で包み込み鉢に入れ、高さを調節しながら根と鉢の隙間に水苔を入れ、水苔の上に肥料をこき水を充分やれば成功。
 参加者の数人が驚いたのは、丸鉢の縦の部分が長方形に6個所穴があいている事、これは、風蘭の根が腐らないよう穴があいているのです。4月5月になると、新芽・新根が葉と葉の間から顔をだし、どんどん生育します。6月になれば、花芽は大きくなりますので、つぼみの時から、家の中で育ててください。実は家の外では、害虫が花をねらい食べてしまいます。さて、風蘭が開花すれば香りの当番です、花は1ヶ月以上もちますので、咲き始め・中・後、時間(昼・夜)、少しずつ変化した甘い高貴な香りが楽しめます。江戸時代この風蘭を絵付の鉢にいれ床の間に飾り、侘び寂び(わびさび)香りを楽しんだ日本特有の文化です。ご意見ご質問お願いします。  
友永鍼灸指圧院 
電話088−883−6916

県議会、市議会で請願書が採択されました


高知県視覚障害者の就労を促進する会
吉岡 邦廣
 日ごろより厚いご支援をいただき、本当にありがとうございます。皆さんの力強いご支援のおかげで、県、市の3月議会で請願書が採択されました。
 県議会に3月3日、市議会に3月13日に提出した、点字による職員採用試験の実施と39歳までの年齢制限の緩和を求める私たちの請願書はまず総務委員会で審議されました。その後本議会に廻され、県、市ともに全員一致で3月19日、24日に採択されました。
 この間総務委員宛に、皆さんからは450通以上の要請葉書を届けていただきました。県議会では議長が届けられた葉書を持参し、「これだけたくさんの人の注目を集めています」と述べるなど、たいへん大きな訴えとなりました。
 請願書が採択となっても必ずしも要望が実現されるかどうかは分かりません。しかし請願書の採択を受け、高知県では遅くとも来年度には点字試験が実施できるよう動き始めており、高知市も高知県の動向、他県他市の状況を調査して検討を進めると市長自身が答弁しています。請願書の提出により、これまでの門前払いの状況に一石を投じることができました。
 皆さんからは、ニュース印刷、署名活動等にとても大きな協力をいただいています。2月10日の結成以来すでに5度のニュース発行、街頭署名を行うことができました。現在までに8000筆を超える署名をいただいており、順次高知県、高知市に届けています。高知県には3月12日、4月23日、高知市には3月17日、4月23日に皆さんからいただいた署名を手渡すことができました。また、ほぼ2週間に1度というハイペースで行ってきたにもかかわらず、街頭署名には常に10人以上の方が参加して下さっています。
 皆さんからの並々ならぬご協力にたいへん感謝しています。本当にありがとうございました。
 これからは執行部との交渉、全盲の視覚障害者の就労事例の調査に注力していきますが、署名活動は引き続き継続したく考えています。また、ニュース発行の費用等、厳しい財政のやりくりが予想されております。年会費一口500円にて会員も募集しています。
 要望が実現されますようこれからも頑張ってまいりますので、今後とも厚いご支援のほどをなにとぞよろしくお願いいたします。

第79回メーデーに参加して


中平 晃
5月1日、高知県視覚障害者の就労を促進する会は、第79回高知県中央メーデー高知市中央公園会場で署名行動を行いました。県と市合わせて196筆集まりました。
 さて、メーデーでは組合の方などが決意表明を行いました。非正規雇用問題、ガソリン価格上昇、後期高齢者医療制度や年金、労働組合の役割、その他多くの話を聞け、どれもその通りだとうなずける話ばかりでした。そして、促進する会の吉岡会長も決意表明を行いました。吉岡会長自身のこと、議会で請願が採択されたこと、重度視覚障害者の職業の現状、労働組合と障害者は協力できるといったことを述べました。
 決意表明、合唱の後は行進を行いました。
労働条件改善、福祉を切り捨てるな、戦争反対、その他多くの訴えを行いながら1時間ほど歩きました。
 その後はプラカードのコンテスト、昼食を兼ねた交流会を行いました。
 多くの方と協力することで大きな力を生み、世の中を変えていくことができると改めて思った1日でした。

