みちしるべ
第231号
目次(ページ内リンク)
§全国委員会報告 山崎 辰雄
§あはき学習会報告「訪問マッサージの現状」 濱口 誠一
§オリーブオイルいつ買う?2月でしょー女性部小豆島ツアー 大原 保子
§小高坂センターの慰安旅行 山本 晃久
§ちょっとひとこと 新入社員の若者にエール 有光 勲
§アイパッドの話 恒石 道男
§私の医療体験(12) 私も補聴器を付けています 武岡 清美
§テキストデータ化の御礼 北村 みずほ
§島根の施設での生活訓練 佐々木 美穂
§編集後記
山崎 辰雄
9月28日(土)〜30日(月)に行われた全国委員会・手をつなごう集会に参加して
きましたのでその概要を報告します。
当日は24組織中20組織の出席で、岩手(長内さん)、大阪(藤本さん)、岡山(岡
崎さん)を議長に選出し議事に従って討論が行われました。
1.予算・役員の職務担当
予算書のとおり承認されましたが、預貯金から収入への繰入額が500万円余り計
上されている点について、毎年多額の繰入が必要では持続可能な財政に危機感を持つ
との意見が出され、事務局から持続可能な財政運営に努めるが今後も年により額に違
いはあるが必要との回答がありました。また、現在の総資産も報告され、各種預金や
現金及び土地建物の合計で6300万円余りあることも報告されました。役員の職務
担当も議案書のとおり承認されましたが、名簿
係から青学の対象者は40歳以下と学生の方を登録してほしい旨と役員に変更があっ
た場合変更した役員のみを報告してほしいとの連絡がありました。
2.大会の総括
議案書に記載されているとおり現地実行委員会(大阪)から総括報告がありました。
参加規模、財政(残金35万円を次期大会へ)、各種準備など概ね計画どおりまた成功
裏に終了したとの報告でしたが、今後の課題として開催地の負担等も鑑み特に開催方
法について日程や内容の縮減も含めて議論していく必要があるとの意見がありました
。
次に次期大会については開催方法や財政面等で議論が紛糾しましたが、開催地は埼
玉県、開催方法はこれまでどおりの日程で計画していくことが確認されました。なお
財政面では現地実行委員会の負担も大きいため総務局を中心に全国の組織が一丸とな
って取り組んでいくことが確認されました。
3.会員・点民拡大
各組織からレクや学習活動等を通して拡大に取り組んでいる状況が報告され一層の
取り組み強化が必要であることが確認されました。高知からは今までの取り組みにと
らわれず新たな対象者にアプローチするような活動を考えていくことも必要ではない
かといったことや「親の会」の活動で会員拡大が進んでいる状況も報告しました。点
民の発行形態の変更は議案書にあるとおり月刊と季刊またテープ版をデイジー版に移
行することが確認されました。なお月刊は当初100円の予定でしたがページ数が少
ないなどの理由から50円、デイジー版は点字と同じ 3400円とすることが報告
されました。
4.一丸となって取り組む要求
優位眼に基づく等級実現、サイン・自署対策、静音車対策、テレビラジオの日常生
活用具化、公的機関のHPデータ提供対策について議案書のとおり活動に取り組むこ
とが確認されました。高知からは議案書のテレビラジオを日常生活用具として給付す
る自治体の表に高知の自治体が記載されていなかったので、高知市・香南市・香美市
・東洋町・中土佐町の5市町村から給付されていることを報告しました。
5.大切にする要求
社会保障・福祉、あはき・教育、まちづくりと移動保障、情報保障、雇用就労、住
み良い社会を求める共同行動、防災について議案書のとおり活動に取り組むことが確
認されました。特にあはきについては「次世代の視覚障害者にバトンを繋ぐために」
をスローガンに、第10回あはき運動交流集会が11月3日〜5日に予定されており
、若者の参加を高める集会として全国的な参加要請がありました。その他、各々の大
切にする要求について各組織から意見や状況が報告されました。
6.交流集会
以下の3つの集会を開催することが確認されました。
