みちしるべ
No 206  自治体交渉報告特集号

目次(ページ内リンク)
「高知市の職員は『ですか』やエスコートゾーンなど何も知らない」 井上 芳史
8月6日の県交渉報告  大原 保子
8月13日 高知市交渉報告 正岡 光雄
8月13日県交渉 大丈夫?防災対策  吉岡 邦廣
平成21年度自治体交渉 あはき担当  森本 幸一
自治体交渉報告書 8月20日  山崎 辰雄・永田 征太郎
自転車、点字図書館、元気いきがい課  8月27日  片岡 慈仲
高知県交渉分の報告 8月27日  生田 行信
民主党のマニフェストで本当に変わるのか  藤原 義朗
「自治体交渉に参加して」 町田 浩子
自治体交渉で要求したこと、その他  田元 美紀

「高知市の職員は『ですか』やエスコートゾーンなど何も知らない」


             井上 芳史
 8月6日に9名の参加で高知市と交渉を行いました。
 1.無免許マッサージ問題:20年度の地域保健課の取り組みは情報提供により、広告指導2カ所、現地調査3カ所である。その内の1カ所は調査内容を12月に厚労省にあげ、厚労省の判断を待っている。もう1カ所は事業所に行き2人は免許所有者と確認出来たが、後、何名いるのか、免許を持っているのか確認出来ていない。最後の1カ所は結婚しているように思われる外国人が行っており、マッサージという言葉を使わないように指導した。厚労省から「マッサージという表示をしないように指導するように」といわれている。
 2.点字ブロック敷設:今年度に山の端交差点から越前町2丁目までの歩道整備を行う。旭の障害者福祉センター周辺については歩道もなく、電車通りの道路の拡張もあり、点字ブロック敷設は難しい。福祉センターの利用度は高く、盲学校と同等の施設と見なし、道路に敷設出来ないか。道路の拡張はいつか、はっきりしないのに待つのか。電車通りの1つ南の東西の道に敷設出来ないか。通行量は少ないので調査し敷設してほしい。市役所の議会棟玄関まで点字ブロック敷設に関し、市役所は老朽化しており、財政的にも難しい。議会棟の階段は急なので危険である。正面玄関から入ると案内所があるので職員が誘導する。現在、敷設している点字ブロックから議会棟玄関までは約6mであり、ブロックを敷設することにより自力で行けるようになる。視覚障害者は急な階段も上がることは出来る。
 3.公共交通機関:「ですか」の残金が
150円程度になると「残金が少なくなりました」と音声で教えてくれる。余裕を持たせて500円程度で教えてほしい。「財布の中を見られているような感じがする」という苦情もあるので難しい。「残金が少なくなると3日前に教えてくれる」と「ですか」の会社から説明があった。また、場所によって電停の位置がまちまちなので電停に向けてエスコートゾーンを敷設してほしい。話の中で市の職員に「エスコートゾーンを知っていますか」と聞くと、「エスコートゾーンを知りません」といった。
 4.市民図書館:新図書館システムに変わる予定が22年2月16日からである。対面朗読については市民図書館の老朽化のため点字図書館・県立図書館も含めて検討して行いなければならない。移転場所は追手前小学校跡で早くても25年度以降である。
 「エスコートゾーン」や「ですか残金」については事前に調べることは可能であり、あまりにも誠意がないように感じた。また、市役所の点字ブロック敷設については財政を理由に視覚障害者の社会参加を妨げていると思われる。

8月6日の県交渉報告 (国保指導課・健康づくり課・県警交通規制課・特別支援教育課)


             大原 保子
 8月6日、今年最初の県交渉が県の本庁舎地下第4会議室で行われました(参加者8名)。  
    
  *国保指導課・健康づくり課
 後期高齢者医療制度と特定検診…「後期高齢者医療制度の対象となった障害者は、特定検診に替わって健康審査の対象になる。健康審査や特定検診は各市町村に委託して実施されており、日時や場所については受診券の送付や広報誌で知らせているが、視覚障害者の方は各市町村の窓口に電話などで問い合わせて下さい。」  
 後期高齢者医療制度の被保険者証に触って分かる仕組みをという点については、申し出があれば対応する。  
 特定検診の受診券や検診案内についても、個別に市町村の窓口に相談をすれば対応できると考えている。  
 これに対して、「健康審査や特定検診について視覚障害者が情報を得るための手段として、ラジオや県の広報誌さんSUN高知(点字版・テープ版)を活用してはどうか」「特定検診の問診表の記入や保健指導を、保健師さんが電話、または訪問して行ってほしい」などの意見が出されました。  

  *県警交通規制課
 音響信号機及び白線…音響信号機については予算の制約もあり、全ての要求には答えられないので、3ランクぐらいの優先順位を付けてほしい。これについては後日資料を提出することになりました。  
 高知地方裁判所前の交差点については、需要の高い場所なので来年度設置に向けて予算要求をしていく。  
 中須賀から井口町に向かう道路と町田眼科から北に向かう道路の交差点、田野町駅前、野市パークタウン緑ヶ丘2丁目のスーパー前、ベストウエスタン高知前交差点、みかづき文化会館前交差点の信号機については、優先順位を付けていただいて判断したい。  
 木屋橋交差点南北横断歩道の設置は困難である。  
 障害者福祉センター南側道路と春野町役場前交差点は、信号機が設置されていない。信号機の新設は車両の通行量、横断歩行者数、過去の事故の発生件数などを踏まえ、優先順位の高いものから設置している。  
 これに対して、「障害者福祉センターは利用頻度の高い所なので、是非新設してほしい」「どのくらいの交通量や危険性があるのかを実際に障害者と一緒に見ていただきたい」といった要望が出されました。  
 音響信号機の鳴る場所の始めと終わりの時間をホームページ上で知らせるのは難しいが、個別にデータを提出することは可能である ―― などの回答がありましたが、白線については時間切れで採り上げることができませんでした。  

