みちしるべ
No 204  2009年5月号

目次(ページ内リンク)
こんな風に変わります ―― 2つのブライユ 記念行事と「モニター会議」・・・正岡 光雄
「これからどうなる?情報バリアフリー!」 ―― 松井さんを迎えて市民図書館で講演会  片岡 慈仲
「平成21年度全視協青学総会報告―― 総会参加者減少への緊急措置」  吉岡 邦廣
ご縁に感謝、私の人生が変わっていく 日々!  後藤 真知世(賛助会員)
障害者の裁判員制度への参画に向けて 広く国民に開かれた裁判員制度を目指して
編集後記  大堀 正寿

こんな風に変わります――2つのブライユ記念行事と「モニター会議」


正岡 光雄
1.ブライユ記念行事
 皆さん、既にお聞き及びの通り、今年は点字の父「ルイ・ブライユ」生誕200年に当たります。世界に点字がなかったらと考えると、世界の視覚障害者はずっと遅れた状態にあっただろうと思います。
 この記念すべき年に各地で様々なイベントがありました。
 私はその内の2つに参加しましたので、簡単に紹介します。
 @2月15日には「点字の市民権の会」主催の会が大阪市の中央図書館で持たれました。
 講師は京都ライトハウスの渡辺正一さんで、日本点字の誕生から今日までの歴史を紹介した後、これからもっと点字を普及していかなければならないことが熱っぽく語られました。最後に「京都生まれのドットテイラー」の実演による紹介がありました。
 A3月21日には東京で「読書のバリアフリーを考えるシンポジウム」が持たれました。会場は西早稲田の日本盲人福祉センターで主催は日本盲人福祉委員会でした。
 参加者は各層から約50人が集まりました。
 最初に元全視協会長の橋本宗明さんの講演があり、「権利とはどのような歴史を通じて確立してきたか」という内容で格調の高い話でした。
 続いて、我が全視協副会長の田中章治さんの視覚障害者の読書権の歴史の講演でした。
 プログラムの3番目は5人のパネラーによるディスカッションが行われました。そのお1人が5月10日に高知に来られて講演される松井進さんでしたので、そのことを少し取り上げてみたいと思います。松井さんは県の公務員試験にパスした後、千葉県の県立図書館にお勤めの全盲の方です。
 来年は国民読書年に当たること、視覚障害者の読書は大変多様化してきている。幾つかの出版社では普通字の本に加えてデジタルでも内容が提供されるようになっていることなどに触れました。最後にこれまで点字の文章はどこででも印刷頒布できていたが、録音のような音声によるものは点字図書館などでしか許されていませんでしたので、今後は公共図書館などでも可能になる「著作権改正」が間もなく実現するという嬉しいニュースで締めくくりました。
 点字のことや視覚障害者の読書権について大変勉強になりました。

2.モニター会議「ひと・まち条例」
見直しについて
片岡会長に引き続いて、「高知県バリアフリーモニター会議」委員に選ばれ早速3月16日に集まりがありましたので、その模様を紹介します。
 少し長くなりますが、他の障害者の規定もありますので是非とも読んで下さい。
「会議」は10〜12時県庁北庁舎で開かれ、主に「高知県人に優しいまちづくり条例(通称ひと・まち条例)の見直しについて話し合いました。
「条例」は制定後10年になり「見直し」の時期に当たっていますが、国の「バリアフリー制定」、その他社会情勢の変化もあり今回それらを踏まえての「見直し案」が「県」から示され話し合いました。なおモニター会議終了後、「パブリックコメント」等を経て条文化された後、施行は来年4月の予定です。
以下その内容はおよそ次の通りです。
 「モニター会議」で示された「案」は「整備基準」の部分です。
 
