みちしるべ
No202 2008年10月号

目次(ページ内リンク)
「全視協全国委員会と手をつなごう要請行動」報告  井上 芳史
元気な女性が奈良に集合  畠山 俊惠
「生活」の分科会に参加して  津野 一美
女性部大会に参加して  大原 保子
読者の声  我が家に天使がやって来て…  山崎 理恵
タッパーウェアーの料理教室に参加して  田處 敬子
マドリードの触れる美術館  片岡 慈仲
最新の点字地図帳が出版された  田元 美紀
こんな風に変わります  正岡 光雄
編集後記  大堀 正寿

「全視協全国委員会と手をつなごう要請行動」報告


             井上 芳史
 9月6日、7日と全国委員会、8日には手をつなごう要請行動が行われました。高知からは井上・吉岡邦廣・正岡光雄の3名が参加しました。
 1.会員・「点民」拡大と永続可能な全視協について:各組織の意見をまとめると、(1)「点民」の隔月化(2)全視協大会後の全国委員会の廃止(3)全視協会員の「点民」購読料の一部負担(4)カンパ活動などでした。執行部はこの意見を参考に次回の全国委員会で提案することになりました。突然でしたが、建物を全視協に寄付したいという方が現れ、寄付を受けるためには贈与税の減免手続きをしなくてはならず、直ちに「法人化検討委員会」を立ち上げる必要があると説明があり、承認されました。
 2.東京都三鷹市では視覚障害者の日常生活に必要な情報が得られるよう、家庭に来てもらい読み書きサービスを行う事業が実現されたことが報告されました。
 3.2011年に完全実施となる地デジ放送ですが、受信機(テレビ・録画機・リモコン)など音声化されていないため、画面での設定や選択が分からないので重度視覚障害者には操作が出来ない、早急に音声読み上げのある機種を開発してほしいという切実な要求がありました。
 4.2009年から実施される裁判員制度ですが、裁判員決定の手順は(1)今年12月頃に裁判員候補者名簿が作成され、名簿登録者には通知書が郵送されます。
(2)約50名の候補者の中から6名が選ばれます。候補者には調査票が送られてくるので特別な配慮が必要なことを申し出てほしいと説明されました。
 5.要請行動では国土交通省に行って来ました。要求書に対しきちんと検討しているなと感じましたが、成果は何もありませんでした。高知からも要望が出ていた「高速道路通行料減額の登録車」のことです。視覚障害者の場合、家族や知人など多くの車に乗せてもらうことがあり、複数の車の登録を願っていますが、各会社が運営しているので各会社に要望してほしいと回答がありました。
 3日間の会でしたが、高知の「就労を促進する会」の取り組みが注目されました。吉岡さんが「全国の仲間の応援に感謝したい、点字採用試験の実施が実現した」と成果を報告したところ大きな拍手がありました。30数年の分厚い壁を破るような大きな拍手でした。
 次回の全国委員会は2月7日〜8日です。また、全視協石川大会は6月12日〜14日です。輪島へのオプションツアーも企画されています。多くの成果を持って大勢で参加しましょう。