  *特別支援教育課
 教育について…盲学校の生徒数は25名前後で推移しており、中でも小・中学部の児童・生徒が少なくなっている一方、地域の小・中学校の弱視学級に在籍する生徒数は平成15年度の6名から20年度は20名と大幅に増加している。しかし、現在のところ総合型特別支援学校や他の障害種別の教育施設等との統合は検討されていないとの回答でした。  
 ただ、このほかに県中央部の知的障害特別支援学校の児童・生徒数が急増し、教室が足りなくなっているという話があり、「例えば、生徒数の少ない盲学校とろう学校が統合して、その後を知的障害の学校にということも出てくるのではないか。もしそうなれば、盲学校の専門性が保てなくなるのではと心配である」といった意見が出されました。これについては、県中央部の受け皿として、既存の施設に併設という形で学校を設置する方向で検討していく必要があるとの答でした。  
 具体的な名前は挙がっていないとのことでしたが、これからも注目していく必要があると感じました。

8月13日 高知市交渉報告


             正岡 光雄
 13日の高知市の交渉の纏めです。
 以下回答に沿って報告します。
             
  1 
(5)広報、「市議会だより」、
高知市議会議事録
@電子メール版、RSSリーダー版も対応できるようにしてください。
 「希望者へ電子メールで『市議会だより』を送信することについては、ワード版もしくはテキスト版で送信するサービスは可能です。
 このサービスは予算支出を伴わないので、貴団体で希望者のメールアドレスを取りまとめていただければ、21年度中の発行分からサービスを行うことも可能です。
*RSSリーダー版
高知市公式ホームページでは、平成20年12月から、トップページにある全体の新着・更新情報や、各課の新着情報をRSSにより配信しており、見出しについては、更新された情報を受け取ることが可能です。
 市議会だよりにつきましては、現在PDF版で作成し、ホームページ上で公開していますが、RSSに対応するためには、HTML版を別途作成し、ホームページに記載する際の作業が必要となります。
 新たな費用負担は、今の時期困難ですが、関係課とも調整の上、平成21年度中には対応できるようにしていきたいと思います。             
以上この分野では前進が見られました。早速名簿を高知市に出してください。」

  2 別枠採用
@点字試験を実施してください(日本ライトハウスや京都ライトハウスでは試験を実施する自治体職員の立ち会いの下、2〜3日で点訳作業を行います。また、図表等に関しては、点訳の際に適切な説明が付記されます)。
「点字試験につきましては、平成21年度における実施について、現在検討中です。とした上でこれまでの岡崎市長の答弁を受けて本年実施を約束しました。この結果本年は県に加えて高知市においても点字試験が実施されることが確実となりました。長年の悲願が適うこととなった訳です。」
A音声化ソフト、画面拡大ソフト等を用いたパソコンによる受験を実施してください(大阪府では、試験問題の読み上げと回答の作成に音声パソコンを併用できる)。
 「現状といたしましては、直ちに導入するということについては困難と考えておりますが、他都市の状況などを確認しながら、導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。」
B高知市職員の視覚障害者採用実績並びに今後の採用計画についてお聞かせください。
 「本市の職員のうち視覚障害者である職員は1名となっております。」
〇本年度の採用計画については、別枠の障害者採用として1名程度の方の採用を予定しておりますが、来年度以降の障害者の方の採用計画につきましては、職員の定数の状況や障害者の方の雇用促進等を総合的に勘案しまして、判断してまいりたいと考えております。

 3 健康福祉部保育課
10.子育て支援について(親が
視覚障害者家庭の場合)
(2)保育園、幼稚園、小学校等から届く通知(お知らせ)を、視覚障害者が判読可能な媒体で提供するようにして下さい。
 「保育課若しくは保育園から各家庭にお知らせ等の文書を送付する際には、子どもさんの送迎時を利用しお届けしております。その際には、各家庭の状況に応じた対応をするよう努めております。」
○なお、特別な配慮を希望される場合には、可能な限りの対応をしていきたいと考えております。
 保育園や小学校においては親が視覚障害者の場合きめ細かく対応しているようです。これも本会の毎年の要求が実っている現れと思われます。
 
