みちしるべ
第267号 自治体交渉特集号

目次(ページ内リンク)
§はじめに
§「10年後にはバスの運転手さんが0人になる」  井上 芳史
§県警は、またもや宿題をサボっていた  藤原 義朗
§点字ブロック問題で熱い議論 8月22日、対高知市交渉  永田 征太郎
§お母さんも知らなかったご子息の思い 8月22日、対高知県交渉  永田 征太郎
§9月5日(第3回)高知市との意見交換会報告  生田 行信
§9月5日(第3回分高知県との意見交換会報告  生田 行信
§高知県との意見交換会 9月5日、高知県交渉  浜口誠一
§考察  藤原 義朗
■裏話  藤原 義朗
おわりに

§はじめに


 守る会設立以来、毎年必ず行ってきた交渉ですが、25年前からは8月と9月に5回に
分けて実施してきました。しかし2018年からは、台風やコロナ感染増大により2〜3回
は交渉ができませんでした。今年も8月下旬に台風が土佐湾を西へ通り抜け、大丈夫
かとおもったらブーメランのように帰ってきて、29日分は取りやめ、9月5日へ延期
となりました。なお、この先秋から冬にかけて外郭団体や民間機関へ向けての交渉が
始まります。皆さまの益々のご協力よろしくお願いいたします。

交渉参加者(先の数字は高知市、後は高知県)
8月1日(7名、5名)
8月22日(9名、6名)
8月29日 台風により延期
9月5日(9名、7名、13名「夜」)

§「10年後にはバスの運転手さんが0人になる」


  井上 芳史
 8月1日に今年最初の高知市との懇談が行われました。高知市のはからいで県も
同じ場所で実施することができました。この場を借りてお礼申し上げます。
とても暑い日でしたが、7名の参加がありました。
特記事項を報告します。

 1.市民協働部交通戦略課との懇談の中で、バスの運転手が10年後には0名に
なるかもしれない。トヨタのハイエースのような車を走らさなくてはならないかも
しれない。私たち視覚障害者は、公共交通機関があるから社会参加ができます。
交通機関に変更があることにはとても不安を感じます。

 2.市民協働部 くらし・交通安全課と帯屋町アーケード内の安全歩行について
話をしました。アーケード内の自転車走行について、参加者から「警察の方が、別件
だと思うがアーケード内を歩いていた。そこに自転車走行の人が通り過ぎた。警察の
方は何も注意をせずに行ってしまった」。これって黙認したことになりますよね。注
意をしてほしかったです。「お店の商品やマネキン人形などが店頭から飛び出して
おり、白杖をついて歩いていると商品などに当たってしまうことがある」。商品を通
路に出さないように注意してほしい。年に1回点検をしている。商店街組合にも協力
をお願いしている。月に1回の点検はできないかと要望しました。

 3.健康福祉部 保険医療課とあはき施術助成について話をしました。令和5年
度の国保被保険者証の発送時に,「はり・きゅう・マッサージ施術費の助成制度のお
知らせ」というリーフレットを同封してくださり、利用者が増えていることに対しお
礼申し上げます。

§県警は、またもや宿題をサボっていた


  藤原 義朗
 1.ネウボラ児童手当や児童扶養手当制度など、対象の候補者にダイレクトに案内
してほしいという陳情は20年連続になる。県は各市町村に、「伝えるよう通知する」
とのことであるが、高知市の回答にあるように「個別にはできない」と言う。
フィンランドでは、妊娠から小学校入学まで家庭の状況を分析し指導サポートする
「ネウボラ保健師」というシステムがある。このように、親の障害も理解し専門的に
あたらないと制度の抜けを無くすことはできない。

 2.電子書籍は便利
高知県でも、やっと「読書バリアフリー計画」がスタートしようとしている。大切
なのは、視覚障害者である住民が最寄りの市町村図書館でバリアフリー読書の相談、
援助、あるいは情報提供をいかに積極的に受けられるかである。それ次第で、視覚障
害者の運命は大きく変わる。県教委も市町村図書館むけに講習会の計画を立てている。
国の第2期計画のポイントになるといわれている電子書籍も、その選び方から
購入、シリアル番号の入力、聴き方、使い方まで細かくサポートしてもらえるように
求めた。遠慮せずに各図書館に要望していこう。その上で県と市は、各関連機関と相
談連携しながら力をつけていくようにしていきたい、という話になった。