元気な女性が奈良に集合


             畠山 俊惠
 今年の女性部大会は、8月23、24の両日、奈良市の「ホテル・アジール」という所で行われた。
 高知からは、大原保子さん(初参加)・ 
津野一美さん・梶原百合子さん・畠山の女性部4人と、全視協会長の正岡先生が参加した。
 私は前日に行われた代表者会議に参加するため、みんなより一足先に奈良へ向かった。
 高知から大阪梅田まで、高速バスで初めて一人旅をしてみた。梅田に予定より20分も早く着いたために、私はどこか違う所に着いたのかと思って、降りる準備もせずのんびり座っていた。まだ時間があると思っていたので、うっかり車内放送も聞き逃してしまったのです。周りの人がどんどん降りていくので「えー?一体ここはどこ?」とだんだん不安になってきて、「どうしようどうしよう。」と思っていると、「このバスに視覚障害者の方は乗っていませんか?」と迎えに来て下さったボランティアの方の声が聞こえてきた。私は慌てて降りる準備をした。そこが終点だったのでよかったものの、大変なことになるところだった。
 大会参加者は120名。開会セレモニーでは奈良らしく、「大仏さん」にまつわる民話の朗読があった。
 開会式の来賓挨拶では、全視協会長の正岡先生が、「若い仲間を育てること。苦しい人たちの立場に立って運動を進めていくこと。」の2つを特に強調された。
 今まで2日にわたって行っていた全体会を、今年は1日目に全て済ませるとのこと。
 今年もやはりヘルパーに関する意見が 多く出された。「家族の食事は作ってくれない。」「掃除も本人の部屋しかしてくれない。」「染みやカビを取ってほしいと言うと、『それは大掃除になるからできない。』と言われた。」「読み書きをお願いしたら、『介護保険の支援手続きをして下さい。』と言われた。」「ガイドヘルパーさんに水増し請求をされた。」などなど…。
 私自身はほとんど不満に思ったことが ないので、事業所によってかなり違いがあることを知った。
 「視覚障害者がヘルパーさんにして貰いたいことはこういうことなんだという『私たちのマニュアル』を作って、市町村に要望していったら。」という意見もあった。
 ヘルパー問題について正岡先生が、「行政で一定のマニュアルがあるが、各事業所ごとに事業所のマニュアルもある。個人的な対応ではいけないので、自立支援法見直しのこの時期に、適切な交渉をしないといけない。」とおっしゃった。
 全視協女性部として、「中途視覚障害女性」問題の取り組みがあまりできていない中で、福岡ではその方たちとどう関わっていったらいいのか、いろいろ考えながら取り組んでいるという報告があった。
 励ますつもりで「頑張ればできるよ。」と 言った言葉が、かえって相手を傷つけている 
ことが大いにある。その方たちが見えていた 
頃に生きがいとしてきた、例えばコーラス・茶道・体力アップの運動などを一緒にすることで、理解し合えるのではないかと思っている。
 全体会の最後には島田部長が、「梅尾裁判を全面的に支援していくこと。自立支援法の応益負担反対、撤廃に向けての運動。銀行利用の問題・家電製品の問題・仕事の問題など、目まぐるしく変わっていく社会に障害者が取り残されないように。みんなと同じような快適な生活ができるように…。一つ一つの問題を全視協女性部の活動として、これからも頑張っていきましょう。」と言われた。
 夕食後は、高知の女性部4人と川田佳子さんと私の姉の6人で、奈良駅の近くの商店街まで歩いて行き、ショッピングを楽しんだ。
 「マリンバの演奏らあ聴きとうないねえ。」 
「このまま帰らんとろうか。」「いやあ、それはまずいやろう。」という話になり、慌ててホテルに帰ると、ちょうど「黄昏コンサート」が始まるところだった。
 松本真理子さんというマリンバ奏者とその門下生の素晴らしい演奏を聴いた。1人で何本もの撥を持ち、見事なばかりにマリンバを奏でる松本さんたちに会場から大きな拍手が起こった。「アメリカン・パトロール」「聖者の行進」「剣の舞」など懐かしい曲も沢山あり、聴いて本当によかったと思った。
 2日目の午前中は分科会が行われた。
 高知が担当の第6分科会(気軽に参加)は大原さん、梶原さん、畠山の高知3名を含む14名の参加だった。
 「生き生き健康ミドルライフ」ということで、健康運動指導士の松田誠さんに「メタボ対策」の意味で、手軽にできる体操を中心に教えていただいた。
 運動は、まず自分自身が第1歩を踏み出さないと何も始まらない。自分に合った運動に出合ったら長続きする。運動は週3回位が 理想的。筋肉を休めることも必要とのこと。
 早速体操に入り、みんなで声を合わせて 数を数えながら手足を伸ばしたり、体を曲げたり捻ったり…。普段あまり使わない筋肉までしっかり血液が行き渡ったという感じだった。
 松田さんはなかなか面白い方で、いくつも 
駄洒落が飛び出しみんな大笑い。そんな和やかな雰囲気の中で覚えきれないほど沢山体操を習った。
 私の隣でしていた百合ちゃんも、「最初はしんどかったけんど、だんだん気持ちよくなった。」と言っていた。川田佳子さんはなぜか「もう疲れた。」と座り込んでいた。
 肩こりのしないパソコンの操作法を教えて貰ったので紹介します。パソコンを使う 前に手のひらを上にしてキーボードの上に 載せる。それからくるっと手を元に返して キーボードを触ると、肩こりが随分違うとのことです。皆さんも是非試してみて下さい。
 午後からの記念講演は、「東大寺創建の志を後世に伝えてゆく意義」と題して、華厳宗庶務部長、東大寺庶務執事の狭川普文氏
(57歳)が講演された。そういうお仕事をされているとは思えない、まるで吉本のお笑い芸人が現われたのかと思わせるような 陽気な方だった。東大寺を守っていく上での苦労話をユーモアたっぷりに話されて、会場いっぱいに笑いの渦が広がった。
 閉会式では、大原保子さんが大会宣言(案)を堂々と朗読した。
 次の大会開催地「福岡」に引き継いで、奈良大会を終了した。

