みちしるべ
第241号
目次(ページ内リンク)
§「全視協全国委員会」報告 井上 芳史
§「視覚障害者と共に学ぶ 避難所運営ゲーム(HUG)」を開催しました。 藤原 義朗
§ 電車通り交差点音響信号機音量調査結果報告 門脇 哲郎
§「三つの喜びに支えられて」 入江 四郎
§ 電波の乗っ取り「こんなことが実際にあるなんて、気味が悪いやら!怖いやら!」 畠山 俊惠
§ホスピスにご縁があって 賛助会員 江崎 瑞枝
§ちょっと一言 〜代金を支払うときは気をつけて〜 有光 勲
§ 守る会の会計にご理解を 山崎 辰雄
§ 編集後記
井上 芳史
1月30日、31日と全視協全国委員会、2月1日に手をつなごう要請行動が行わ
れ井上、藤原が参加しました。
1.全視協結成50周年記念神奈川大会:
来年の5月26日〜28日にかけて湯河原で開催されます。皆さん貯金して記念大会
に参加しましょう。
神奈川大会後の大会の持ち方について議論されました。2泊3日の社員総会と交流
集会は開催組織の負担が大きく、1泊2日の社員総会だけにしてはどうか。分科会な
ど交流する場があるので今まで通り続けてほしい。テーマ別集会を充実させ、大会は
1泊2日でよいのではないか。開催組織に負担が大きいので協力金を会員1人当たり
2千円にしてはどうかなど意見が出ました。次回の全国委員会で決定しますのでみな
さんのご意見をお願いします。
2.一丸となって取り組む運動:
静音車対策では事故に遇った、遭いそうになった事例をお願いします。
自署対策では生命保険や火災保険などで名前が書けなくて困った事例をお願いします
。
視覚障害者が65歳になると総合支援法によるサービスから介護保険によるサービス
に移行します。自立するためにサービスを受けるのに介護のサービスになるのはおか
しい。
9月10日〜11日に奈良で学習会を行いますので是非参加しましょう。
3.晴眼あマし師養成施設の新設阻止:
福島・横浜・大阪・兵庫・沖縄の5カ所の専門学校にあマし師養成課程設置申請が提
出された。憲法による職業の自由、設置基準の緩和、あはき法第19条の視覚障害者
のあマし師の職域優先が問われるであろう。
4.手つな要請行動では総務省と文科省に行きました。総務省の職員数は4700
名ほど、そのうち障害者は128名、その中の視覚障害者は90名。それに対し文科
省は、障害者数は50名で雇用率は2、35%、視覚障碍者数は個人情報なので人数
は言えませんと拒否。各省における「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対
応要領」(公的機関が守らなければならないこと)「障害を理由とする差別の解消の
推進に関する対応指針」(民間企業が守らなければならないこと)は作成していまし
た。
盲導犬の訓練期間中の対応(休暇など)については今後の課題でした。
今後、「対応要領」「対応指針」「合理的配慮」の3点について学習していかない
といけないなと感じました。また、総務省の職員の視覚障害者が90名いるのは驚き
と間違いではないかと思いました。
藤原 義朗
1月24日(日) 午前9時30分〜12時に旭の障害者福祉センターで行ないま
した。
○ファシリテーター
大槻知史先生
【高知大学 地域協働学部 准教授】
伊藤創平先生
【(社)防災活動支援センター】
○読み手など各班に入っていただいた学生さんは、高知大学生3名、県立大学生1名
でした。
中心にファシリテーターをしていただいたのが伊藤先生の方です。普段、伊藤先生と
学生さんとで出前講座に出かけておられます。
なお、参加者はファシリテーターを含め28名でした。この模様が、1月26日の朝
日新聞高知版に出ておりましたので、それを下記に転載させていただきます。
―――――
大津波に備える
視覚障害者と考える 避難所運営のあり方
高知・研修用ゲーム使い確認
南海トラフ地震などの大規模災害時に備え、視覚障害を持つ住民らをどのように
避難所に受け入れるか考える研修が、高知市の市障害者福祉センターであった。大学
生や視覚障害者ら約20人が参加。避難所運営のあり方を議論した。
県視力障害者の生活と権利を守る会が24日に主催。研修では、静岡県が開発した
避難所運営ゲーム(HUG)を使った。HUGは、避難者の年齢や性別、家族構成や健康状態