  4 
11.防災対策
(1)大きな災害が起きたときの福祉避難場所を構えてください。また,その際に障害者福祉センターに加えて、視覚障害者がいつも利用している施設も福祉避難所として位置づけてください。例えば,盲学校、盲聾福祉会館など。
(2)防災マップ作成において、障害者が犯罪のターゲットにならないよう十分な配慮を行うようにしてください。
 「福祉避難所の設置については現在、どういった施設が福祉避難所として適当なのかについての検討や、福祉避難所での支援者の確保についてどのように事前準備をするかについての協議を行っております。その取り組みの一環として、社会福祉施設へのアンケート調査や地域の自主防災組織との協議、ボランティア関係との協議などを進めているところです。公共施設につきましては、一般の方の避難所として利用される施設もあり、どのように一般避難所と福祉避難所を分けるかについて担当部局での協議を行っております。」
(3)家具転倒防止や窓ガラス飛散防止フィルム張り等の指導、サポート体制を講じてください。
 「視力障害者の家具の固定等地震災害への備えは、自主防災組織や関係団体など地域社会の支援協力を得ながら進めていくことが必要であると考えており、今後とも転倒防止の必要性や取り付け方法、窓ガラス飛散防止対策等につきましては、地域の防災訓練や講習会、パンフレット等により周知してまいりたいと考えております。」
(4)避難時、安全な場所への誘導を行ってください。
 「大規模災害が発生した直後には、行政や関係機関の活動には自ずと限界がございます。そうした際、災害時に援護を要する方にとって最も大切なことは、地域の方々の協力により、その安全を確保することであると認識しております。地域での自助、共助のもと自主防災組織をはじめとする地域防災への組織的な取り組みに対して、今後とも、日頃のつながりを大切にし、要援護者の安否確認や救出方法等を事前に定めておくなど、その活動の具体化をさらに促してまいりたいと考えております。」
(5)復興に際しては,障害者の意見を取り入れながら進めてください。
 「高知市地域防災計画に基づきまして、国・県との連携のもと、復興部局の創設をはじめ地域協働復興の観点から、地域住民や団体、関係機関、専門家との幅広い連携体制も構築するなど地域の総合的な復興体制を確立したいと考えております。」
(6)ハザードマップや防災情報及び災害時の情報を視覚障害者にわかる媒体で提供してください。
 「過去の災害等を参考に現在の地形などを考慮した大規模災害時に被害を及ぼすエリアを地図上に色等で示すもので、別の媒体での提示は非常に難しいものです。ご自宅付近等の被害状況をお知りになりたい場合は、お問い合わせくだされば、説明させていただきますのでよろしくお願いいたします。」

 以上、福祉避難所は未だ決まっていないこと、避難は助け合いだけに依存しており、全く障害者は置いてきぼりだといわざるを得ません。

8月13日県交渉 大丈夫?防災対策


吉岡 邦廣
 8月13日本庁地下第4会議室で県と交渉を行った。交渉した課は県警交通指導課、道路課、港湾課、公共交通課、医療薬務課、医療センター経営対策課、地域福祉政策課、地震防災課。9人の参加者が集まった。交渉の中心となった事項、明確な答弁のあった要望事項について報告する。

*県警交通指導課
 自転車交通法の改変で、自転車に乗ったままの横断歩道通行ができるようになり、自転車の通行できる歩道も増える。そのため参加者からは白杖接触事故を懸念する声が上がった。
 課としては「歩車道分離、交通安全教室の開催で対策を図るが、自転車、歩行者との接触で白杖が破損した場合も、事故として通報してほしい」との要請があった。

*港湾課、道路課
 草庵寺分岐点近辺の点字ブロック新設、桟橋5丁目、BAY5SQUARE間の照明、側溝の蓋の整備要望に対し、現在まだ調査段階。BAY5SQUAREについては、必要性があれば、来年度事業として実施する」との答があった。
 また、車道と近接した誘導ブロックの危険性を指摘する参加者の意見があり、道路課からは「該当箇所を教えてほしい」との答弁があった。新しく敷設する誘導ブロックは車道から50センチ以上離れていることを基準とするが、既存のものに対しては指摘を元に検討するそうだ。

*公共交通課
 土佐電気鉄道、JR、土佐くろしお鉄道に対し、課を通じて私たちの要望が伝えられた。事業所からは概ね前向きな回答があり、土佐くろしお鉄道の券売機の投入口が見えづらいという問題も改善されているようである。
しかし、「ですか」の残金が少なくなったときの通知を500円に引き上げてほしいという要望に対しては改善がなく、再度要望を伝えてもらうことになった。現行の市内料金片道分から往復分に改善してほしい旨を伝えた。
 信号待ちの電車内のアナウンスに関しては、「極力アナウンスはするが、数が多いためすべての信号機で行うのは難しい」との答だった。
 また、一連の実験が終了したバスロケーションシステムの実現については、コスト面で実現は難しいとの答だった。システムの設置に1億、ランニングコストに1000万円の費用がかかる。これに対し、「大々的にPRしたのだから、何とか実現させる責任があるのではないか」との声も聞かれた。


*医療センター経営対策課
 県の管轄でないため、直接医療センター職員との交渉はできなかった。現在はボランティアではなく、職員がサポートを行っており、休日も対応する。また、生活訓練指導員、補助具等の紹介も行い、弱視、斜視外来も設けている。

*地域福祉政策課、地震防災課
 昨年からの交渉の進展は少なかった。「今年度中に国から出される避難支援プランに基づいて、各市町村を指導する」との回答があったが、福祉避難所が設けられたのは安芸市、佐川町の2市町村だけだった。また、ハザードマップの点図化、防災マップの犯罪への悪用防止策についても「検討する」、「『災害時要援護者の個人情報保護のための指針』に従う」との表現に止まった。「手挙げ方式の支援で全員が助かるか?」との参加者からの問にも明確な答が返らず、不満の残る回答だった。ただ、今年作成される一般啓発誌『南海地震に備えちょき』は点字・音声版も作成されるそうである。
 県営住宅での家具転倒防止対策についての回答は後日、相談支援事業の中でガラス飛散防止フィルム、家具転倒防止対策のサポートを組み込むかどうかは今後障害保健福祉課が検討する。
 障害者防災施策は市町村、住民任せでは進展しづらい印象を受ける。指導だけでなく、もう少し強制力のある施策の実行が必要だと思う。