@「用語」の変更2つ
T「入り口等における車椅子使用者へのバリアフリー」の箇所の内の「車椅子使用者」を「障害者、高齢者等」に改めます。
※22条「障害者、高齢者等」とは障害者、高齢者、妊婦、その他の者で、日常生活または社会生活において、身体的理由により、行動上の制限を受ける者を言い、できるだけ多様な利用者に対応することが必要なため、「車椅子利用者」の記載を「障害者、高齢者等」に改めます。
U「車椅子使用者用トイレ」の記載も「多機能便所」と改めます。
※法律上の用語は「トイレ」ではなく、「便所」です。
A「点字ブロック」の緩和措置と
教育施設への拡大
T勾配が20分の1以下の傾斜における上端及び下端に敷設する「点字ブロック」敷設義務は対象外となります。つまりこれまで最低基準が示されていなかったので、国の規定に沿って改めるというものです。
Uこれまで義務化されていなかった、学校など教育施設における点字ブロックについては、今後は対象に入ります。
※通路を中心として出入り口や受付、案内板等への点字、誘導ブロックを適切に組み合わせて敷設することが義務化されます。また階段の上端、下端への点ブロック敷設も同様義務化となります。
※法律用語では点ブロックを「注意喚起用床材」、また線ブロックを「誘導用床材」と表現します。
  B自動ドア設置も義務化になります。
自動ドア等開閉しやすい構造のものや引き戸にするよう規定されます。
 ※ドアは法律上の用語としては「戸」となるようです。
C通路を広げます。
 Tスーパーやコンビニ等の店舗を利用しやすくするため、通路の幅員を120cm以上に広げ、段差も設けないようにします。なお、通路の区間が5mに満たない場合には
90cmでも差し支えありません。
 U通路のバリアフリー化については、これまでの各室〜道路、及び各室〜駐車施設に加えて新たに各室〜便所までの経路もバリアフリー化が必要になります。
Dエレベーター設置は1000u以上
から対象になります。
T床面積1000u以上からが設置義務化され、更にカゴの大きさも幅100cm、奥行き135cm以上となります。
U入り口の方向も判るよう表示しなければならなくなります。
V2000u以上の建物では光電管装置が義務化されます。
 E案内板も設置が義務になります。
1000u以上の建物では障害者や高齢者に見やすく理解しやすいような案内板を設けなければならないことになります。
 F手摺は片側でも良くなります。
階段の両側には手摺を付けることが原則になっていますが、階段の近くにエレベーターがある場合には片側だけの設置でも良くなります。
 Gトイレは多機能便房やオストメイト対応等設置も義務になります。
T車椅子対応で、床面積が直径150cm以上の円が内接できるものにしなければなりません。
U多機能便房のトイレも2個以上は設置しなければなりません。
V手摺の付いた便房も2個以上は必要になります。
W2000u以上の建築物ではオストメイト対応の洗浄設備のあるトイレが義務化になります。その場合荷物を置く棚や衣服を掛ける金具も付けなければなりません。
X同じく2000u以上の場合ベビーチェア(乳幼児椅子)や多機能便房内には簡易式ベッド設置も義務化されます。
Y客室が50以上の施設では障害者、高齢者等に配慮した構造のトイレ及び浴室を設けなければならなくなります。 
H駐車台数に応じて車椅子用を増やすように変わります。  
T200台以下の場合は50分の1台以上、またそれ以上では100分の1に2を加えた数の車椅子用スペースを設けなければならなくなりました。
U車椅子用以外にも50台以上の場合では、移動の配慮が必要な人のためにも通常幅の駐車スペース確保も義務付けられます。
 I通路は車椅子使用者のために広場を
作ります。
※ 車椅子使用者が転回できるように
50m以内ごとに通路を広げるようにしなければなりません。