などをカードに表記。避難所となる体育館や教室に見立てた図に、このカードを配置
して適切な運営を考える。
県視力障害者の生活と権利を守る会学習部長の藤原義朗さん(55)は今回、視覚障
害者が参加しやすくするためにカードに点字をつけた。また、視覚障害者が抱える事
情を記したカードも25枚追加し、避難所で視覚障害者が置かれる立場を考えてもらえ
るようにした。
参加者は5グループに分かれて、避難所運営について議論した。「届いた物資は誰
を優先して配るのか」「障害のある人は避難所のどこに場所を確保するのが適切か」
など活発に意見を交わしていた。
藤原さんは「障害者が震災の避難後に心や体が不安定になり、亡くなるケースは多
い。HUGを通して、避難所の運営について理解を深めてもらいたい」と語った。
門脇 哲郎
これは、守る会のメーリングリストにも報告しましたが、一部の方にしか読まれて
いないようですので、ここに改めて報告したいと思います。
■調査日時…1月6日(水)15時〜17時
■調査区間‥鏡川橋北詰から県庁前電停までの電車通り交差点
※高知城前電停からはりまや橋電停交差点は時間の都合で今回は調査できませんで
したが、利用する機会も多く、音量は問題ないと考えています。
私は、両方の耳に中程度の障害があります。補聴器を付けても100%カバーできません
。今回の音響信号の調査では、補聴器を付けない状態でもピヨピヨ・カッコーがはっ
きり聞こえる交差点については、音量は適正と判断をしました。補聴器を付けないと
聞きづらかった交差点については、その状況を以下の通り報告します。
1.鏡川橋電停交差点(電停専用につき、ピヨピヨしか鳴らない)は、補聴器を付け
ないと聞こえなかった。
2.旭駅前電停交差点は、補聴器を付けてもピヨピヨ・カッコーの音が小さく聞きづ
らかった。北側のカッコーは、鳴っていなかったことを何度も確認したが、後日そこ
を通った時には、カッコーの音は小さかったが、鳴っていた。
3.ヤマダ電機旭店とみくにハイヤー旭営業所前(旭障害者福祉センター通り)の押
しボタン式信号機はピヨピヨしか鳴らないが、補聴器を付けないと聞こえなかった。
4.枡形電停交差点は、ピヨピヨは補聴器なしでも聞こえるが、カッコーは補聴器を
付けても聞きづらかった。
5.グランド通り電停交差点は、補聴器を付けないとピヨピヨ・カッコーの音が聞こ
えなかった。
6.次の3交差点は、音響式信号機でないと思われる。
?旭1丁目お好み焼き八丁堀駐車場(北側)とパチンコセントラル旭店(南側)の交
差点
?上町5丁目電停と上町4丁目電停の間にある交差点
?上町3丁目交差点
今回調査の依頼を受けて自分の耳でどのように聞こえるかを検証しました。補聴器を
付けても音が小さくて聞こえづらかったり、信号機の傍に立たないと聞こえなかった
交差点がいくつかありました。健聴者にとってはこれくらいの音なら問題ないと判断
される場合もあると思います。交差点の周りに民家等がある場合は周囲に配慮して音
響信号機の音量を絞る傾向にあります。ピヨピヨ・カッコーの音をうるさいと感じる
人もいると思いますが、音が聞こえないと視覚障害者は、交差点を安全に渡ることが
できなくなります。お互いが相手の立場を理解して協力して行くことが大切だと思い
ます。
入江 四郎
2016年、平成28年、平静の年であってほしいと願うが、昭和で言えば91年
に当たる。そのほとんど全てとも言える86年を生き延びたことになる。ひきこもり
になって3年も過ぎようとしながらまだ前向きに日々を送ろうとしている。活字も点
字もほとんど読めないが録音されて送っていただけるテープを唯一の頼りにありがた
い日々だ。みちしるべ、点民、声の新聞の三つを頼りに、三つの喜びを持っている。
ところが面白いことに、私がいつも愛用しているタクシーの運転手さんにもやはり
三つの喜びがあると言う。私はある時そのタクシーの中で「私も八十代に入って心身
共に弱ってしまい、気力もなくなったよ」と言うとその運転手さんは「私は現在七十
六歳、八十代のことはよくわからんが、毎日三つの喜びを持って楽しく仕事をしてい
ますよ」と言うではないか。私は共鳴して思わず彼の手を握った。ではその三つとは
何か? 夜中に流している時、手を挙げて乗車依頼がある。1.まずお客さんがとて