○第10回あはき運動交流集会
2013年11月3日〜5日
○雪国サミット 2014年度
福島県で交流を重視した内容とする。
○青年のつどい 2014年度
7.全視協相談員養成研修会
生活相談活動を推進するため議案書のとおりの計画で計10回の講座が行われるこ
とが確認されました。平日・夜間に全視協事務所で行なわれるもので地方からは参加
しづらい状況があるため、高知からは希望者にはスカイプで対応することや講座の内
容を点民で紹介してほしい旨を意見としてだしてきました。
8.次回全国委員会
2014年5月10日〜11日の予定
9.手をつなごう集会
当日は福祉・就労・あはき・バリアフリー・スマホや携帯電話の5つの班に分かれ
て、厚生労働省・国土交通省・NTTドコモとの交渉が行われました。私は厚生労働
省とのあはき交渉に参加しました。いわゆる無資格問題については今回もそのケース
毎に健康被害がでていれば個別具体的に総合判断し対応するという回答でした。免許
証等の携帯・掲示規定を法律に加えることや施術者名簿の開示については個人情報や
公表することを前提につくられていないということで加筆や開示に消極的な回答でし
た。理学療法師や柔道整復師の業務範囲違反についても今回も個々のケースを個別判
断するとの回答でした。全体を通して前向きに対応していくような姿勢が感じられな
かったのが印象であり残念でしたが、今後も継続的な取り組みが必要であると感じま
した。
午後は改良5千円札と紙幣識別機に触れる会も開かれ携帯できる紙幣識別機の機能
を体験しました。現在は試作の段階ですが正確に識別もでき携帯性も良いので製品化
されれば利用する方も多いのではないかと感じました。その後は「障害者・高齢者総
合福祉法の内容」と題して、埼玉大学等で教鞭をとられている荻原康一氏の講演会が
行われました。介護保険制度と障害者福祉制度の歴史から現状、障害者・高齢者総合
福祉法(案)についての逐条解説がありました。この報告では講演内容については割愛
しますが、ご本人の体験や活動また考え方を交えて法の重要な条文の内容を分かりや
すく解説していただきました。
あはき対策部 濱口 誠一
2013年9月22日(日)午後4時から「高知会館」であはき対策部、学習部と
で行いました。遅くなりましたが、報告します。なお、懇談会形式でもあり、記録で
きたことを簡単に箇条書きしています。
講師、山崎真理さん。高知県立盲学校の卒業生でもあります。参加者、11名。
1.フレアス(本社東京)に入って5年目。会社は介護保険と同じ年にできた。高知
は6年目。訪問マッサージ以外にも業務があることから、昨年に社名を変更。全国で
事業所が37。高知事業所は、所長・相談員・事務員が1名。ドライバー3名。施術
者、社員7名、パートナー1名。視覚障害者3名。日曜・祭日が休み。土曜は隔週。
所長はケアマネージャーなどを訪問し、ほぼ毎日営業している。
2.同意書など医師との関係
同意書は委任状をもらって行くことが多い。3ヶ月ごとに病院に行きもらっている
。整形外科ではほとんど書いてもらえないのが現状である。医師会には協力が得られ
ていないようだ。最初が大事である。
3. 日常の業務
1日15人ほどに施術をする。多い日は20人を超えることもある。 時間は一人
あたり20分で、血圧測定、記録することなどを含めて
30分である。勤務時間は、朝9時から午後
6時まで。実際は、患者さんの希望などもあるが、8時半には出勤し、帰宅は8時に
なることもある。仕事は多い。相談員がかなり営業で確保してくる。昼食は取れない
ほどである。開業自営の業者にとっては、少しうらやましいかも知れない。
4.仕事は、一般の家庭のほうが少し多い。県内に3箇所の「サテライト」があり、
距離はそれぞれである。老人ホームの仕事に力を入れている。
5.施術は、患者さんにもよるが、5局所もやっている。温罨法は夏の暑いときなど
を除いて必ず使用する。実費は、10分1000円で。希望があったり、長く施術し
て欲しいなどでは行う。