「これからどうなる?情報バリアフリー!!」 ―― 松井さんを迎えて市民図書館で講演会


             片岡 慈仲
 去る5月10日(日)、千葉県立図書館勤務、障害者サービス担当の松井進さん(37歳、全盲)とロミオ君(松井さんの3頭目の盲導犬)をお迎えし、高知点字図書館主催、市民図書館共催で、市民図書館視聴覚ホールに約90名が参加し、表記の講演会が盛大に行われました。
 今年2月藤原さんが全視協の全国委員会に参加した折、アイメイト協会を訪問し、そこで松井さんと会い、松井さんが高知に来られることを知ったのが、この講演会を開くきっかけとなりました。
 私は松井さんがアメリカでコンピューターの勉強をしてこられた方であり、点字による千葉県の公務員試験に合格され、千葉県立図書館に勤務されていること、視覚障害者関係の情報機器について詳しい方であること、自分の著書をいくつもの媒体で同時出版(ユニバーサル出版)するなど、だれでもが本を読める環境をつくる運動の先頭に立っておられる方であることなどを以前から知っていました。
 皆様もご承知のように今、高知の点字図書館は深刻な機能不全の状態にありますが、松井さんに刻々と変化する視覚障害者の読書環境、先進的な地域の情報サービスの実際などをお話ししていただければ、高知の現状がいかに遅れた状態であるか、これを解決するにはどうすればいいかなどについて、一定の 示唆を得られるのではないかと思いました。
 そこで、守る会の役員会で検討し、点字図書館の公文館長に、この講演会を主催して下さるようお願いし、実現に至ったわけです。
 講演は、点字で17ページにわたる詳しいレジメに基づいて、分かりやすくてきぱきと進められました。
 その主な項目は、松井さんが読書問題に取り組むようになったきっかけ、視覚障害者の3つの問題(読み・書き・移動)、バリアフリー出版の実践、図書館の視覚障害者サービスの概要、著作権法改正の動向、情報提供事業の充実、各種IT機器の活用による読書支援事業、今後のサービスに求められていること、新しい読書ツールの紹介、読書バリアフリー法の成立を目指してなど、大変多面的なものでした。
 講演の途中、「ネットブック」という小型パソコンをインターネットでビブリオネットに接続し、直接デイジー図書を再生する実験をしたり、60万円もするブレイルセンスという機器や、その同じ機器から点字ディスプレイを除いたボイスセンス(30万円ぐらいか?)の説明、また昨年12月に信濃絹糸から発売されたポケットサイズのデイジープレーヤーPTP1、それと同じタイプの他社製品(BFボイス、VRストリーム)など、そういう物をみんなに実際手にとって見せてくれるなど、突然ミニ情報機器展の会場に早変わりしたかのような感動を覚えました。
 著作権法改正の動向では、録音図書の作成が今まで点字図書館以外では著者の許諾を得なければならなかったのが、公共図書館や場合によってはボランティア組織でも著者の許諾なしにできるようになる方向であること、また、これまで視覚障害者のみを対象としたこれらのサービスが、「視覚障害者等」ということで文字を読むことにバリアのある全ての人を対象としてサービスできるようになる方向であることが説明されました。
 点字図書館の利用者、点訳・音訳ボランティアの方々、図書館関係者(点字図書館・市民図書館・県立図書館、それぞれの館長さん)などが一同に会して、このような講演を聴くことができたのは意義深いことだと思います。
 これを今後の図書館の障害者サービス向上につなげていくためのばねにすることができれば、この講演会開催が一層生きてくることでしょう。

「平成21年度全視協青学総会報告 ――総会参加者減少への緊急措置」


吉岡 邦廣
 5月4日(月)、5日(火)に渡って名古屋で開かれた全視協青学部総会に出席してきました。GWの混雑を考え、少々うんざりしていましたが、予想ほど特急、新幹線は混雑していませんでした。おかげで当日は足元の広い指定席に変更してもらえ、犬ともども快適に乗車できました。ETC1000円キャンペーンの影響だったのでしょうか。
 総会の会場は障害者センターの研修室で、参加者は延べ8人でした。愛知、千葉、東京、兵庫、高知からの出席でしたが、さびしい総会になってしまいました。
 1日目は各地の昨年度の活動報告、現在の視覚障害者を取り巻く環境の報告がなされました。部員数現況は昨年より8人減の82人ですが、参加地域からは2〜3人の20代新入部員報告がなされ、例年になく若者が増えた印象を持ちました。取り組み行事については、各地域ではプロ野球観戦、コンサート鑑賞等の恒例行事に力を入れているようです。
 私達を取り巻く環境についての報告では、各地からの報告が相次ぎ、日を跨いで続けられました。社協のヘルパー事業撤退に対する千葉市政界の取り組み、ホーム転落事故、兵庫での特別支援校問題に対して活発に意見が出されました。
 点民にも記事が掲載された滝沢執行委員のホーム転落事故については、ご本人から「やっぱり視覚障害者だから事故にあった」と雇用主に思われることを考えると、会社に駅から連絡されることが不安だったという感想が出されました。これに対して出された、事故に遭った人に対しては「安全管理に問題があるのであって、自分たちが悪いわけではない」とまずは声をかけてあげることから始めなければならないという意見に共感を覚えました。
 特別支援教育が始まった兵庫の理療科教員からは、「発達障害を持つ学生を担当している。明らかに国家資格取得は困難で、無免許マッサージの後押しをしているようで不安だ」との報告がありました。また、厚労省との管轄の違いもはっきりとなってきている模様で、私自身は盲学校で学ぶ中失者のリハビリへの影響にも懸念を感じました。
 1日目終了後の恒例の宿舎懇親会では活動上の人間関係、仕事、恋愛、趣味について、各々大いに語っているようでした。中には羽目を外し過ぎた人もちらほら。愛視協の方々にご迷惑がかかったのではないかとすこし心配です。
 2日目は21年度の活動方針が話し合われ、新しい方針として以下の2点が決定されました。
@今回10人を切った総会参加者減少の緊急的措置として来年度参加者には
5000円前後の補助を出す。A部員拡大のきっかけづくりも兼ねて、就労に関するアンケートを実施する。
 また、十分な回数の発行ができていない機関紙『クラルテ』については、負担の大きな各地の取り組みの聞き取りを省いてでも年4回の発行を目指すことが決められました。機関紙が届かなくては不安を覚える方もいるので、質を落としてでも発行を目指すべきだと私も思います。
 今総会では、高知の取り組みとして、県職員試験での点字試験実施と山崎音十愛ちゃんの盲学校入学を報告しました。たくさんの拍手を頂き、大変誇らしく感じました。この気持ちを共有できるよう、今年度も頑張り、来年度は高知青学部皆で総会に参加したいと思います。