も喜んでくれる。2.会社に無線連絡、会社が喜んでくれる。3.結果的に自分の収
入になってうれしい。この三つの点に喜びを感じ、雇ってくれた会社にいつも感謝し
ながら安全運転に心がけている。何ともいい話だ。とかく高齢者は、社会のお荷物に
されがちであるが、このような素晴らしい人もいるものだと感心させられた。「今度
会うときはお互いに一つはずんで四つの喜びを持つようにしましょうや」と言って、
また握手してタクシーを降りた。
前号に書いたが、川柳は五、七、五、狂歌は五、七、五、七、七の三十一文字である
。都々逸は七、七、七、五であるがさらに細かくは「三
四 四 三 三 四 五」の二十六文字になる。民謡もこの都々逸形式のものが多い
。たとえばよくおなじみの「御畳瀬・見せましょ・浦戸を・開けて・月の・名所は・
桂浜」「草津・よいとこ・一度はおいで・お湯の・中でも・花が咲く。」昔NHKラ
ジオの青木先生のとんち教室や中道風迅洞先生の都々逸教室は実に楽しかった。名前
を頭に入れる折り込み都々逸などもなかなか面白い。それでは最後に井上芳史会長を
折り込み都々逸にしてみましょうか。
「いつもさわやかのびのび過ごしうれしい楽しい笑顔見せ夜でも昼もしあわせあふれ
不断の努力実ってる」
それではまた、どうか皆さん、お元気でご活躍ください。
畠山 俊惠
我が家では、「STNetピカラ」と契約してインターネットを利用している。11月9日
にそのピカラから【ご注意ください】という題名で私のパソコンに次のようなメール
が届いた。「お客様においては、11月8日(日)に本規定で定める一日あたりの通信
量30Gb(ギガバイト)を超過していることが確認されました。規定値を越える違反を
3回行うと、30日間継続して利用を制限(極端な速度低下など)をさせていただくこ
とになりますのでご注意ください。」という内容だった。
私はあまりパソコンを使っていないので、これは絶対二人の孫だと思い、「ピカラか
らこんなメールがきちゅうき、あんたらぁ使いすぎんように気をつけてよ。」と注意
した。それから2週間後、ピカラから2度目のメールが届いた。11月22日(日)に再
び30Gbを超過して、これで違反カウント2になりましたという警告だった。
私は急いでみんながいるリビングに行き、「この前気をつけてと言うちょったのに、
あんたらぁはいったい何をしゆうが?一日中ゲームばっかりしよったがやないが?」
と少々きつい口調の私。孫は孫で、「動画を見よってもしょっちゅうとぎれたりする
し、こんなぼろいピカラなんか解約したら?」と反発。「そんなことしたらまたお金
がいるわえ!」と怒り爆発!
そして次の日曜日の夜、私が外出先から家に帰ってみると、「ばあちゃん、ついにユ
ーチューブが見えんようになった!」と不満そうな孫の声!いやな予感がした。パソ
コンを開いてみると、案の定【帯域制限実施のお知らせ】というメールが届いていた
。
「先般のお知らせにて、規定値を越えることのないようご注意いたしましたが、残念
ながらお客様におかれましては継続して規定値を越えるご利用であることが確認され
ました。契約約款に基づき、30日間サービス制限の対象とさせていただきました。」
という内容だった。
3度目の違反日は11月27日の金曜日ということだった。はじめの2回は日曜日だった
ので、普段より多く使っても不思議ではないと思っていた。しかし、今回は金曜日、
二人とも昼間は学校に行っているし、ネット依存症の中2の男の子はその夜親戚の家
に泊まりに行ったので、家の無線は使っていない。そこで初めて「これはちょっとお
かしい!」と思った。
月曜日の朝「ピカラサービスセンター」に電話をかけて、どういうことなのか聞いて
みた。その方の話によると、11月7日からそれは突然始まり、連日のように一日の規
定値30Gbを越えようかという勢いの使い方で、11月27日の金曜日は最高の35Gb使って
いるという。30Gbがどれほどのものか私には見当もつかなかったが、普通ではあり得
ないような使い方で、メールを一日に五千件ほど送ったと同じくらいの通信量だとか
・・・。そもそもどういうことをすると通信量が上がるのか聞いてみた。ユーチュー
ブで動画を見るのはかまわない。ダウンロード(下り)もかまわないが、何かを高画
