みちしるべ
第256号

目次(ページ内リンク)
全国委員会参加報告  永田 征太郎
第15回あはき運動交流会(岩手大会)参加報告  生田行信
あはき運動交流会に参加して  筑波大学理療科教員養成施設1年 都築綾子
あはき運動交流会感想  筑波大学理療科教員養成施設1年  大渕真理子

全国委員会参加報告


永田 征太郎
 去る11月16日(土)〜17日(日)の2日間、全視協の第34回大会期第4回全国委員会が東
京都障害者福祉会館にて開催され、私が高知代表として初参加してきました。以下に
主な議題と討議内容を記します。
1.福岡大会の総括(反省・感想を含む)とそれを踏まえての新潟大会の計画について
 参加者からは懇親会がよかったなどの感想が多く出される一方、分科会の内容の設
定や運営についての課題も出されました。なお、福岡大会からの繰越金が132万余円
あり、全視協の預かりとしたうえで必要な分を新潟に支払っていくことになりました。
2.全視協事務所関連
 1・2階の賃借人が決まり、通所リハビリの施設として使われているそうです。台
風の影響もあって雨漏りが発生し、現在は応急処置で対処していますが、根本的な工
事が必要であるため、なるべく安い資金で対応できる業者の選定をこれから行うとの
報告がありました。
3.点字民放の購読に関して、点字や墨字媒体に加えてメール版も購読したいという
要望が多くなっており、会員ならすべてを無料で読めるようにするのか、第2倍体を
有料にするのかといった議論がなされました。その場では明確な結論が出されなかっ
たので、今後再提案されることになりました。また、メール版購読者の中でメールが
きちんと届いていないケースがあるとのことで、各社員ごとにそのような人がいない
かを調査することになりました。もし、これを読まれている方でメール版が正常に届
いていないという人がいれば、守る会事務局まで連絡してください。
4.重点要求(5項目)の中では、安心・安全の駅を目指して可動柵のホームを増や
す取り組みの議論が白熱しました。可動柵だけではなく、押しボタン式の開閉ドアも
視覚障害者にとっては不便であり、今後の交渉が必要であるという意見も出されました。
5.「65歳問題」に関する実態と対処についての報告がありました。介護保険制度
の利用優先によって今まで受けられていた障害福祉サービスが減らされて困っている
視覚障害者がいましたが、「読み書きサービス」が受けられなくて困っているのだと
いうニーズを訴えることにより、障害福祉サービスが復活したそうです。「生活の中
で何に困っているんだ」という具体のニーズを訴えていくことが大切であるようです。