ご縁に感謝、私の人生が変わっていく日々!


        後藤 真知世(賛助会員)
 昨年の7月の暑い日、中村へ出張中…1本の電話…松岡さおりさん(田所国江さんのお嬢さん)から「料理教室をして欲しいのですが、視覚障害の方々です。簡単に作れるお菓子か何か、あ〜タッパーウェアを使ってがいいです。9月です。」スケジュール表を見ると、その日曜日だけが空いていた。即答「喜んで、OK!」の返事をさせて頂いた。
 中村からの帰路は…ひたすら、目の見えない世界でどのように伝えよう…g(グラム)ってどうする?1カップは?…いっぱいの課題の頭の運転でした。
 課題も、大匙4杯(60cc)計れるミニコップ使用で、何とかレシピはできた。
 8月に国江さんと打合せ…「あ〜みんなと同じよ。仕事もしてるし、子育てもしてるし、買い物もするし、生協も入っているから!」と笑いながら、私の課題を吹き飛ばしてくれた。レシピは点訳してくれるとの事。材料は国江さんが買い出しをしてくれる事になり、準備は万端。
 当日までに、女性部長の畠山さんから電話を頂き、お話しする中、私にとって不思議な事があった。お名前の漢字の説明をスラスラとしてくれた。電話を切ってから…不思議な世界に入ってしまった。
 そして胸のときめく当日を迎えたのであります。
 私のキッチン丸ごと移動くらい車に積み込み(点字つきのIHと鍋色々と手作りのタレ色々)会場へ…準備をしていると、畠山さんが入って来られて挨拶の後、私は「どうやって来られたのですか?」などと口から出てしまった。「歩いてに決まってるでしょ。」笑われてしまった。今思えば、何と変な事を言ってしまったか、と自分を笑ってしまう。
 この日、タッパーウェアの高知の責任者の中村DBと一緒に、お伝えさせて頂いた。私たちは、「このMMボールを使って簡単に漬物ができます…」と説明している習慣…「どれ?」と聞かれ、「これ!」、「どれどれ?」と皆さんの手がひとつのボールに集中。
 私たちにとって、見えないところを説明する初めての経験が訪れ、普段以上に喋る私たちでした。[内容は昨年の田處敬子さんの「タッパーウェアの料理教室に参加して」を読まれていただくとして]
 そんな出会いから、約8ヶ月…私の日記帳から感動話をいくつか書きます。
 ある日の料理教室で濃縮だしやリンゴ酢を作り、帰りの荷物が多いので、畠山さん、田處さん、大原さんを車で送っていく事になった。運転手の私は「ここの道まっすぐ?」と聞いた。「ここはどこ?」と聞かれ、あわてて「電車通り!」と答えた。畠山さんが「まっすぐ行くとタクシー会社があるので東に曲がり、電柱を5本数えたら北を見て。駐車場があるから…」と言われるがままに行くと着いた。説明の素晴らしさに感激でした。その後は実況放送のようにどの道を走っているか喋りながらの運転で、田處さん宅へ着いた。きれいな花壇が印象的で「誰が草をむしるの?」と聞く私。「私に決まっているじゃないの!」と田處さん。この日も変な質問をしてしまった。大原さんのお宅は実は知っていた。だって肩凝りクィーンの私は20年ほど前に大原医院の患者でよく通ってお世話になっていたのだ。
 またある日、「レシピの質問をしたいから携帯アドレスを教えて」と言われ、また不思議な世界へと入ってしまった。どうやって読むのかなぁ?どうやって打つのかなぁ?と不思議な世界のままメールのやりとりが始まった。
 そのうちに不思議に思う私に分かったのか、畠山さんが説明をしてくれた。なんとメールは携帯が喋ってくれる!ぎゃ〜感激!そしてメールを打って見せてくれた。「うしろふじ」で「後藤」。「料理の料、理性の理で料理」と携帯からお姉さんが喋るのであった。再び感激!この感激を何人の人に話しただろうか。しかし、まだ不思議な世界は続く…漢字はどうやって覚えたんだろう???