点字用紙30枚の話


       大上 俊子(岐阜県恵那市)
こんにちは!エネルギッシュな皆さんの頑張りに、いつも勇気と元気をもらっている私です。
高知を離れて20数年、でも、高校野球で一番に応援するのは、やっぱり高知の学校だし、「土佐」とか「高知」という言葉に思わず聞き耳をたててしまう、この癖もおそらく一生涯続くことでしょう。最近やたらと昔のことが懐かしく思えるのは、やはり年のせいなのでしょうか?
さて、表題の点字用紙の話もその懐かしい思い出の一つです。30数年前、盲学校はまだ木造の古い校舎でした。南校舎の1階に点字印刷の作業を行なう「印刷室」があったことを憶えておられる方も多いことでしょう。そこには、今は亡き大矢先生が大抵一人だけ、そして、冬には石油ストーブがあり、おしゃべりしながら暖をとれるなど、こんな好条件から、いつも人がたくさん集まる所でもありました。私もご多分に漏れずよく行ったものです。特に、プロ野球のシーズン中には先生も私もこよなく愛してやまない阪神タイガースの話題に一喜一憂し、火花を散らしたものです。「といさんよう」とスローで語尾を伸ばしぎみに話していた大矢先生の声が聞こえてくるようです。
あれは、私が卒業した年の冬のことでした。大矢先生から、「といさんよう、視協の会報の名紙交歓会に出してくれんかねえ」と言われ、私も何の躊躇もなく、「文章はおまかせ」ということで、何がしかの料金を支払い約束は成立しました。後日できあがった会報を手に、私は興味津々で読み進んでいくうちに、とても気になる人を見つけたのです。その人は、型どおりの新年の挨拶の後に「私も神戸に出稼ぎにきております」と自己紹介をしていました。当時私は神戸の治療院に就職したばかりで、懐かしさも手伝って「そんな人がいるのなら、ぜひ会ってみたい」と何だかどきどきでした。しかし、それが私自身のことだと知った時は本当に驚きました。「え?若い娘が出稼ぎやなんて…それはないでしょう失礼な!」私の怒りはおさまりません。大矢先生に猛然と抗議したことは言うまでもありません。「そりゃあすまんかったねえ。後でお詫びをするわ」そう言って手渡されたのが数十枚の点字用紙だったのです。それがいったい何枚だったかまでは、すっかり忘れていたのですが、人から最近になって30枚だったと言われて、おそらく「たったの30枚だった」とさぞかし周りにぼやきまくっていたのだろうなと思うと、おかしいやら恥ずかしいやら…。でもよく考えてみれば「文章はおまかせ」と言ったのは私だし、お詫びをしなければいけないのは、もしかして私の方かも。でも、やっぱり「出稼ぎはないでしょう」といまだに苦笑いです。
あの頃の盲学校は、生徒数も多かったけれど、アットホームな雰囲気だったし、生徒会活動も部活動もとても活発で、みんなすごく輝いていたような気がします。
ふるさとからの定期便、みちしるべがいつも待ちどおしい私です。これからも皆さんの元気なお声をたくさん聞かせて下さいね。

編集後記


              有光 勲
 今年度最後の「みちしるべ」をお届けします。年間6回の発行となっておりますが、今年度は192号から198号まで7回発行することができました。その中には全視協全国大会や自治体交渉報告集も含まれています。また、新スタイルの自治体交渉に関する号外や、特急列車と高速バスの発着時刻表もお届けすることができました。また、このほど結成された「就労を促進する会」の情報活動にも積極的に協力してまいりました。
 ところで先日の役員会で、「みちしるべも あと2回で200号になる。200号記念誌といったものを発行してはどうか」という 意見が出されました。次年度編集部の活動計画に入れ実現できるよう努力したいと思います。「みちしるべ」に関する古い資料などありましたら、ご提供いただけませんか。また「200号記念誌」発行についてのご意見もお寄せ下さい。
 この1年間編集部へのご協力ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。



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