6.賃金は、視覚障害者の場合は、月額17万5000円プラス歩合給。売上が70
万を超えると歩合給がつく。1日に10人以上施術すれば、70万円は超える。ボー
ナスは、年末12月に1度ある。売上から計算して出る。
7.研修は、入社のときに東京本部で1週間受ける。その後、トレーナーから1週間
受けて、合計2週間である。3ヶ月の研修期間の終わりに試験、「フレアス国試」と
いうものが3ヶ月に1回行われる。
8.施術者としての疲労などは、数ではなく、コンスタントにやっているほうが感じ
ないとのことである。日に10人ぐらいだと空時間が出来て、調子がよくないようだ
。無駄が出来ないように患者にもスケジュールを守って、準備などをしてもらう。家
族の希望もあり、実費施術もかなりある。その日のキャンセルなどの対応もあり、大
変である。毎週火曜日にミーティングを行い、患者さんの情報交換、施術の練習をし
ている。就職当初は出来たばかりでもあり、暇な時間を過ごすことも多く悩んだ時期
もあったようである。現在は、新入社員でも翌日から仕事に出るほどである。
9.その後、飲食をしながら、和気あいあいと懇談形式で行うことが出来ました。そ
の中でも、かなり有意義な話題で盛り上がっていたようでした。学習会を終了してか
らの本当の懇親会・3次会は大変楽しいものになりましたか。守る会の忘年会にも呼
んでくださいとのことです。
10.課題と感想
ア)特に、「実際に施術をしている方に話を聞く。」という趣旨を第1にして、計画
したが、実情を正しく把握することができたか。
イ)場所、日時。30分ほどのミニ学習会(自己紹介、実情の紹介)。引き続いての
飲食をしながらの懇談形式にしたこと。学習会として、適切だったか。
ウ)訪問マッサージの業者はまだ他にもあり、現状を広く把握していく必要はないの
か。認識できたか、などの検討が必要。
最後に、会場のことなどもあり、比較的安価に懇談会を行うことが出来たと考える
が、経費などこれからの参考になった。本会の行事が重なってしまったことは残念で
、責任者として、申し訳ありませんでした。
以上で報告とさせていただきます。
〜小豆島ツアー〜
大原 保子
これまで日帰りで出かける事が多かった女性部ですが、今回は9月15、16日の連休
に8名で小豆島に行ってきました。
8時10分発の高速バスで高松に向かう間に雨は本降りとなってしまいました。高松
から池田港までは船で1時間。そこからはジャンボタクシーでの観光です。二日間私
たちを案内してくれたのは秋永さん。その行き届いたガイドにかなり旅慣れた皆さん
も大喜びでした。
小豆島で思い浮かぶことはいくつかありますが「二十四の瞳」もそのひとつ。映画
村でいいのかな?そこにはいまでも文教場のセットがあり高峯秀子さん主演の映画も
上映されているそうです。そしてなんといってもオリーブ。収穫は秋で、それがオリ
ーブオイルとして商品化されるのは翌年の2月頃であり、今売られているのは全て輸
入品という話に小豆島に行ったら是非オリーブオイルを買おうと意気込んでいたみん
なは がっかりです。
弱まる気配のない雨の中、私たちは次々とお菓子や佃煮を試食し、買い物を楽しみ
ました。そしておいしい醤油も買い求めました。ところがそのおいしい醤油を作る為
の樽を作る職人がいなくなり、現在は大阪に1件だけとなってしまい、樽を一つ手に
入れるためには新車1台分の値段がかかると聞きました。値段もさることながら、将
来職人さんが絶える事の無いようにと願わずにはいられません。
雨ということもあり予定より早く3時前に国民宿舎小豆島に到着し、その夜は大い
に食べて飲んで喋って笑って遅くまで楽しみました。
二日目は少し風はあるものの、絶好のドライブ日和に恵まれ10時に国民宿舎を出
発しました。観光旅行に縁のない私が知っているのは寒霞渓ぐらいですが、秋永さん
の説明やみんなの会話を聞きながら貧しいイメージを膨らませるのも楽しい時間でし
た。寒霞渓の紅葉、今年はどうだったのでしょう。
知っている方も多いのかもしれませんが「エンジェルロード」も歩いてきました。