平成21年度自治体交渉 あはき担当  森本 幸一


出席者:当会9名。
回答者:薬務課3名。
回答としては以下のように例年と余り変わらない回答でした。


 3.あはき関連
(1)無資格マッサージの取り締まり強化について
質問1:無免許による按摩、マッサージ、指圧業者及び無免許者を他県並みに、厳正かつ敏速に取り締まってください。
回答:マッサージの定義がないので取り締まりは困難である。個別に情報提供を受けた事例に対しては対応していきたい。あはき法に基づく有資格者の有無、施術の内容を確認して人の健康に害を及ぼすおそれのある事例については調査、指導を行う。あはき法に基づく届け出をしていない治療施設等に対してはタウンページを利用してリストアップして指導していく。

質問2:ホテル、旅館等に対して無免許者を使わないよう県の方で指導を徹底してください。
回答:定期的に旅館組合等に市と合同で無資格者を雇用しないように文書等でお願いしている。

質問3:無免許による健康被害及び危険性について、広報紙などを通じて定期的に一般の方々に対して周知徹底してください。
回答:定期的にさんSUN高知へ掲載して注意喚起を行っている。3月号には「有資格者施設にはプレートを配布しているので施術を受ける場合はご確認を下さい。」、これを掲載している。又、ホームページにも注意文書を掲載している。

以上です。

自治体交渉報告書


山ア 辰雄・永田 征太郎
日時:2009年8月20日(木)
13時10分〜(市・議会第1委員会室) 15時15分〜(県・県立図書館会議室)
市交渉11名参加 県交渉10名参加
1.高知市交渉
(1)市民相談センター
【陳情項目】
12.消費者問題
(1)訪問販売やサラ金問題等をはじめ,契約等をめぐる問題が起きています。視覚障害者の場合には「契約約款」等の契約文書を読めずに契約に至ることなどが想定されます。その実態を早期に解決してください。
(回答)問題があれば気軽に相談できる窓口の紹介、また、すぐに契約せず一度身近な人に相談することなどの啓発を今後も続けていきたい。
Q:身近な人に相談するという手段は現実的に厳しいのではないか。
A:契約を求める側には説明義務があるので、身近な人や見える人に協力を依頼して納得するまで説明を受けてほしい。
Q:ある程度契約に慣れていれば適宜質問することも可能であろうが、そうでない人の場合ではサポートする人が必要ではないか。
A:「よくわからないまま契約してしまった」というケースは障害の有無にかかわらず相談があるため、状況は同じであると考える。現状では市民相談員の対応に限界があるため、そのつど相談していただく対応をとってほしい。
(2)各種の「消費者問題」について,障害者を対象とした学習会を開催してください。
(回答)市民相談センターに申し出ていただくことで、消費者問題学習会の開催を計画する。
(3)被害事例を教えてください。
(回答)多重債務の債務整理の相談、クーリング・オフの相談など、いくつかの事例が紹介された。
(4)07年消費トラブル調査の視覚障害者部門の内容を踏まえ、消費トラブル防止策を示してください。
(回答)一般的な回答であり、内容は上記(1)とほぼ同様であった。
 なお、次の内容で情報提供があった。
国民生活センターより「見守り新鮮情報」というタイトルでメールマガジンが配信されている。月2回配信されており、テキスト形式で購読が可能である。購読の手続きは、以下のアドレスに空メールを送信することで配信が開始される。
アドレス:
mimamori@mlreg.tricorn.net

(2)保険医療課
Q:検診の際に書き込む問診表の記述が困難である。
A:現時点では具体的方策がないため、医療機関にかかった際の問診で書いてもらうという対応をとってほしい。その際、医療機関にてスムーズに対応できるよう、医師会を通じて市から働きかけていくように努める。
(3)元気いきがい課
Q:パソコンの講習会について、昨年度の実績を教えてほしい。
A:昨年度は9月と3月の2回(各4日間)に分けて実施した。9月は11名、3月は
10名の参加者であった(いずれものべ人数)。
Q:視覚障害者のパソコン指導に当たっては特有のパソコン環境が必要なため、さらに実施日を増やすなどの事業の拡大を希望したい。
A:これ以上の事業拡大については、他の部門を削って視覚障害者対応を増やす必要があり、また費用の面からも難しい状況である。
Q:指導者は視覚障害者のパソコン環境に詳しい人でなければならないのではないか。
A:対象者がどのようなレベルであるかを把握した上で、適宜講師が配置できるようできるだけ配慮していきたい。
Q:カルテソフトなどは高額であるが、給付の対象にはならないのか。
A:業務用ソフトは誰しもが使うものでないため、日常生活用具として扱うことは難しい。


2.高知県交渉
(1)幼保支援課・小中学校課
Q:小学校等では保護者が視覚障害を有することをどのように把握しているか。
A:入学時の相談等で把握に努めているので、具体的な個別の対応(メールや録音物等での情報提供)が必要であれば申し出てほしい。