「生活」の分科会に参加して


津野 一美
 今回は2日目の午前中を全て分科会に当て、意見の交換や各組織の状況等を出し合い、充実した時間を持つ事が出来ました。
 参加者は15名で、大阪ライトハウスの堀内さんを助言者に迎え、特に中途視覚障害者が、どうやったら日常生活に解けこみ「あれをしたい、これをしたい」という、意欲を持つ事が出来るか、普段関わっておられるお仕事の様子等を織り交ぜながらのミニ講演、そして、自己紹介を兼ね、日頃困っている事や色んな工夫や裏技等を出し合ってなかなかわき合いあいで進行しました。
 毎回話題に上るのが、カード問題と、代筆の事です。私はデパートや商店等8枚くらいしか持っていませんが、金融機関の物を除いて30枚以上も持っている方がいて、百均で買ったカードケースに入れて見せてくれました。50音順にはめ、それぞれの袋に点字シールを貼って判りやすいようにしてあります。そのカードも一定の所にかざしたり、差し入れたり、使用方法が判りにくくて困るとか、「金融機関での代筆が認められないので困っている」という方が沢山いました。弱視の方からは、役所の書類や金融機関の用紙の色や枠が薄くて見難いとの意見が出ました。私の場合は、利用する所の用紙を沢山もらって帰り、家で書いて持ってゆきます。代筆も重要な書類等は、内容が確認出来ていない物もあるので(特に生命保険や借り入れ等)対処の仕方も、今後の課題です。
 又、福岡では地デジの講習会を行った様です。色んな情報が飛び交ってはいますが、NHK等の地上デジタル放送推進委員会に申し込めば、説明に来て下さるようなので、私達も是非計画して、時代に乗り遅れないように、地デジや、DVDに強くなりましょう。「あと3年ではなく、もう3年」です。
 全般的な感想として、今回初参加の大原さんが大会宣言案を読んでくれたのですが、 とても堂々としていて内容がいっそう素晴らしいものになり、会場からも大きな大きな感動の拍手を頂きました。本当に嬉しく思いました。
 参加する度に、身に余る程のパワーをもらって帰るのですが、次の大会までもたないのは、年のせいでしょうか?