第15回あはき運動交流会(岩手大会)参加報告


生田行信

 今回は初の東北地方開催、岩手県盛岡市で11月23、24日に行われました。高知から
は生田の他に、高知盲出身で筑波在学中の都築さん、同級生の大淵さんも次代を担う
代表的な存在として参加してくれました。全体では70人を超え、地元岩手からは17人
の参加がありました。関東より西では、奈良、大阪、岡山、高知、福岡からの参加です。
 この交流会は、全視協、病マ連、あすなろ会の主催ですが、仙台地裁で19条裁判が
闘われていることもあり、また元々連携文化が東北にはあるのかもしれません。及川
日盲連副会長、佐々木岩手県鍼灸マッサージ師会会長から、19条裁判勝利への決意、
視覚障害者にとってこの仕事の重要性を訴えるご挨拶をいただきました。
 全視協あはき担当理事の東郷さんの基調報告では、「19条裁判の勝利は大切だが、
それだけで視覚障害者のあはきが今後も保証されるわけではない。治療技術、接遇、
経営などのあはきの総合力を維持すること、盲学校の生徒減少を食い止め、あはき教
育を守らなければ、視覚障害者のあはき業は衰退してしまう」と厳しい話がありまし
た。学生2人も筑波で同じことを日々言われているそうです。
 記念講演は仙台市にある専門学校「赤門宏志学院」の坂本氏でした。晴眼者の専門
学校ですが、19条裁判では私たちと同じ国側の立場で連絡会に加わっています。柔整
と鍼灸課程が自由化されてからの定員割れや粗製濫造に危機感を持っており、養成総
数の適正化は大切だとの立場です。19条を支持するとともに、力を入れているのがレ
ベルアップです。無資格者の市場規模は拡大しているのに、あはきの受療率は横ばい
ないしは微減している。有資格者がニーズに応え切れていないのだとの現状認識です
。同校は定員を10人減らしたり、4年生大学への移行を準備しています。
 和歌山で開催された第14回に続き、「あはきの職場を語る」が全体テーマで、今回
は機能訓練指導員、訪問マッサージ、開業者の方々から現状を発表してもらい、議論
を深めました。
●機能訓練指導員(介護保険施設)
 通所介護施設からは、埼玉の中澤さんと東京の永澤さん、特養からは東京の加藤さ
んと中丸さんが報告しました。自分の年齢などニーズに応じた勤務時間、記録はテキ
ストで作成すれば様式に入力してくれる、利用者の誘導は他のスタッフがしてくれる
等の配慮、賃金や有休などの待遇面、利用者さんが喜んでくれているなど、不満より
も仕事へのやりがいが多く語られました。
●訪問マッサージ(療養費)
 東京の天野さん、岩手の中渡さんが報告しました。お二人とも病院勤務等の他職域
を経ての今の職場です。トイレや休憩の問題もさることながら、ドライバーさんと一
緒にいる時間が長いので、その雰囲気や人間関係は働きやすさの上でかなり大きなウ
エイトのようです。患者からのクレームを受けることもあるが、待ってくれているこ
とを肌で感じ、やりがいをもって働いているとのことでした。
●開業
 大阪の不動さんと福岡の高橋朱美さん、フロアーからは岩手の村上さんから報告が
ありました。3人とも長く病院勤務をした後に開業されています。サラリーマンから
開業への転身には決断が必要で不安も大きかったとのことです。病院で多くの患者さ
んと接してきた経験は、接遇や経営方針も含め、おおいに役だったのではと聞いてい
て感じました。それぞれの方に「大事にしていること」があり、成功し根付いている
方の共通点だと感じました。
 全体として、あはきの仕事で食っていけている手応え、患者さんの声を糧に働いて
いるなど、「肉声」を聞くことができました。その基礎となる免許を取ってもらうた
めの応援を仕事としている私にとって、これから教員になろうとしている2人にとっ
て、大事な機会となりました。学生2人の参加は交流会全体に活気を与えたように感
じましたし、多くの先輩理療科教員と知り合え、あはきで働く人達と交流できたこと
は大変良かったと思います。
 せっかくの岩手ということで「視覚障害者のための手でみる博物館」にも行ってき
ました。収集されている品々の数と多彩さに驚きました。創立者の桜井先生はお亡く
なりですが、川又さんというご縁のある方が引きついでおられます。私は盲学校で子
ども達への指導で、「触って分からせる」「触れて分かる力を育てる」うえで、教員
のかける言葉の質とタイミングが重要なことを感じていますので、あえてアイマスク
を着けて鑑賞してみました。川又さんの触れさせ方は、言葉や触れさせる順序、ヒン
トで自分が気づくように導くなどすばらしかったです。小学部や中学部の先生達に「
遠いけど、ぜひ行ってみて」とお勧めしています。
 今回の参加にあたっては、守る会から交通費と宿泊費について補助していただいて
います。充実した参加になりました。ありがとうございました。

あはき運動交流会に参加して


筑波大学理療科教員養成施設1年 都築綾子
 開業されている方、病院や福祉施設、訪問でマッサージをされている方、理療科教
員などさまざまな職種の方々が集まり、発表があった。皆さんが誠実に素直に発表さ
れている印象を受けた。理療科教員の実技指導の向上を求める意見もあり、業界から
求められることを知ることは大切なことだと思った。
 社会の変化についていくのは大変なことだけれど、社会の一員として経済的に自立
して生きていくためには、知識や技術を習得することから逃げることはできない。そ
れは大変なことだけれども障害があっても健常であっても同じで、求めない限りは与
えられないのだということを考えさせられた二日間でした。

あはき運動交流会感想


筑波大学理療科教員養成施設1年  大渕真理子
 今回、初めてアハキ運動交流会に参加して強く思ったことは、アハキの素晴らしさ
をもっと伝えていかなければならないということです。理療科の生徒数は減少傾向に
あります。しかし、アハキをはじめとする東洋医学は、近年医療関係者からも注目さ
れています。私たちアハキ師は、患者さんの体を治療したり、心を癒すことができる
のです。私が教員になったら、視覚に障がいがあっても社会に貢献することができる
ということを、生徒に伝えていきます。そのためには、私自身も常にアハキにおける
最高の品質を探求しなければなりません。アハキの魅力を生徒に、社会に伝えていけ
るような教師になりたいと思っています。



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