(2)県立図書館
Q:著作権法改正に伴って、図書館サービスはどのように変化したか。
A:基本的に大幅なサービス変更はない。法改正で何ができるようになるのかを探ることから始めていきたい。
 図書館長は図書館サービスの充実やそのための人材育成に関して非常に情熱的であり、「県外図書館派遣事業等も活用してサービスの向上に努めていきたい」と意欲的に語っておられた。

(3)県民生活男女共同参画課・
経営支援課(消費者問題)
Q:被害事例を教えてください。
A:相談事例の詳細、貸し金業の他県の事例などが紹介された。
 地域生活権利擁護事業については周知が図られていないようであった。

自転車、点字図書館、元気いきがい課


      8月27日  片岡 慈仲
  *交通安全課
 自転車と歩行者…交通安全課よりこの問題について次のような回答があった。「今年6月1日、自転車について道路交通法が一部改正され、自治体は自転車乗りに対してそのルールの啓発の周知徹底に努めなければならないと規定されている。」「市民に対しては『あかるいまち』7月号により、小学校等に対しては交通安全推進団体の広報を通じて、自転車に関する交通ルール改正内容の周知徹底を図るほか、無灯火に対する指導、歩道上の放置自転車の整理などを行う。特に放置自転車については緊急雇用創出対策の一つとして、3年計画で指導員を18名置き、高知市内を3ブロックに分けて啓発・整理・指導などを行う。」
 私たちからは「自転車に杖を折られて困った事例がかなりある。歩道上の自転車は視覚障害者にとって大変危険である。ルールとマナーについて是非啓発・指導をお願いしたい」と訴えた。
 
  *元気いきがい課
 前回に続き、残りの問題について行った。
 コミュニケーション事業…「視覚障害者が契約の際文書が読めないので、自信を持って契約できない。また、高知市からのたくさんの文書も点字化されているわけではない。手話通訳や要約筆記など聴覚障害者には実施しているのに、視覚障害者にコミュニケーション事業を実施しないのはなぜか?他の自治体では実施している所もある。また、移動介護とともに実施すれば、単価も上がり事業所としても受け入れやすくなる」との要望に対し、「視覚障害者だけを排除しているわけではない。皆様の要望は分かったので検討します」との答えであった。
 ICレコーダー…カセットは生産中止が近いので、ICレコーダーも支給できるよう検討する。
 障害者センターの利用案内…センターには点字プリンターもあるので、視覚障害者に関することについてからでも早く発行できるよう検討する。

  *点字図書館
 図書館職員の点字研修…今年8月20日に職員向け点字講習を行った。
 指定管理…一応平成23年度を目処にその方向でということになってはいるが、元気いきがい課としてはそれは時期相称と考えている。市民図書館の移転・改築、県立図書館との同じ建物内での改築(合築)など、いろんなことと関連がある。皆様の意見を聴かずに勝手に進めることはない。
 運営委員会…「点字図書館の年1回の交流会だけでは不十分なので、各団体の代表で構成する「運営委員会」を作り、タイムリーに意見交換できるようにしてほしい」との私たちの要求に対し、公文館長は「運営委員会の性質が私によく理解できない」の一点張りで、引き続き検討課題となった。

2009年8月27日(木)15:15〜17:15 高知県交渉分の報告


場所:県立図書館3階大会議室
担当:片岡会長(進行)、門脇、生田
参加者:10名(正会員は7名)
1 無免許マッサージ問題
県警生活安全課 森野課長補佐
 平成7年のオウム真理教がらみの施術所無届事案や、医師法違反の摘発経験もあるとの自己紹介があり、また、法令や通知類、他県県警への問い合わせ等について具体的に回答するなど、担当者の姿勢としては前任者より期待が持てる印象でした。回答内容自体は、これまでの回答、すなわち定義規定がないので捜査が難しく、暴力団関与や外国人不法就労の面から摘発していく、健康に害を及ぼすおそれのあるものを摘発対象としていく、等と大差ないもので、今後の対応に注目していかなければなりません。

2 県広報誌「さんSUN高知」、
「県議会だより」
広報広聴課 片岡課長
議会事務局 のせ課長
 インターネットでのRSSリーダー版は既に対応させた。電子メール版は希望調査して検討。デイジー版をカセット版と両方作成は困難。デイジー版作成については、ノウハウや作成費用など知らない部分も多いようで、私たちの詳しい説明を聞き、「今後研究、検討してみる」との回答を得ました。

3 雇用・就労問題
人事課 山本さん
人事委員会 川村さん
 障害者の中でもマイノリティーの視覚障害者の雇用を進めるためには、県や市が率先して採用すること、視覚障害者の力が発揮できる業務の開発を求めましたが、視覚障害者に特化した採用計画は現在のところないようです。県職員の採用試験にはやっと昨年から点字試験が導入されたばかりですが、中途視覚障害者の受験にはまだまだハンディが大きく、問題の読み上げやパソコンでの受験を要望しました。実際に大阪府の採用試験では実施されており、人事委員会も大阪府に出向き詳しい調査はしてくれたようですが、今回の回答は「ノー」でした。受験者間の公平性、音声化段階での問題の読み誤り、音声化しきれない問題がある、などが主な理由でした。できない理由の列挙という印象でしたが、「研究は続ける」との発言もあり、引きつづき要望していく必要があります。