女性部大会に参加して


             大原 保子
 8月23日(土)、24日(日)に、「ホテル アジール奈良」で開催された女性部大会に畠山さん、津野さん、梶原さんと一緒に参加しました。  
 久々でもあり、気のおけない皆さんとの 
2日間はとても楽しいものでしたが、未だに乗り物酔いに悩まされる私は酔い止めの薬が手放せず、この日も幾度となく襲ってくる睡魔と闘いながら大事な全体会を聴くことになりました。情けないですよね。  
 夕食後の黄昏コンサートでは、松本真理子さんのマリンバを中心にした演奏と松本さんのユーモア溢れるトークを楽しみました。  
 2日目は6つの分科会が行われ、私は第6分科会の気軽に参加「生き生き健康ミドルライフ」に参加しました。講師は健康運動指導士の松田誠先生。  
 皆さん当然健康への関心は高く、体操の間の短い休憩時間にも、今何かにつけて話題となっているメタボリック症候群に関して質問するなど、熱心に取り組んでいました。 
 大会から1ヵ月以上経った今、私は毎朝のラジオ体操や室内ウォーキング、そして分科会で教えていただいた体操の幾つかを思い出しながら続けています。のんき者の私の周りにもそれなりに大変なことが増えてきてはいますが、健康第一、これからもマイペースでやっていきたいと思っています。

―― 読者の声 ――  我が家に天使がやって来て…


             山崎 理恵
 我が家に天使がやって来て3年8ヶ月。両眼無眼球、手足指の欠損、口唇口蓋裂という障害をもって生まれてきた次女に「音を感じ、愛で満たされますように」との願いで音十愛(おとめ)と名付けました。
 生まれて初めて未熟児室の保育器の中の我が子と対面した時、五体満足で生んでやれなかった悲しさと、不完全な体でも一生懸命生きようとしている命がとても愛しく、胸がちぎれそうで「ごめんね…ごめんね…」と、我が子の小さな指を握りしめ泣きくずれた時の事を今でも忘れられません。
当時の小児科医からは、「色々障害はあるけど普通に育つよ」と言われ退院しましたが、何が、何が…何一つ普通とはいかない育児が始まりました。摂食障害、昼夜逆転、自傷行為、全身状態の悪化など育児の壁は、私たち家族を苦しめました。暗闇の中をさまよいながらも何とか理性を保って来られたのも夫や上の2人、周囲の人々の支えがあったからこそと感謝しています。そのおかげで、今では我が家のアイドルです。
 しかし、生まれつき全盲である娘は、母である私の顔すら見ることが出来ず、「この世界の森羅万象をこの子にどのような方法で教えていけばいいのか?」と見えない世界がわからず途方にくれていた私たちを支えてくれたのが、生後7ヵ月から通い始めた県立盲学校の早期教育相談でした。始めは自分以外の全てを拒絶し、自傷行為が何年も続いていましたが、徐々に視覚以外の感覚を使いながら周りの様子や人、物を受け入れようとする行動が見られるようになり、乳幼児期の早期教育の必要性を実感し、今年3月、盲学校幼稚部への入学を強く希望したところ、県教育委員会より、「経管栄養をしている日常的に医療的ケアの必要な子供は、盲学校幼稚部には入学できないが、教育相談の回数を増やして対応するのではどうか?」との内容でした。県教委の返答によると医療的ケアの必要な障害児が教育を受けられる場は、医療機関に併設されている「若草養護学校高知病院分校」、および、「土佐希望の家分校」の2校のみで、しかもそこには就学前の教育機関は併設していません。
 ということは医療的ケアの必要な視覚障害児は、盲に関する専門的な教育を盲学校には求められないということになるのでしょうか?
 この現状に納得がいかず、今年7月に母親大会で要望を提出し、9月には高知新聞(声 ひろば)に投稿をして要望を訴えたところ3回にわたり読者の共感の声をいただきました。今年10月には「音十愛さんの高知県立盲学校幼稚部への入学をすすめる会」が結成され、署名運動もさせていただくことになりました。くじけそうになるたび、励まし、支えて下さった方々に心より感謝しています。
 今後は、音十愛を通じて同じ様な状況を抱えている方々と問題を共有し、自分ができる事は何か考え少しずつでも前進していけることを望んでいます。
 ご支援のほど、よろしくお願い致します。