干潮の時にどのくらいの広さかは分からないのですが、海の水が引いて砂浜が現れる
のです。1日3時間ぐらいは大丈夫とのことでした。ただ砂浜を歩くだけといってし
まえばそうなのですが、ネーミングがいいですよね。その日も沢山の人が歩いていま
した。
その後、池田港まで送ってもらい、船と高速バスで7時過ぎに予定通り帰ってきま
した。
山本 晃久
10月30日(水)から11月1日(金)の
2泊3日で、小高坂センター(小高坂障害者支援センター)の慰安旅行が行われ、私
も参加しました。小高坂センターは平成23年4月に改築オープンし、これまでの盲
人ホームもそこに移りました。理容科・美容科・洋裁科・木工科とともに針灸マッサ
ージ室があり、私はそこで働いています。
今年の慰安旅行は2回目です。1回目はセンターがオープンしたその年の秋、1泊
2日でバスをチャーターし大阪へ連れて行ってもらいました。
私はいろいろな所で働いてきましたが、このように慰安旅行に連れて行ってもらっ
たのは初めてです。しかも、自己負担はほとんどありません。今回は、東京への旅行
について簡単に報告します。参加者は47名、視覚障害者は私を含めて3人でした。
1日目の10月30日は、朝8時5分の飛行機で東京へ向かいました。貸し切りバ
スで都内観光です。皇居前広場を通って国会議事堂の見学をしました。その後、雷門
や二重橋へも行きました。「夢のバスガール」という歌を思い出したものです。ガイ
ドさんにそれを歌ってもらいたかったのですが、さすがにそれはよう言いませんでし
た(残念)。そしてその日最後にあの有名な「スカイツリー」に行きました。何メー
トルまで上がったのかは覚えていませんし、私自身あまり見えないのですが、大変素
晴らしい眺めでした。宿泊は「品川プリンスホテル」で、夕食は軽くビールで乾杯し
た後、日常的にはあまり交流のない人たちとも充分に親睦を深める事が出来ました。
2日目の31日は、主にディズニーランドで時間を過ごしました。「30周年ハピ
ネスイヤー」という事で、ライブやパレードがにぎやかに行われておりました。その
日の宿泊も同じホテルでしたが、夕食は「寿司三昧」というちょっと高級な寿司屋へ
連れて行ってもらい、高知では食べられないような美味しい江戸前寿司をご馳走にな
りました。
3日目の11月1日は「東京タワー」へ行きました。「スカイツリー」が出来たた
めすっかりさびれているのではないかと思ったのですが、決してそのような事はあり
ません。1位の座を奪われたとはいえ、依然としてこれまでの威厳は保っているよう
に思いました。
その後は「シンフォニークルーズ」という遊覧船で東京湾一周です。昼食はその船
の中でとりましたが、海を見ながらのお弁当はまた格別でした。強いて欲をいうなら
ビールをぐいぐいやりながらといういう事ですが、守る会レク部の行事ではありませ
んからそれは仕方ないですね。クルージングの後は貸し切りバスで羽田空港に向かい
帰途につきました。
最初にも書きましたが、このような福利厚生のための事業を献立て下さった小高坂
センターの方々に感謝したいと思います。大変楽しかったですよ。
有光 勲
あれは今年7月下旬のことであった。私は いつものようにひとりで点字印刷所で
仕事をしていた。そこへ「こんにちは」と言って、若い男の人が入ってきた。どうせ
またセールスマンか何かだろうと思った。私は「何でしょうか?」とちょっと不機嫌
に答えた。「はい、S洋紙店の者ですが」と言う。
S洋紙店といえばもう何十年も昔から点字用紙や封筒などを納めてもらっている会
社である。
「ああそうですか。でも、まだ何も注文はしていなかったと思いますが」
「はい、きょうは納品に来たのではありません。私達が納めている上質紙が点字に使
われていると聞いて大変驚きました。私は点字を知りませんし、点字とはどのような
ものか、どのようにそれが打ち出されているかを知りたくて見せてもらいに来ました
」と言う。
私は大変驚いたし大いに感動した。