 ある日、思い切って聞いてみた。田處さんは笑いながら「まあパソコンするから自然に覚えただけ」と…しかしもっと不思議な世界が来た。パソコン???驚くことばかりである。ほかに生協のカタログ注文はどうやって?沢山の不思議な世界は、お付き合いさせていただく中で、ひとつひとつ解決していった。この感激を会う人に話している毎日である。友人も感動して賛助会員になった。
 もうすっかり、10年来の友人の気分になった私は、昨年、畠山さんに夢を語った。彼女は生バンドを組んでいると聞き、私は知的障害をもつ人たちの作業所の講師で、そこでコンサート活動をしているので「畠山さんの生バンドとコラボがいつかしたい…」と。夢を語っていると本当にどうしても叶えたくなり、練習場所である”かるぽーと”まで足を運んだ。畠山さんの美声に酔う私であったが、ここでまた不思議な世界が待っていた。楽譜がないのである!どうやって覚えるんだろう???今回は不思議な世界は棚に上げ、一緒にコンサートをやりたいラブコール!で必死の私でした。OKを戴き、3月コンサートに向けて企画や準備の日々となった。主催は知的障害のNPO法人の作業所”ホップあき”。私も出演して踊るが、企画や製作は私である。会場は夜須のマリンホール。今回で22回目のコンサートであり慣れてきてはいるが、さて、生バンドの機材運搬やバンドメンバーの人の交通手段が課題になった。田處さんが「高知市の元気いきがい課に聞いたら」と言ってくれて、電話をし主旨を伝えたら、”元気号”を出してくれると返事、嬉しかった。そして、田處さんたちにもコンサートへ来て欲しく、再び交通手段が課題となった。海辺の杜ホスピタルのバスを出してくれる(運転手は作業療法士)となり、課題はひとつひとつ解決した。舞台創りの照明は夜須地元のステージハンドさん、音響は格安でコールさんがやってくれ、舞台裏は海辺の杜ホスピタルの作業療法士さん、当日の会場案内など社会福祉法人土佐あけぼの会…運動は広がりスタッフ総勢60人になり今年3月29日当日を迎えたのである。
 司会進行しながらの踊る私は、感激と感動の日でした。夢は語ると叶う!としみじみと思い、改めて出会いとご縁に感謝です。
 今年は、皆さんと一緒に梅干しやラッキョウも漬け込み手作りを楽しみ、また味噌も作り…人生ご一緒に歩ませて戴きます。
 そして、きっとまた、コンサートをしたい病になることでしょう。

障害者の裁判員制度への参画に向けて ―― 広く国民に開かれた裁判員制度を目指して


平成21年5月21日から裁判員制度がスタートします。
社会福祉法人 全国社会福祉協議会
障害関係団体連絡協議会
1. 広く国民に開かれた裁判員制度を
目指して
裁判員制度は、国民から選ばれる裁判員が刑事裁判に参加し、6人の裁判員と3人の裁判官が、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合どのような刑にするかを判断する制度です。
裁判員制度は広く国民が参加する制度であり、「心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある」(裁判員法14条3号)と認められる場合等を除き、裁判員に選ばれる可能性があります。障害のある人の裁判員制度への参加に当たって、裁判所に対して具体的な配慮を求めることができます。これは、障害のある人を含む全ての人がより司法へ参加できる仕組みに発展していくことにつながっていきます。
なお、「70歳以上の人」や「重い病気やけがのある人」、「親族・同居人の介護や養育を行う人」等は辞退の申立てをすることができます。