質でホームページなどにアップしたり、誰かに送ったりといういわゆる登りに通信量
が多くなるとのこと。どうやらそれは、小学生中学生の子供がどうこうできるような
レベルの話ではなかった。
今回私たちは特別変わったことをしたわけでもないし、明らかにおかしいので、詳し
く調べてもらいたいとお願いした。電波を誰かに乗っ取られている可能性もあるとの
こと。
夕方家に帰ってから、電話でピカラの方の指示を受けながら私がモデムを操作し、通
信状況を見てもらった。その方の説明では、どの家庭でも二つの電波が流れており、
その内の一つは、古い端末にも対応する旧式の物で、そちらの方は少しセキュリティ
ーが甘いとのこと。どうやらそちらが怪しいということで色々調べてもらった結果、
この家の端末以外にやはり複数の端末の利用があるということがわかった。とりあえ
ず旧式の電波の方を止めてもらって、様子を見ることになった。
「電波の乗っ取り?ええ?いったい誰が?もしかしてそれは同じマンションの人とい
うこと?・・・」そんなことを考えていると、誰かに監視されているようで気味が悪
いし、とても怖い!思い返してみると、中2の孫の友達が家に遊びに来たとき、この
家の回線を使ってみんなでゲームをしていたことがある。そんなところからどこかに
流れたという可能性もあるかもしれない。あまり気軽にいろんなことをさせない方が
いいと、今回のことでつくづく思った。
それにしても、お金が絡んでくるような話ではなかったのでほっとした。怪しい方の
電波を止めてもらったので、今は元の通信状態に戻り、快適にネットを利用している
。
孫たちには、「全部あんたらあのせいにして、ばあちゃんが悪かったねえ。」とひた
すら謝った。
賛助会員 江崎 瑞枝
ここ数年、家族の面会や看取りが半分仕事になっています。高齢の親たちについては
、それなりに覚悟もできていましたが、52歳の弟をホスピスで看取るとは想像もし
ていませんでした。ホスピス緩和ケアは死期の近い患者の痛みや苦しみをコントロー
ルしながら、安らかな最期をむかえる手助けをすること、と理解していいと思います
。
もう2年半前のことですが、考えてみれば実際にホスピスで過ごすことって、なかな
かないですよね。高知の私の携帯に、岡山の聞き慣れない病院から「できるだけ早く
来てください」との奇妙な電話が入りました。また弟が糖尿病の教育入院になったの
か、今回は手続きがちょっと面倒なのか、でもなぜ岡山の両親じゃなく、わざわざ高
知に連絡したんだ?と変に思ったのです。独身の弟は仕事のことしか頭になく、実家
から通える距離でも職場のそばに部屋を借りるような人間でした。学生時代から一人
暮らしの不摂生を絵に描いたような生活、肝臓を悪くしたり糖尿病があったり、とい
うのは知っていました。
4時間後に私がたどり着いたのがホスピス・緩和ケア病棟です。頭が真っ白になると
いうのはああいう時のことかもしれません。主治医も目の前の私に慎重に対応してい
るのがわかります。弟は肺癌末期で、残された時間はほとんどないということです。
暢気と言えば暢気な家族で悔やまれますが、両親も私も弟が癌だということを全く知
りませんでした。告知の現実を受け入れ、ここで弟を看取るのだと覚悟するしかあり
ません。まず両親に説明することと、職場に(なんと弟は同僚にも癌を隠していまし
た)知らせることが当面の私の役目です。両親への説明用には、主治医が詳しく経過
を書いてくれました。両親に冷静に伝える自信がなかった私には、ありがたいことで
した。そしてやっと弟本人に面会。いろいろ聞きたいし言いたいけど、いまさら患者
を責めるわけにもいきません。
翌日から両親と私とで弟の病室に詰めました。病棟は全個室ですが、比較的広い空間
が確保されているようです。家族用の部屋もあります。ベッド脇のソファーだと夜中
も付き添えます。病棟内は静かですが、暗い雰囲気はありません。図書コーナーやボ
ランティア募集の貼り紙もありました。家族がどんな時間に出入りしても大丈夫で、
食べ物も過ごし方も原則自由です。一般の病棟に比べてスタッフの数が手厚いという
こともありますが、家族がちょっとでも不安で相談すれば、チームで精神的にフォロ
ーしてくれます。母が部屋の外で泣き出した時には、さりげなく看護スタッフが別の