「そうですか。それは嬉しいですね!あなたの会社とはもう随分長い間取引させても
らっていますが、あなたのように点字について知りたいなどと言ってきた方は1人も
いませんよ。最近入社されたんですか?」
「はい。この4月に入りました。Nと言います。どうぞよろしく。」と言って名刺を
くれた。
その名刺は今でも印刷所の机の上の透明なクロスの下に挟んである。
それから私は点字印刷について実際に行いながら説明をした。自動製版機(ブレイ
ルシャトル)で点字の原版を作るところ、そしてそれに点字用紙をはさんでローラー
(点字印刷機)に通すこと、製本の仕方などについて一通り見てもらった。
「ありがとうございました。大変勉強になりました。この点字印刷したものを参考の
ためにもらっていっていいですか。」
「はい、どうぞ、どうぞ。あなたのような意欲的な方なら将来きっと会社にとってか
けがえのない人になると思いますよ。どうか頑張って下さい。」
「いろいろとありがとうございました」と言って、その青年は帰っていった。
最近このような意欲的な若者はあまりいないように思う。それは彼らが悪いのでは
ない。若者を使い捨てにする今の社会が間違っている。これはちょっと差し障りがあ
るかも知れないが、年寄りの再雇用などはどうでもいい。もっと若者たちが大事にさ
れなければならない。彼らを使い捨てにするような社会に明日は無いと思う。いわゆ
る「ブラック企業」なるものが問題になっている。そのような会社は金儲けだけを追
求し社員のことは全く考えない。名ばかり管理職にして、残業代はつけない。正規雇
用はしない。辞めれば取っかえ引っかえ社員を替える。このような雇用形態では意欲
的な若者が出てくるはずが無いのは当然である。何とかならないものか・・・。政治
的解決しか道は無い。
恒石 道男
最近スマフォとかタブレットというような言葉をよく耳にするようになりました。
スマフォはスマートフォンの略で、タブレットはタブレットパソコンのことですが、
その中にも幾つかあり、紛らわしいものです。
スマフォは画面だけの携帯電話で、タブレットは画面だけのパソコンと言ったとこ
ろでしょうか。そして、これらには従来のパソコンの基本ソフトとして搭載されてい
るマイクロソフトのウインドウズやアップルのマックに相当するiOSとかアンドロ
イドと言った基本ソフトが搭載されています。現在これらの市場は、アップルのiO
Sとグーグルのアンドロイドが競争しているところです。そして、iOSが搭載され
ているものが、アイフォンでありアイパッドやアイポッドタッチです。つまりアイフ
ォンはパソコン機能がある携帯電話機であり、アイポッドタッチはパソコン機能があ
るミュージックプレイヤー、アイパッドはタブレットパソコンというわけです。これ
らにはすべて同じように最初からボイスオーバーという音声エンジンが入っており、
画面を読み上げてくれ、画面が見えなくても操作が出来るようになっています。ただ
、画面はただの平面なので指でなぞりながらの操作になるわけで、特に文字入力は習
熟までにはそれなりの時間を覚悟しておかないといけません。
実は私もつい最近、義弟からアイパッドミニをもらいましたので、あれこれとやっ
ているところですが苦労しています。アイパッドなどこれらはパソコンと考えてよい
ものですが、決して従来のパソコンにとって代わるものではないと思います。いろい
ろな視覚障害者にとって有用なアプリケーションソフトが有料、無料で配布されてお
り、それらを入れることで便利であったり楽しめたりは出来ますが、それ以上それ以
下のものではないと私は考えています。
操作はいずれも共通であり、1本や複数の指でなぞったり、縦や横に払ったりスラ
イドさせたり、画面を叩いたりして行います。
おもしろいものとしては、シリという音声認識アプリがあり、画面に向かって話しか
けることでいろいろな質問に答えてくれたりもします。
アプリケーションソフトの中には、スカイプやラインと言った無料で通話や文章のや
りとりが出来るものもあり、またカメラ機能を使ってお札の判別をしたり服の色など