タッパーウェアーの料理教室に参加して


             田處 敬子
 9月7日(日)に女性部主催のタッパーウェアーの料理教室に参加しました(参加者9名)。
 私がタッパーウェアーに出会ったのは、もう、20年以上も前のことになると思います。  
「まあ、こんなに高いタッパーがあるがや!!」とびっくりしたものでした。
 でも、その威力にもびっくりしました。  野菜を切ってこのタッパーに入れ、冷蔵庫に 
入れておけばいつまでも新鮮なままで保存 
できるのです。
 それから、いろいろな形の物を少しずつ 
揃えて、今でも他のタッパーと一緒に使って 
います。 
 タッパーウェアーから後藤さん(女性)と 
中村さん(男性)の2人が来てくれていました。 
 メニューは、サラダご飯、唐揚げ、かき揚げ、茶碗蒸し、味噌汁、きゅうりの漬物。
 レシピは田元さんが点訳をしてくれて いて、とても助かりました。
 さて、タッパーウェアーの商品を使って 料理が始まりました。 
 混ぜなくてもすし飯ができるボール、密封性のある調味料入れ、あと持ち手が一体化した包丁、切り口が安全に切れる缶切り、IH調理器、少ない油でしかも蓋をしたまま唐揚げやかき揚げ、魚が焼ける鍋などなど。
 私は「どらどら、それどんなが?」と商品の方に気を取られて料理の方はだれかにお任せ状態。茶碗蒸しに入れるす巻きを切ったのとお寿司に入れるレタスをちぎったぐらいでした。
 2人の饒舌(じょうぜつ)に乗せられて、みんなわいわいがやがやと楽しい雰囲気で料理がどんどんできあがっていきました。そして、できあがった料理が並べられました。
 サラダご飯は手巻き寿司に変身し、メニューになかった鍋で焼いたホッケの開きも 加わって、さあ、いただきまーす。
 みんな「美味しい美味しい!!」と言って 
いただきました。
 タッパーウェアーの方は視覚障害者と 接したことがなく、打合せの時にはすごく 心配していたようです。でも、帰る時には 「皆さんからいっぱい元気を貰った」と言って喜んで帰られたそうです。 
 いやー、それ以上元気になってどうするの?ってくらいパワフルなお2人でした。
 私は、まんまとタッパーウェアーさんに はめられて、IH調理器とお鍋、缶切りを注文してしまいました。
 好評により10月5日(日)に第2弾をすることになりました。
 皆さんも是非参加して下さい。手抜き料理のレパートリーが増えるかもしれませんよ。