部屋に誘導してくれました。どのスタッフも経験と訓練を積んでいるのが感じられま
す。叔父をこの病棟で看取ったあと、どうしてもここで働きたかったんです、という
若い介護士さんがいました。確かにここでは患者や家族が穏やかに過ごせるよう気配
りがいきとどいています。
「2、3日の休暇を貰います」などと職場に脳天気な電話をしている弟にカッとなっ
た私が、携帯をひったくって病状を説明し、上司や同僚が仰天して駆けつけた日を境
に、弟はガクンと弱りました。同僚と話す時は起き上がったので、家族がびっくりし
たくらいですが。主治医は「人生の最期に家族の一員・社会の一員として必要なこと
を伝えておきましょう」と弟に何度も「さいごの整理」を促すのですが、どうもそろ
そろダメなようです。呼吸の苦しさを薬で緩和すれば意識が途切れがちになります。
看護師さんは冷静に「今日か、明日かと…」と見極めをつけています。どのスタッフ
も不用意な言葉で家族を刺激することもありませんが、いいかげんな慰めも言いませ
ん。淡々と事実を事実として家族に伝える姿勢が、私にはかえって心強く思えました
。病棟全体の雰囲気が、死を受け入れる準備をしながら、普通にすごすことに徹して
いるようでした。家族は静かに覚悟していくという感じでしょうか。呼吸の音が消え
たのに母が気づき、私が高知から駆けつけた4日後に、弟は亡くなりました。
弟が癌を隠し続けたことが、私は今でも理解できませんが、ホスピスでの数日間はと
ても濃い時間でした。その後高知のホスピスで、夫のギター弾き語り、私の二胡伴奏
という形で演奏させてもらう機会を得ました。少しでも恩返しになればいいのですが
…。
有光 勲
1月の守る会定例役員会で、何かの拍子に話が出た。そのことによって、私はいつぞ
やいやな目にあったことを想い出した。あれは何年前のことだったか。守る会の忘年
会が終わったので、帰りのタクシーに乗った。家の前に着いて、1260円だと言わ
れたその時、私のポケットには五千円札と千円札が一枚ずつと小銭が少々入っていた
。まず260円を運転手に渡して、次に千円札を渡した。それを受け取ったタクシー
はさっさと走り去った。次の日、家の近くのスーパーに買い物に出かけた。支払いの
時、ポケットに残っているはずの五千円札を出した。「お客さん、これ千円ですよ」
と言う。「え、五千円じゃないんですか?」「いいえ、千円です」と言う。私は一瞬
驚いたが、「あっ、そうか、おのれ、あのタクシーの運転手め、やりやがったな」と
地団駄踏んだが後の祭り。今更どうしようもない。盗られた金が惜しくないと言えば
うそになるが、金銭的な問題ではない。いくら金に困っていたとはいえ、目の見えな
い者からまちがって出した金を平気で持ち去って行くという、そんな人間の気持ちが
いやなのである。これは赤子の手をね
じると言うよりまだたちが悪い。赤子の手をねじれば、抵抗は出来ないが、痛がって
ギャアギャア泣き叫ぶだろう。しかし我々見えないものには手をねじられていること
が解らないのである。以前に私も何回か掲載してもらったことがあるが、高知新聞の
投書欄に、よほどこのことを投稿してやろうかとも思った。しかし、タクシーの運転
手がみんなあのような人間ばかりではないはず。多くは善良な人達だろう。そのよう
な人達につらい思いをさせてはいけないと思い、それはやめにした。それでも、この
何とも言いようのない不愉快な気持ちは拭いようがない。ではどうすればよいのか。
ものは思いようである。あのタクシーの運転手もおそらく今頃は「ああ、いやなこと
をやってしまった。実に後味が悪い。もうあんなこと二度としないようにしよう」と
反省してくれているに違いない。そのようにでも考えれば私のこんなみじめな気持ち
もいくらかは救われる。あの運転手が改心してくれるための授業料を私が代わりに払
ってやったと思えばいいのである。しかし、考えて見れば、きちんと確かめないまま
安易に金を渡してしまった私にも問題
があ
る。そこで、それ以後、私は紙幣の区別をこのようにしている。一万円札には、二つ
折りにした片方に縦の折り目をつける。五千円札には、角を一カ所2センチほど折り
込む。千円札には何も目印はつけない。これで札の見分けはまちがえることがなくな
った。ちなみに私は二千円札は持たないことにしている。紙幣には触知用の識別マー