4 県庁敷地内の点字ブロックの敷設
管財課 橋本課長
 県庁敷地内は現在、歩道と車道の区別がなく、車にも歩行者にも危険な状態であり、当面はガードマンの誘導での対応で理解してほしいが、今後始まる県庁の耐震工事(平成23年終了予定)に伴う駐車場改良で、車と歩行者を分離の予定で、これに伴い要望の趣旨を生かしていきたいとの回答。今後は計画や設計段階での具体的な要望が大切になってきそうです。

5 IT関連
障害保健福祉課 公文さん、田辺さん
 高知市以外での視覚障害者用のパソコン講座の開催は、特化したものは難しいので引き続き生活訓練指導員やパソコンボランティアのご利用をという回答。障害者対象など教室形式のパソコン講座の中で、視覚障害者がマウスを使わず音声を聴いて操作する姿を見せることも意義があることも強調し、要望の趣旨の理解を求めました。なお、パソボラの派遣回数は一応20回までを基準としているようですが、状況に応じてそれ以上も可能だそうです。視覚障害者がパソコン、インターネットの体験ができる体制については、ルミエールサロンやその出張機器展示の利用をとの回答でした。今年さらにパソコン2台分の予算が付いたとのことなので、「これは便利」と思えるような体験ができる活用の仕組み作りに向け引き続き意見を挙げていきましょう。

6 中途視覚障害者の
リハビリテーションの充実について
障害保健福祉課 公文さん、田辺さん
 県が担当する高知市以外の地域で、昨年度は30名の方が生活訓練を受け、延べ回数は118回、訓練は受けていないが相談のみが87回でした。2名の指導員の内、1名が現在育児休業中なので対応に心配がありますが、今のところ今年度も昨年度並みに訓練を行えており、代替措置として事務員を1名臨時配置しているので電話にはいつも出られる状態になっているとのことでした。基準となる訓練回数(20回)はあるものの、ニーズに応じてそれ以上の回数や詰めた間隔での訓練も可能とのこと。また、ルミエールサロンに置いてほしい便利グッズがあれば要望を出してほしいとのことですから、購入前に実物を試してみたい製品など具体的な要望をどんどん出していきましょう。障害保健福祉課や指導員さんに直接でも守る会を通じてでも、いつでもOKです。

民主党のマニフェストで本当に変わるのか


             藤原 義朗
 交渉シリーズの最終回は、45回総選挙直後の9月3日であった。県障害保健福祉課との交渉で、守る会からの出席は12名であった。
 内容は、福祉分野だけでなく、陳情項目全体の中で、それぞれ障害保健福祉課に触れることについての回答であるため、多岐にわたった。

1.視覚障害者にはまだ本腰でないIT使っての労働
  @パソコン周辺機器
 現在の日常生活用具制度では、裁量的経費であるため財源基盤が薄い。民主党プロジェクトチーム(以下、民主党PTと略)のマニフェストでは、義務的経費に位置づけられており、給付内容が前進する可能性が示された。

  A就労促進に向け、県内企業に実習生の受け入れを勧めること、自立支援法の
訓練等
 給付の就労継続A型施設を増やす努力をしている話が聴かれた。しかし、よく聴いてみると視覚障害者の事例はきわめて少ない。
 就労を目的にした視覚障害者パソコン講座の開催について、昨年度、守る会と就労促進チームで作戦会議を持ったが、以降、ニーズ調査や委託機関の詰めがまだ出来ていない。全国でも36の委託機関が出来ているのに高知県ではまだである。急いでいただくようお願い説明した。要するに、視覚障害者の一般就労に向けての準備はまだまだというところである。

  2.障害者福祉医療制度について
厳しい財政状況であるが、大切な制度であるので引き続き守っていきたいとの回答であった。
 
  3.しっかり細かな指針にやさ街条例
 やさしい街づくり整備指針も見直しの時期に来ている。安芸の病院の点字ブロックの不備やタクシーの点字シールの不備など具体的事例を挙げていった。整備指針をしっかりしたものに仕上げていく必要がある。

  4.どう変わる自立支援法
@介護保険と自立支援法との関連に
ついて
65歳になったらヘルパー給付が落ちたという話も聴く。ここ数年の介護保険の認定の厳しさは言うまでもない。特に、視覚障害者には厳しい。県も具体的事例があったら教えていただきたいと言っている。
 守る会からは、65歳を超えても自立支援法が受けられる旨の取り扱い通知が生かせるよう市町村を指導していただくようお願いした。
  A応能か応益か?
 民主党PTでは、自立支援法は応能に、負担計算は世帯単位から個人単位に、認定は障害程度区分は廃止し、調査専門員によるニーズ調査を基にした支給決定が盛り込まれている。
 比較的私たちが要望してきた内容であり、本当に実行に持っていくため私たちも頑張らなくてはならない。
 尚、要望するだけ消費税アップにつながる仕掛けになっている介護保険との関連もあるため、65歳から給付が落ちないような対応が急がれる。
  Bガイドヘルパー
 民主党PTでは、ガイドヘルパーを個別給付に位置づけているため、利用料金は応能負担になる見込みである。
 また、県外の旅行の時、利用できるようにするため、高知市のように県外の事業所と高知市が提携しておき高知市の制度で利用できるようにすることを、他の市町村へも広げていただくよう要望した。
 また、出先へガイドしてもらい、会合などで資料やパワーポイントを読んでいただくようなガイドを要望した。
 今後、読みのできる資質の高いガイド養成や単価設定をアップする必要がある。
C日常生活用具
 高知市で点字ディスプレイが2級まで給付対象になっている。また、他の市町村でもものしりトークやアイタッチトークが対象になってきている。県からはまだの市町村に、その参考例を示していただくことになった。
話題になったのは耐用年数のことであった。電磁調理器など20年以上使用していたら安全性が保たれない。また音声時計など、故障してから申請給付するのでは生活に支障をきたす期間が出てくる。耐用年数に固執しない制度作りが必要である。
  D生存権コミュニケーション支援事業
 今年3月の都道府県課長会議では、先進事例である千葉県の音訳者派遣事業の例も提示され指導されてきているが、高知県ではまだ行おうとはしていない。気になったのは、この音訳者派遣制度を、「第三者との間でのコミュニケ手段」との解釈を、県はしていることである。今年の交渉シリーズの中でも「契約の時はどなたかに読んでいただいてから契約してください」など、視覚障害者が読み手がなくて困っている実情を無視するような言動もあった。情報保障は生存権の課題でもある。読み手派遣保障目指して一丸となった運動が必要である。