マドリードの触れる美術館


             片岡 慈仲
 私は7月22日から31日までロッテルダム(オランダ)とマドリード(スペイン)に行ってきました。
 まず、ロッテルダムで第93回世界エスペラント大会に参加し、その終了後、26日(土)の午後マドリードに飛びました。20度前後の涼しいオランダからジェットで2時間半ほどのマドリードは34、5度の暑さ。でも、乾燥していますので高知よりはずっと 涼しく感じました。マドリードは青森県ぐらいの緯度で海抜500mぐらいの位置にあるそうで、海からもかなり離れており、日中と夜の温度差をかなり感じました。
 私はマドリードに住むペドロ・ズリータ さん(世界盲人連合の事務局長を14年間務めた方)と一昨年のフィレンツェでの国際盲人エスペラント大会で知り合いになっていましたし、マドリードには素晴らしい「触れる美術館」があると聞いていましたので、彼の案内でそこを見学するのがいちばんの目的でした。
 出発の2ヵ月ほど前から彼と10数回ほどメールのやり取りをし、ホテルの手配、フラメンコの予約、触れる美術館の予約などいろいろお願いしました。こういう時は電子メールはとても便利です。ペドロさんは大体夕方パソコンを開くと見えて、7時間の時差を考えて、こちらから夜中の12時頃メールすると、数分後に返信されてきたりしますので話はどんどん進みました。
 ホテルはペドロさんの自宅にも、触れる 美術館にも近いオンセ(スペイン盲人協会)の経営する「コンフォルテル・スイーテス」を取ってくれました。ロッテルダムのホテルと同じく4つ星のいいホテルでしたが、値段は20ユーロぐらい安く快適でした。
 ここでONCE(オンセ)について少し触れておきましょう。
 オンセは60年ほどの歴史を持ち、スペイン政府に手厚く保護された視覚障害者のための組織で、政府から宝くじを取り扱う特権を受け、その利益を主要な財源として、視覚障害者に対して、教育の援助、リハビリテーション、職業訓練、文化・スポーツ活動などさまざまな取り組みを行っています。この宝くじの販売人として1万人以上の視覚障害者が職を得ており、更にこの関連産業に4千人の視覚障害者が従事しているそうです。
 息子とマドリード市内を歩いている時、 あちこちでオンセの宝くじ売り場を目にしました。
 また、オンセは自ら直接あるいは、資金 提供という形で間接的に、コンビニ、ホテル、食品関係、先端技術関係などさまざまな企業を経営しており、私が泊まったホテルもその一つで、スペインにオンセ経営のホテルが
20ぐらいあるとペドロさんは言っていました。そしてこういう企業で視覚障害者だけでなく他の障害者も積極的に雇用しており、オンセグループで約8万8千人が雇用されていますが、その75%は障害者だそうです。
 27日(日)はローマがスペインを支配していた頃の首都トレド(マドリードから30分ぐらい南に新幹線のような列車で行った 所)を散策しました。
 28日(月)はマドリード市内に出かけ、 
王宮やアルカラ門、プラド美術館近くの大きな公園などを見たのち、買い物をしました。夜はペドロさんが予約しておいてくれた「コラール・デ・ラ・モレリア」にフラメンコの 
ショウを見に出かけました。ここはモハメド・アリなども来たことのある所だそうです。 
スペインは夜が遅く、始まりは10時頃からでした。ほとんどの人はディナー付きを注文して食事しながら見ていましたが、私はお金の心配もあるのでドリンクのみにしました。  11時半頃第1部が終わり10分ほど休憩して第2部となり、深夜2時頃終了するのですが、地下鉄は深夜1時半頃でなくなるし、物騒でもあるので1部だけ見てホテルに 帰りました。
 明くる29日(火)の朝9時半頃ペドロさんがタクシーでホテルに迎えに来てくれて、「触れる美術館」に向かいました。
 この美術館は1992年12月にオンセによって建設され、全ての展示物を目で見るとともに手で触れて鑑賞することを目的としています。また、全体としては4階建てでその内の2つのフロアーが美術館、他は図書館となっており、教科書や点字図書の制作室、カセット図書やデイジー図書の制作室もあります。スペインでもカセットはもう数年で終了し、デイジーに全面的に切り換えると言っていました。
 この建物の壁や照明、その他全ての建築材料には視覚障害者に対する配慮がなされていました。例えば、玄関や各展示ルームの入口には音声ガイドがあるし、床材で部屋の中にいるか、廊下にいるかが分かるようになっていたり、各フロアーに立体地図があり、そのフロアーの構造が分かるようになっているし、情報も点字と拡大文字で用意されているし、展示物には点字表示とともにボタンを 
押すと音声での詳しい説明が流れるように なっていました。
 この美術館には大きく3つの展示室があり、(1)スペイン及び世界の重要な建築物の部屋、(2)スペイン及び各国の視覚障害者アーティストの作品の部屋、(3)19世紀以来の視覚障害者の教育に関する機器や書類の部屋に分かれています。
 第1の部屋にはアテネのパルテノン像、イタリアのピサの塔、パリのエッフェル塔、 モスクワのクレムリン、ベルリンのブランデンブルグ門、ロンドン・ブリッジ、ニューヨークの自由の女神像、メキシコ、トルテカ 文化の遺跡・トゥーラの巨人像、インド、アグラのタージマハール、ローマのコロシアム(円形競技場)、スペインのアルタミーラの洞窟、セゴビアの水道橋(私もこれを直接 見に行こうと思いましたが、時間が取れませんでした)、アルハンブラ宮殿、マドリードのアルカラ門など、外国16、スペイン19の記念物の模型が展示されていました。
 第2の部屋には視覚障害者のアーティストの作った彫刻や布で作った作品などが展示されていました。
 第3の部屋にはルイ・ブライユの考案した 
最古の点字板(大きな携帯点字器のように 定規と板が一緒になったような物)、視覚障害者がアルファベット文字(墨字)を書く道具、いろんなタイプのタイプライター、そろばんなどの他、歴史的な図書や書類が展示されていました。
 お昼頃美術館を後にして私たちのホテルに帰り、そこでペドロさんが私と息子にフルコースのディナーをご馳走してくれ、3人で歓談しながら美味しい食事を楽しみました。
 この旅行のもう1つの目的は今年4月に発売されたラクラクホン・プレミアムの国際通話機能を確かめることでした。これまでのラクラクホンは国際機能に対応していなかったので、海外に持って行っても使えませんでしたが、プレミアムは使えるはずなのです。出かける前にドコモのお姉さんによく操作方法を教えて貰っていたので、ロッテルダムのホテルから早速自宅にかけたり、友達の携帯にかけたりしてみましたが、簡単に通じました。また、ペドロさんがラクラクホンのことをよく知っていて「ラクラクホンをそこに持っているか?」と訊くので、実際に見せてあげた後、直接彼の携帯に電話して、お互いの声の聞こえる近さで携帯で話をしました。マドリードを飛び立つ直前も、空港から彼にさよならの電話をすることができました。