選任手続きの流れ
1.前年秋頃 裁判員候補者名簿の作成
2.前年12月頃まで 候補者への通知・調査票の送付
3.事件ごとに名簿の中から、くじによる選定
4.選任手続期日の6〜8週間前 選任手続期日のお知らせ・質問票の送付…選任手続きおよび審理・評議の場で、具体的にどのような配慮が必要であるかを裁判所へ伝えます。
5.選任手続期日 選任手続き…審理・評議の場でどのような具体的な配慮が必要であるかを裁判所へ伝えます。
6.裁判員になる人を決定
裁判員の役割
1.審理 裁判員は、裁判官と一緒に審理に立ち会います。
2.評議 裁判員は、裁判官と一緒に、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合、どのような刑にするかを議論し、決定します。 
3.判決 裁判員は、裁判長が行う判決宣告に立ち会い、その職務を終えます。

裁判員裁判の1日のスケジュール
事件によって異なりますが、例えば、午前9時30分頃に裁判所に来て、昼食時間や休憩等をはさんで午後5時頃まで裁判や評議、打ち合わせを行うといったスケジュールです。

裁判員裁判の日数の目安
約7割の事件が3日以内で終わると見込まれています。事件によっては、もう少し時間のかかるものもあります。

その他裁判所への移動等
裁判員候補者や裁判員等になって裁判所へ行った場合、交通費と日当が支払われます。交通費は、原則として、最も経済的な経路・交通手段で計算されます。また、裁判所が自宅から遠いなどの理由で宿泊しなければならない場合には宿泊料も支払われます。
なお、タクシーの利用についても裁判所がやむを得ない事情により、必要な交通手段であると判断すれば、裁判所が費用を負担します。(裁判員の参加する刑事裁判に関する規則第9条)

2.裁判所による配慮事項
裁判所は、障害がある人が裁判員制度に参加できるように、次のような配慮を考えています。

*視覚障害のある人
・本人の申出により、選任手続きの書類を点字翻訳します。
・選任手続きに関する書類のうち、裁判員制度の概要等について記載したパンフレットには音声コードが付されています。

*聴覚障害のある人
・本人の申出により、裁判所が手話通訳者、要約筆記者を手配します。

*ガイドヘルパーが必要な人
・ガイドヘルパーが必要と認められる場合には、裁判所がガイドヘルパーを手配します。

裁判所のバリアフリーの状況
裁判所では次のような整備がなされています。

*庁舎内
・玄関スロープ
・身体障害者用トイレ…一部の裁判所ではオストメイト対応のトイレも備えています。
・点字ブロック
・エレベーター
・補助犬を同伴することができます。
・庁舎内では裁判所職員が誘導や補助等のサポートをします。

法廷内
・スロープまたは車椅子用リフト
・車椅子の高さに対応した法卓

裁判所は障害のある人が裁判員として参加する際に、できるだけ支障がないように必要な配慮を行うこととしています。
あなたが裁判所に具体的にどのような配慮が必要であるかを伝えることで、参加に必要な配慮が個別に判断されることとなります。

*視覚障害者が参加したある模擬裁判の
配慮の状況
視覚障害がある人が参加した模擬裁判において、次のような配慮が行われました。
・呼出状、宣誓書、裁判員法39条の説明文、進行予定表、起訴状が点字翻訳された。
・裁判所職員が視覚障害の人に付き添って裁判員席まで誘導した。
・視覚障害の人は裁判官の隣の席に着席し、その裁判官が補足説明等を行った。
・審理の場では、検察官や弁護士はゆっくりと話し、言葉の繰り返しを用いた。
・写真や図面等の内容は、裁判官や検察官が補足説明した。

3.具体的な配慮を求めるポイント
裁判員としての職務遂行に著しい支障があるかどうかは、裁判の事案の内容や障害の程度に応じて個別に判断されます。
裁判所に対して、裁判員として参加するまでの各段階において、次のように具体的な配慮を求めることが考えられますので、必要な事柄を裁判所に伝え、相談しましょう。