を調べたり出来るものもあります。また天気を教えてくれたり、多くの新聞やニュー
スを聞いたり本を読んだり全国の民放ラジオを聴いたりも出来ます。GPSに対応した
地図を入れると、いろいろな店や施設の情報や経路などを知ることも出来ます。
便利なアプリはまだまだ多くなるでしょうし、このようなことが出来ると言うこと
で、これからの視覚障害者のひとつの便利ツールとしての可能性が注目されているわ
けです。
気をつけておかないといけない点としては、アイフォンやらくらくスマフォにして
しまうと毎月の料金が今までよりも相当に高くなるということです。私の場合は、現
在携帯電話は毎月が1200円少々のコースで、もしスマフォに変えるとその5倍ほどに
なってしまいます。そこで、メールも簡単に出来る携帯電話は今のままのらくらくフ
ォンで、以前からブレイルセンスを外で使うために契約してあった毎月1500円ほどの
安いモバイル通信を使ってアイパッドを外では使うようにしており、毎月のランニン
グコストを3000円以下に抑えるようにしています。
アイフォン、アイパッド、アイポッドタッチで同じように便利なアプリが使えるわ
けですが、それではどれがよいのかと考えた時、持ち歩くのにはアイパッドやアイパ
ッドミニは大きいと言うデメリットがあります。弱視の方であれば、画面が大きい方
が当然見えやすいわけで判断材料になりそうです。
画面を見ないで操作するのであれば、アイフォンやアイポッドタッチの方が携帯性
に優れています。文字入力や画面操作など気長に練習していけばきっと使いこなせる
ようになるでしょう。
図書館にもアイパッドがあり触ってみることも出来ますし、アイポッドタッチも入
れる話もあり、これから時々は体験会も開かれるように聞いています。興味がある方
は足を運んでみてはいかがでしょう。
こんな風に偉そうに書いてはいますが、現状文章を書くのにパソコンの何倍も時間
がかかっており、書き終わった時には肩がぱんぱんになっています。しばらくはアイ
パッドミニを前に悪戦苦闘の日が続きそうです。
武岡 清美
私は昭和43年、高知県立盲学校を卒業し、四万十市(旧中村市)でマッサージ業を
営んでおります。以前にもこの「みちしるべ」に原稿を書かせていただきました。そ
の時は私の趣味であるピアノについてでしたが、今回は難聴について悩まされている
ことにつきまして少しお話しさせていただきたいと思います。きちんと記録している
わけではありませんので、あまり正確な日にちではありません。
あれは確か10年前の夏のことでした。
かすかに電話が鳴っているような気がしたので、電話に近づき受話器を取りました。
左の耳に当てたのですがほとんど聞こえません。右の耳に当てると相手の話が聞こえ
ました。私は愕然としました。「あっ!左の耳がやられている。」その次の日近くの
耳鼻科に行きました。「滲出性中耳炎」とのことでしたが、そこでは治療が難しいと
いうことで、宿毛の病院へ行くように言われました。そこでも治療は難しいというこ
とで、そこの先生のお知り合いのいる伊野の仁淀病院を紹介してもらいました。
早速その病院へ行き、受診しました。手術する以外に方法は無いと言われました。
私は全盲ですし、趣味のピアノやエレクトーンも出来なくなっては生き甲斐もありま
せん。ただちに入院し、手術をお願いしました。
その手術は局所麻酔で、なんと3時間以上もかかりました。手術中キーンというう
るさい音がしておりました。それは手術器具の音か、それとも聴神経を刺激された耳
鳴りか、私にはわかりません。それより不安だったのは、手術しながらお医者さんが
「ああ、これはちょっと難しいなあ」等と小声で話しているのです。生きた心地がし
ませんでした。「ちょっと先生、黙って手術してくれませんか?右の耳はまだ聞こえ
ゆうがやき。」と言ってやりたかったですよ。
その手術も無事に終わり、少しずつ聴力は回復していきました。元通りにはなりま
せんでしたが、1ヶ月ほどで退院しました。ところがその後また不幸が私を襲いまし