  5.こんな時だから運営委員会必要、
盲人ホーム
 守る会から現状を出していった。
 ・研修する場であるはずだが、実際は指導的なことはあまり行われていない。
 ・それどころか、指導するはずの先生が自分で施術し収入を得ている。
 ・社会自立が目的の施設で20年も30年も在籍する人がいる。
など、いっぱい実例が出された。
 運営委員会も最近は行われていない。自立支援法の関係で新体系施設への移行が迫られている。「社会福祉法人小高坂更正センター」に入る予定である。
 こんな時だからこそ、しっかり運営委員会を開き、民主的に盲人ホームが運営され、意義を発揮出来る施設になるようにと、強く感じた交渉であった。

「自治体交渉に参加して」


町田 浩子
(2007年〜賛助会員)
5月の総会で取り上げてもらった自治体への陳情書に載せる要望のひとつが、自分にも関係のある事でしたので、交渉の場を自分も見たいと思っていました。当事者でもない自分が行ってもいいのだろうかと、少し不安になりましたが、陳情書に記された場所を地図で示す必要もあるかもしれないし、井上先生の「行政がどんなものか、ぜひ、確かめに来て下さい」という言葉に励まされて、8月6日、13日、20日と参加してきました。
要望書の内容は、ごく当たり前のことばかりで、実施されていないという事の方にむしろ驚きました。細かい内容は事務局の方で報告があると思いますので、感想だけいくつか書いてみたいと思います。

担当者の回答を聞いていて、自分も含めてですが、「見えない」「見えにくい」という事がどういう事なのかを、分かっていない人が多いという事を痛感しました。
例えば、市役所の正面玄関まで、点字ブロックを敷設して欲しいという要望に対して、市の回答は、「案内の人がいる、エレベーターの方に行けるようにブロックが敷いてある、階段は危ない、予算がない」というようなものでした。市は真面目に考えていない、言い訳でしかないと感じました。案内の人といっても、いわゆるガードマンです。警備員です。盲人の手引きのやり方をマスターしているようには思えません。現に、案内を頼んだら背中を押されたという話も聞きました。
エレベーターが安全と言いますが、エレベーター内に音声での案内がありません。
予算が無いと言いますが、接着剤で張るだけの簡易点字ブロックも街中でたくさん見受けられます。コンクリートをはがしての大々的な工事をやらなくても、敷設できるのではないかと思いました。
また、エスコートゾーンを知らないと答えていた市の担当の方がいらっしゃったのにも驚きました。知らないのなら調べたらいいのに、と思いました。要するにやる気がないのでしょう。
「あはき」の問題は、まだまだ勉強不足なので、じっと聞いているばかりでしたが、聞いているうちに怒りがこみあげてきました。
無免許マッサージの取り締まりについてですが。法律が無いという回答ではなく、マッサージの定義がはっきりしていないからだと言うのです。はっきり健康に害があると認められないからなどと回答していました。心の中で、『では、床屋さんはどうなんですか?健康に害が無ければ、自由に床屋を開業していいというんですか。飲食店は?健康に害がなければ、自由に飲食店を開いていいんですね?いったい何のために国家試験があって免許が交付されてるんだと言うのでしょうね…』とつぶやいていました。

何度も書きますが、どの要望もほんとうに当たり前の、実現してないのがおかしい、自治体として恥ずかしいというようなものばかりです。
私はこれまで、守る会の皆さんが何年にもわたって、こういう課題に取り組んできている事を、まったく知らないできました。
交渉に参加してみて、これからは一緒に、守る会の活動を(賛助会員ですが)続けさせていただきたいと思いました。
皆さんの足を引っ張るような事にならないよう、がんばって勉強します。

障害者に優しい街は、お年寄りや小さい子、妊婦さんにも、赤ちゃん連れの大人にも、すべての人々に優しい街だと思うのです。諦めることなく要求を出し続けていかなくてはならないと思いました。