最新の点字地図帳が出版された


             田元 美紀
 8月25日、東京のエスペランティスト、井崎倫子さんからメールを受け取った。井崎さんは昨年の横浜での世界エスペラント大会で私がお会いした方であり、エスペラント雑誌の音訳に関わっておられる。また、以前筑波大学附属盲学校(視覚特別支援学校)に勤めておられた。 

 井崎さんのメールで、最新の点字・基本 地図帳が出版されたことを知った。今まで使われていた点字地図は、40年以上前に作られたもので、そのまま使われてきたのだという。
 この地図帳は、4巻(世界地図1巻、日本地図1巻、統計資料2巻)から成る。立派にダンボールの箱に収まっている。サイズは
B4変形型、統計編はB5変形型である。
 特徴は、世界35枚、日本20枚で完全網羅。国、首都、自然を見やすく整理。最新調査に基づく世界と日本の豊富な統計資料、読み物としても楽しめる。
 発行は、2008年6月1日。
 定価は、28,000円。地図、統計編で分冊購入も可。視覚障害の方には、価格差補償という制度があり、年間何冊か(自治体によって異なるが)実際の点字本の値段では 
なく、一般の出版物の値段で購入できる。
「原本」は、「基本地図帳 世界と日本のいまを知る」2007年版。(株)二宮書店編集部著(二宮書店発行 1,524円)
 点字版の編集・発行者は、(社福)視覚障害者支援総合センター理事長、高橋実さん。
 支援総合センターの電話番号は、03− 5310−5051、または03−5310−5053。担当は、坂本はるよさん。
*申し込みの方法
 電話で申し込むと、折り返し、点字による 
手紙と、点字図書発行証明書と価格差補償の1,524円の記入済み(代金、住所、氏名、地図帳名)郵便振替払込票が送られてくる。  
発行証明書には、それぞれの自治体の給付証明書がついているので、自治体に行って、記入して貰い、センターに返送する。また、郵便局から払い込みをする。センターは、その確認がとれたところで、印刷にかかるということである。

 私は、このメールを読んだ時、すぐに地元の視覚障害者やその関係者にも知らせたいと思った。地図だけでなく、統計資料も豊富に盛り込まれているのだから、大変貴重なものである。世界と日本の情勢を知るためにも、是非購読、活用をお勧めしたい。(そう思って、「みちしるべ」に携載したのである。)