た。その2年後、今度は右の耳も同じ病気にかかったのです。大変ショックでしたね
。その時は中村の西南病院で手術してもらいました。その時は前回と違って全身麻酔
だったので手術中の事は何もわかりません。多少危険性は高まるかもしれませんが手
術は全身麻酔に限りますよ。
しかし私の耳は完全には治りません。エレクトーンやピアノも5年間休んでおりま
した。その後少しずつ良くなりましたので、エレクトーンとピアノを始めています。
といいましても、そのような不十分な聞こえ方に慣れてきたという事でしょうか。
やはり聞こえづらいのです。患者さんの小さい声が聞こえなくては困るので、左の耳
に補聴器をつけています。必要ない時はそれを外しています。電話は右の耳でなけれ
ば聞こえづらいです。視覚障害の上に聴覚までもと思うとなんとも情けない気持ちに
なりますが、年をとれば大なり小なり誰しもこのような不自由さは出てくる事でしょ
うから、まあ仕方ないですね。
どうか皆さんもくれぐれもお大事になさって下さい。
北村 みずほ
●高知新聞社様・点訳ボランティア様
この度、高知新聞社様に助成をしていただいたお陰で、点訳ボランティア様が音声
読み上げソフト・パソコンが購入でき、視覚障がい者の皆様方にテキストデータ化で
本を早く提供していただくことができるようになりまして、本当にありがたく感謝い
たしております。
音声パソコンとの出会いがなければ、多感な年頃の息子はどうなっていたでしょう
か。もしかしたら、(出て行くところがなくて)一生、寝たきりの生活で悲惨だった
かもわかりません。
目が見えなくて身体が自由に動かない、手も不自由、話しづらいなど障がいが多岐
にわたって残ったために、当たり前にできていたことが、突然、できなくなり、どん
底でつらい時もありましたが、高知県立盲学校高等部で音声パソコンのキーの操作を
粘り強くご指導していただいたお陰で「教育を受ける」ことができました。楽しみも
でき、人とつながることや(音声パソコンで)本を読むことで、挑戦し、一つ、また
、一つと、ゆっくりですが、苦難を乗り越えることができました。
音声パソコンの機器が使え出しても、短大の授業で使うテキストデータ化をされた
正確な教科書はありませんでした。業者さんに依頼してスキャナーをしただけの教科
書だと、音声読み上げソフトを用いると誤字・脱字・誤読が多数あり、専門科目にな
ると理解し難く困っていた時、今年7月、子どもの気持ちに寄り添い、意欲と向上心
のあるすばらしい点訳ボランティア様にめぐり合うことができました。
そして、高知新聞社様の助成で、点訳ボランティア様が機器、音声読み上げソフト
の購入ができ、早速、英語、刑事訴訟法、口述刑法総論の教科書を次から次へと後期
の授業に間に合うように、テキストデータ化で作成していただき、今後、光寿も、さ
らに、色々なことに挑戦できるようになりました。
助成をしてくださった高知新聞社様、教科書をデータ化にしてくださいました点訳
ボランティアの皆様方に心から深く感謝いたしております。ありがとうございます。
これで、重度重複障害があっても、「教育を受ける」ことで、未来が切り拓け、ど
の子にも「光」を与えていただき、また、視覚障がいの利用者さんにもたくさんの情
報が入るようになり、大変役に立つと思います。
(2013年11月13日)
●高知県視力障害者の生活と権利を守る会の皆様へ
上記の御礼の文章は、点訳ボランティア様から高知新聞社に報告をするために一言
書いて欲しいと頼まれまして書かせていただいた文章です。
経緯を知っていただきたく、文章を引用させていただきまして申し訳ありません。
今春、息子が短大で使う教科書のテキストデータ化の件で点字図書館に相談をさせ
ていただきますと、点字図書館から「短大の先生や学生さんにしてもらってください
」と返答があり、苦学をしている学生さんにはとても言いづらくて困っていました。
何かいい方法がないかな…、と考え、有光さんに相談させていただくと、「(行政交
渉担当の)正岡先生の所に相談してみてください」と背中を押してくださいました。