自治体交渉で要求したこと、その他


             田元 美紀
 今年も8月20日、27日、9月3日の自治体交渉に参加した。昨年に引き続き、今年にも次の要求事項を陳情書に載せて貰った。
 @数学・理科記号、楽譜などの専門的な点訳・音訳のできるボランティアを養成してください。
 A英語以外の外国語やエスペラント(語)の点訳・音訳も行ってください。
 B語学書、歌集などCDの付いた書籍については、CDも一緒に貸し出してください。
 いずれも視覚障害者の読書権に関する要求項目で、利用者でない私がなぜこのような要求を出したのかは、次の通りである。
 *@、Aについて
高知点字図書館で製作される点訳書・音訳書には、自然科学系のものや楽譜が少ないし、増してや英語以外の外国語やエスペラントの点訳・音訳は行われていない。こうした分野の点訳・音訳が高知の図書館で行われず、他の地域のボランティアに任されているのが現状である。こうした分野の点訳・音訳のできるボランティアを養成していないのは、「講師がいない(見つからない)」からだという。
 だが、視覚障害の有無を問わず、いろいろな専門書が必要であるし、またいろいろな外国語をその言語で利用できる状況も必要である。高知県・高知市でも点字による職員採用試験が行われるようになったので、問題集や模擬試験の点訳・音訳の際にそれぞれの分野に応じた点訳・音訳が今後とも必要になってくる。
 たとえ講師が見つからなくても、ボランティア自身が研修を受けたり、自主学習会を開いたりしてスキルアップに力を入れるようにすればよいと思う。できればそれぞれの分野に詳しい利用者も交えた学習会を開くのがよい。
 点訳に関して言えば、「点字数学記号解説」「点字理科記号解説」「楽譜点訳の基礎」「アジアの点字」「韓国語点訳の手引き」などが出版されていて、日本点字図書館用具事業課の通信販売などで入手できる。
 また、「点形別国際点字辞典」のホームページ(下記参照)を開けば、6つの点の組み合わせの図(墨点字)から世界各国の点字(それぞれの言語でどの文字を表記しているか)や点字楽譜を調べることができる。
 http://www.remwinnet/jpn/brl/
*Bについて
外国語や歌はテキストや歌集を読むことに加えて、CDを聴いて耳で覚える、または楽しむのがよいからである。CDの貸し出しぐらいはすぐにできるのではないか、と思う。
 今年、新たに要求した項目(実際に採り上げられなかった項目を含む)は、
 @点訳図書の印刷を両面印刷にしてください。
 A職員採用試験受験の際、音声パソコンで受験することを認めてください。
 B点字採用試験の時間は同じ内容の墨字試験の1.5倍が通常ですが、それでも不十分な場合には更に試験時間を延長できるようにしてください。
*@について
点訳図書を両面印刷にすると、本を閉じた時に点がかみ合うため点が潰れにくい。1枚あたり両面で36行(ページ行を含む)印刷できるので、紙の枚数も少なくて済むし、片面が18行で済むため行と行の間隔が広くなって読みやすい。1巻のページ数を150ページ前後までに増やすことができるので、巻数も少なくて済む。両面印刷にすると、環境問題の解決にもなる。

*Aについて
点字も墨字も読めないがパソコンを使いこなせる視覚障害者のことを配慮する必要がある。点字が使えても点字だけでは不十分な場合もあるから、音声パソコンの併用が認められるべきである。
*Bについて
他の障害(特に上肢)を併せ持っていて点筆を握るのが困難な視覚障害者もいる。そうでなくても特に中途視覚障害者にとって点字をすらすら読むことは難しい。1.5倍というのは先天盲や幼児の頃からの盲の人を基準にした数値であり、中途視覚障害者が増えている現在では根拠がない。試験の内容によっては1.7倍、あるいは2倍が適当であるというデータもある。

 27日の点字図書館との交渉の時に、「運営委員会を設置してほしい」という要求も出された。利用者の意見に応じた点訳・音訳図書の製作、提供が求められているのだが、年に1度の「三者交流会」の時以外、利用者、職員、ボランティアが一同に会せる機会はほとんどない。利用者の意見を反映させるためには、「三者交流会」だけでは不十分である。定期的に運営委員会を開いて利用者、職員、ボランティアが話し合えるようにしてほしいと思う。

 9月3日の障害福祉課との交渉の時、最後に盲人ホームの運営のあり方について採り上げられたが、予想していた以上に盲人ホームが厳しい状況におかれていることに驚かされた。他県の盲人ホームでは、国家試験に合格できなかった視覚障害者も受け入れて実習ができるようにさせているのだが、高知の盲人ホームでは国家試験に合格していないと受け入れて貰えないという。また、他県では盲学校の理療科の教員、外部の鍼灸マッサージ師も研修に関わっているのだが、高知の盲人ホームでは通所者に対する研修のできるスタッフが置かれていない、という。患者の数も減ってきているので、通所者自身の生活も苦しくなっている。ある治療所に勤めていたが辞めさせられた、そういう人こそ研修を受けることが必要なのに、「1度仕事をした人はだめ」と断られた例もある。新しい人を受け入れない閉鎖的なシステムに問題点があると思った。盲人ホームでも教員、外部の有資格者を交えた運営委員会を設置すべきだと思った。

 8月から9月の第1週までの毎週木曜日の自治体交渉では、大変お世話になりました。お疲れ様でした。また、今回の交渉報告の原稿を皆さんがお寄せ下さったおかげで、このような立派な報告書を編集することができました。本当にありがとうございました。



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