こんな風に変わります


             正岡 光雄
 皆さま大変ご無沙汰して居ります。「夏の自治体交渉参加誠にありがとうございました。「名物男」の貞岡君がいなくなって随分時が経ってしまいました。夏になると懐かしく思い出されます。
 さて「夏の交渉」以降色々なことがありました。かいつまんでその内の幾つかをお知らせします。
 @「バスや電車に乗る際カードを使って支払いが出来るようになります」について〜来年1月より「カード」を使ってバスや電車に乗ったとき、カードを使ってお金を支払うことが出来るようになります。
まず、播磨屋橋の「電鉄ターミナルビル」で「カード」を購入します。その際に割引を希望する障害者は「身体障害者手帳」を提示します。
 使い方は次のようになります。
 1.乗り降りの際「カード」をセンサーにかざします。乗るときには「ポーン」と音がし、降りるときには「ピッ」となります。かざす場所は整理券の知覚でバスによって異なっていますが捕まる棒にセットされている機械についています。大きさが10
×15cmの部分に当てればカウントされ料金を引き落としてくれます。
 2.購入について〜電鉄ターミナルビルで購入しますが、上限3万円まで入れることが出来ます。使用の際には残高照会は音声では出ません。周りの人に判るとまずいからです。文字での表示はあります。
 3.適用〜県交通バス、土佐電バス及び電車、ドリーム号。なお高速バスのうちで「電鉄ターミナルビル」購入分も適用されます。
 4.期間〜購入後1年です。更新する場合にはやはり「ターミナルビル」で行います。なくなりそうになったときの追加入金は乗り物の中でも出来ます。
 5.「体験イベント」〜12月15日頃に実際に乗車して体験できます。「テストカード」を貰わねばなりませんのでご希望の方は正岡(TEL088−822−7003)まで連絡下さい。
 6.介護者と同乗する場合〜専用の介護者用カードをご自分のカード購入の際にお申し出下さい。但し介護者名が特定されますので、乗車のつど乗務員に話して介護者の分のみキャッシュで支払うことも可能です。カード使用だと支払いも障害者本人になります。
 なおパンフレット(普通文字版)は12月には出来るそうです。その他詳しいことをお聞きになりたい方はデスカ(TEL088−833−7195)までお問い合わせ下さい。
 A裁判所前の音響設置法について〜点字図書館のすぐ西の信号は複雑で大変危険ですので以前から設置法の要望を行ってきました。「複雑」ということもあって検討して貰っていましたが、担当の県警から回答がありました。こちらの希望としては、裁判所に向けてまっすぐ渡れるようにしてほしかったのですが、横の手押し信号機と間近く紛らわしいとの理由で裁判所を真ん中にしてその西側と東側の信号機に「音響」を併設して貰えることになりました。多分今年度中に設置が行われる見込みです。なお西の分と東の分は同じではありませんがどちらの場合にも真ん中では「青」になりますから音はしませんが真ん中の裁判所を目がけて西または東になったとき渡れば大丈夫です。
 裁判員制度スタートを前にして裁判所の傍聴や交渉も行いたいと思います。早く付けていただきたいものです。
 B後期高齢者医療制度での手直し実る〜批判の強い制度ですが、障害者の場合も色々ありました。
 国民健康保険のどちらの場合にも「障害者医療費」無料制度を適応して貰えるよう関係団体と共に請願して広域連合議会と県議会で採択され実施されることになりましたが、高知市のみ65〜69年までが対象外となっていました。国民健康保険を選択した場合には障害者医療の適応外となっていましたが要求によって7月7日の臨時議会において条例の改正が行われて可能になりました。
 また75歳以上の一般の方は全て後期高齢者医療制度に変わることになりますが、今まで高知市で実施していた鍼灸とマッサージの補助券が受けられなくなることに対してあはき業界を中心に請願し対象となりました。これも条例の改正が9月の議会で行わ
れました。

編集後記


             大堀 正寿
 ちょうど今頃はキンモクセイのよい香りが漂い、まさに秋を感じますね。
 秋といえば、食欲の秋。
 去年は、「赤福」の賞味期限の改ざんの問題がありました。そして、今年は中国産の冷凍インゲンから高濃度の殺虫剤が検出された事件が起きました。何で、1年のうちで食べ物がいちばん美味しく感じられるこの季節に、こんなことがあるのでしょうか?
 本当に私たちが安全で食べられるように国として厚労省が食品に対する安全点検をして万全な対応をしてもらいたいです。



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