急いで点字図書館からの返答を持ってお伺いさせていただきました。我がことのよう
に親身になって考えてくださり、正岡先生、有光様、藤原様のご紹介で、全国点訳ボ
ランティア様に引き合わせてくれました。本当にありがたかったです。
また、9月末、高知新聞社様から助成をしていただけることが決定しましたが、か
なりの応募数があり、満額ではありませんでした。そのことを知った有光先生のご配
慮と高知システム開発様のご協力で、機器とソフトを購入することができるようにな
りました。
皆様のお陰で、テキストデータ化が実現できるようになり、早速、後期の教科書を
作成してもらっています。皆様方に力を尽くしていただき、本当に心から感謝いたし
ております。
重度重複障がいがあっても、みなさまのお力をお借りしながら、今後も道を拓けて
いきたいと思います。これからも、ご指導・ご支援をいただけますようお願い申し上
げます。
佐々木 美穂
今回、私たち親子は11月3日から島根あさひ訓練センターに一週間の生活訓練に行
って来ました。本来ならば訓練を受ける本人だけの参加なのですが、息子は生まれた
ときから入院生活が長く、医療行為もあり、なんといっても親から離れて一人で寝て
生活するという事が初めてだったので、センターの親切で、母親である私も近くの施
設を使わせてもらい、「お母さんは近くにいます」という状態で息子の気持ちを安心
させての参加で臨みませてもらいました。それでも苦難はいろいろとありました。
一日目は親子同室で泊まりましたが、二日目の朝、今日から一人で訓練が始まると
いうプレッシャーからかバスルームにこもり我慢しきれなくなった様に泣いていまし
た。それを見て私は絶対に今日も息子と泊まろうと思っていたのですが、指導員の方
に「お母さん、突き放す事も大事ですよ。」と言われ、「そんな事、じゅうじゅう承
知しています。」と思ったのですが、いざ行動に移すとなるとなかなか難しかったで
す。
息子は四年くらい前まで、いつどんなことがあってもおかしくないギリギリの健康
状態だったので大切に大切にしてきました。でも最後にした手術の経過が良く、それ
以来入院することもなく家での生活が普通に出来る様になりました。そうしているう
ちに息子と私のめざすところは「自立」という事になりました。
息子の自立は大賛成です。家を出て自分の世界を作っていったらいいと・・・外に
出ていっぱいツライ目にあったり、悲しい目にあったりしてたくましくなってくれた
らいいと・・・思っていたのに・・・息子の自立の最大のネックは母親である私だっ
たのです。いつもそばにいて息子の事は自分の事の様に私が手を出し口を出しで、大
きなお世話をしていたんです。今回の参加で痛感させられました。
最後の日に指導員の方から「今回親子参加をさせた訳はお母さんにも気付いてほし
い事があったからです。」とピッシャリ言われました。
息子は三日目くらいからはすっかり気持ちを切り替えて私を全く頼らず、自力で最後
まで臨みました。一人で出来る事も増えて自信にもなり、また行くと言ってます。
この一週間の訓練で何か大きく変わった事などはありませんが、一人での生活で、
不安やさみしさを乗り越え、どうせなら楽しく過ごそうとした息子をすごい立派だと
私は思います。
暑い暑いと思っているうちに急に寒くなりました。このところ、春や秋がなくなっ
てきました。これまでになかったような、まさに未曾有の台風や突風、洪水などがお
こっています。なにか我が物顔にふるまう人間に対して自然(神)の怒りが向けられ
てきているような気がしてなりません。
今年も編集部に対しまして、いろいろとご協力ありがとうございました。いつもの
ことですが、新年特集などは企画しておりません。次号は2月に発行の予定です。読
者の皆様からのご投稿をお待ちしております。
来年もよろしくお願いします。どうかよいお年をお迎えください。
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