裁判員に選ばれるまで
1.呼出状・質問票
・FAXや電子メールによる裁判所との連絡方法。
・裁判所からの書類であると分かる送付用封筒への点字の印字。
・必要書類の点字翻訳、音声コードの添付。
・文書へのルビ振り、分かりやすい表現。

2.裁判所までの移動
・本人が必要とするガイドヘルパー等は、本人の選択で裁判所が手配。
・ラッシュ時の通勤電車を避けるため、タクシーでの移動。
・裁判所庁舎内に入退庁する際のサポート。
・裁判の1日のスケジュールの事前連絡。
質問票に必要な具体的配慮を記入したり、裁判所の専用窓口に相談します。



裁判員に選ばれてから
*裁判(審理・評議・判決)
・曖昧な表現を避け、分かりやすい言葉や表現を用いて、ゆっくりと話す。
・発言者が誰であるかを明らかにするために、発言の前に名前を述べてから発言する。
・証言台で発言する人の表情等と手話通訳者を同一視野に入れることができるように、証言台の延長線上への手話通訳者の配置。
・手話通訳、要約筆記が正確に行われるように発言が重ならないようにする。(手話通訳が終わってから、次の発言をする。)
・要約筆記の内容は裁判参加者全ての人が見ることのできるようにスクリーンに全体投影する。
・磁気誘導ループ等の補助援助システムの準備。
・休憩をはさんでの進行、水分補給や服薬の時間の確保。

選任手続の段階で、裁判のときに必要な具体的配慮を裁判官に伝えます。

お問い合わせ先
裁判員制度についてより詳しくお知りになりたい方はお近くの裁判所にお問い合わせください。
障害の特性等についてより詳しくお知りになりたい方は、下記の団体にお問い合わせください。

団体名 全国ことばを育む会
電話番号 03−3207−3107
FAX番号03−3207−3107
団体名 全国肢体不自由児・者父母の会
連合会
電話番号 03−3971−0666 
FAX番号03−3982−2913
団体名 全国重症心身障害児(者)を
守る会
電話番号 03−3413−6781
FAX番号03−3413−6919
団体名 全国脊髄損傷者連合会
電話番号 03−5605−0871 
FAX番号03−5605−0872
団体名 全日本手をつなぐ育成会
電話番号 03−3431−0668  
FAX番号03−3578−6935
団体名 全日本難聴者・中途失聴者団体
連合会
FAX番号03−3354−0046
団体名 全国精神障害者団体連合会
電話番号 03−5438−5591 
FAX番号03−5438−5592
団体名 全日本ろうあ連盟
電話番号 03−3268−8847  
FAX番号03−3267−3445
団体名 日本筋ジストロフィー協会
電話番号 03−5273−2930 
FAX番号03−3208−7030
団体名 日本身体障害者団体連合会
電話番号 03−3565−3399  
FAX番号03−3565−3349
団体名 日本盲人会連合
電話番号 03−3200−0011 
FAX番号03−3200−7755
団体名 日本リウマチ友の会
電話番号 03−3258−6565  
FAX番号03−3258−6668
団体名 日本てんかん協会
電話番号 03−3202−5661 
FAX番号03−3202−7235
団体名 日本発達障害ネットワーク
電話番号 03−6240−0674 
FAX番号03−6240−0671

発行日 平成21年3月
発行所 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 障害関係団体連絡協議会
〒100−8980 
東京都千代田区霞が関3丁目3番2号 新霞が関ビル
電話番号 03−3581−6502 
FAX番号03−3581−2428

編集後記


             大堀 正寿
 今月、日本国内で初めて新型インフルエンザの感染が確認されました。それは、大阪の高校生と先生の3人でした。
 今回の事でわかったのは、症状が出る前の潜伏期だと検疫をすり抜けてしまう。その結果、感染した人やそのおそれのある人が国内に入ってしまう。そんな水際作戦の限界でした。幸い、空港での発見だったのでよかったが、これが国内に広がっていたらと思うと、恐ろしさを感じます。
 この新型インフルエンザはふだんのインフルエンザとあまり変わらず、早く見つけて早く治療すれば、タミフルなどの薬も効くので安心です。
 要は、私たち一人一人の行動が重要です。外出時にはマスクをつけ、帰宅したらうがい、手洗いをして、しっかり予防に備えましょう。



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