クがつけられているというが、あんなもの何の役にも立たない。さて、冒頭に書いた
役員会での話であるが、二千円だと思って二万円を出した。そのことをタクシーの運
転手が言ってくれたので、うれしくなってタクシー会社に電話して礼を言った。「い
えいえ、そんなこと当たり前ですから。」また別の話で、ある人がたまたま乗ったタ
クシーの運転手に「お客さんがだいぶ前に乗った時、タクシーチケットを一枚余分に
もらっていました。」と言われたと言う。運転手はそのことがずっと気になってたま
らなかったとのこと。「けどよかった!今日それを使いますね。」と言ってダッシュ
ボードからそのチケットを出して来た。偶然乗り合わせたことにも驚いたが、大事に
取っていてくれたことがすごくうれし
かっ
たと話していた。このような当たり前のことが話題になるということは、やはり不正
な行為をする人間が結構いるということだろうか。とにかく自分自身がまちがいのな
いよう、常に心がけていなければと改めて考えた次第である。
山崎 辰雄
年金だけで生活されている方は、2ヵ月ごとにしかお金が入ってきませんから、さぞ
かし生活が苦しいことだと思います。その事情はよく分かるのですが、一方、守る会
やその親団体である全日本視覚障害者協議会(全視協)の活動には当然ながらお金が掛
かります。これまでに、守る会や全視協ならではの様々な成果を挙げてきました。
個人一人ではどんなに頑張っても様々な要求実現は難しいでしょう。やはり団体によ
る行動が不可欠です。会計担当の私としましても大変つらいところですが、どうかこ
うした事情をご理解いただきまして、会費の納入にご協力下さいますようお願い致し
ます。
次に、もうご存知だと思いますが会費の額を改めて記載します。( )内は全視協への
上納金です。
正会員 10000円(6000円)
夫婦会員 16000円(9600円)
学生会費 5000円(3600円)
賛助会費 2000円(0円)
これをご覧いただければお分かりのように、皆様からお預かりするお金のうち、守る
会では3分の1しか使えないということです。全視協としましても財政的には決して
豊かではありません。上納金の値下げを要求する訳にはいかないでしょう。
ここで、年金生活されている方に私からの提案を一つさせて下さい。1度に会費を納
めるのは大変だと思います。そこで守る会のための貯金袋のようなものを構えていた
だき、年金を受け取った時に、例えば2000円ずつぐらいその袋に入れていってい
ただけないでしょうか。その都度送金していたのでは振込料も掛かりますし、また会
計の処理も難しくなります。会費の額に達したとき納めていただけないでしょうか。
思いつくままに勝手な事を言ってすみませんが、どうか守る会や全視協を維持発展
させていくために再度よろしくお願い致します。まだ未納の方は、できるだけお早め
に納めてくださいますようお願いします。振込み先を記載します。申し訳ありません
が振込み手数料のご負担もよろしくお願いします。
郵便振替口座……
01640−7−28097
高知謹視力障害者の生活と権利を守る会
* なお、女性部の賛助会費は、2000円で、現在6人の方が入ってくれています
。男性もいます。このお金は、全て全視協の女性部に収めております。
会費の納入状況等、詳しくは、山崎携帯(090−7574−4267)までお問い
合わせください。
編集長の悩みの種は、毎号なかなか思うように原稿が集まらないということです。
そこで、やむなく自らが筆を取るといことになります。内容的には、点字で1・2ペ
ージもあればすむところを、5・6ページほどにも引き伸ばすのです。それは、ペー
ジ数かせぎのためです。といっても、10ページ以上にしたのでは、だれも読んでく
れませんね。それでも、読者の中には、「あれはおもしろい、次には何を書くのかが
楽しみ」などと、お世辞にもいってくれる人がいますので、この引き伸ばし作戦も、
あながち間違いではなかったように思います。
次号は、総会終了後の発行となります。編集長が穴埋めをしなくてもいいように原
稿を寄せてくださるようお願いします。
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