 3.踏切は突起付き点状ブロックに3年前の奈良県での近鉄踏切内での視覚障害者
死亡事故により、踏切内での点状ブロックも研究され試作品も作られている。JRは、
全国でその必要がある踏切箇所を4百箇所以上指定しており、JR四国も3箇所指定が
あるが高知県内には無い。JRからは、突起付き点状ブロックが必要な踏切の場所をあげ
てほしいとのこと。役員までお知らせ下さい。
その他、道路の白線が薄くなっていること、エスコートゾーンが少なく渡りにくいこと
などの訴えがあった。

 4.警察官の巡回訪問
昨年から陳情にあげた項目である。警察官は地域の家を巡回することになっている。
もし、本当に警察官かどうか不審な場合は、「どこの警察署のどなたですか?」と
お尋ね下さい。
以下は、各警察署の電話番号です。
 高知警察署 088−822−0110
 高知南警察署 088−834−0110
 高知東警察署 088−866−0110
 室戸警察署 0887−22−0110
 安芸警察署 0887−34−0110
 南国警察署 088−863−0110
 土佐警察署 088−852−0110
 佐川警察署 0889−22−0110
 須崎警察署 0889−42−0110
 窪川警察署 0880−22−0110
 中村警察署 0880−34−0110
 宿毛警察署 0880−63−0110

 5.自転車
無灯火運転や傘さし運転、携帯電話運転などで歩行者と事故が起きた場合は、「自転車
側が第一当事者」になるとのことである。
アーケード内で、制服警察官の横を悠々と自転車が通り過ぎている。きちんと注意し
てもらわないと「(自転車通行は)かまわないのか」と思われかねないことを忠告した。

 6.信号機
@歩車分離式信号機は、県内で82基。そのうち音響があるのは33基のみ
で、最近は増えていない。10年前、県議会で「歩車分離信号には必ず音響を」という
意見書が提出され、全会派で採択されている。

A信号機の故障
信号機は雨ざらしのため、故障することがある。そちらにお金を使うため、近年の
新設は少なくなっているとのことで、新設は土佐道路朝倉サンシャイン前のみとのこと
である。音響の故障の修理済みや、「いつ直るのか」を守る会に連絡してもらうことに
なった。

B高度化ピックス
小津神社前交差点にできたのは2年半前である。県警は「これがいいという人もいる」
と言うので、2年前「目隠しをして交差点を渡ってみていただきたい」と要望した。
昨年の交渉の時尋ねたら、まだしていなかった。再度約束をしたが、今年も目隠し
体験はしていない。
このように、視覚障害者の大反対に対し、確かめもせず「これがいいという人も
いるんだ」と、宿題もせず押し付ける県警の態度は呆れるばかりである。なお、
高度化ピックスは現在増やす方針はないとのことである。

 7.その他
@エスコートゾーン
一昨年、堀詰交差点に4箇所敷設された。増やしていきたいとのことである。

A横断歩道「ゼブラ」
警察庁ではこの春パブリックコメントを出した。ゼブラの白線と白線の幅が、今の
45〜50p弱を90pに広げるとのことである。
パブコメの結果、「地域の視覚障害者のご意見を聴きながら進めていく」とのこと
である。きかれた場合には「今までの45p幅、エスコードゾーンも設置」など、
しっかり意見表明をしていただきたい。

§点字ブロック問題で熱い議論 8月22日、対高知市交渉


  永田 征太郎
 参加者数は9名でした。

 1.点字ブロックについて
 原則、歩道がないところに点字ブロックは敷設できないという回答に対し、どの
ようにしていけばよいかの議論がなされました。
上町1丁目にある点字鋲を、点字ブロックが敷設できないところに設置してはどう
かという意見も出されましたが、点字鋲は古い時代のものをやむなく使っているもので、
新しい道路には設置する考えはないとのことでした。これは車から見てそれ以上外に
はみ出さないようにしている措置なので、撤去することが危険につながるとの説明
でした。
 帯屋町アーケードの安全チェックは警察と合同で年に1回実施しているという回答に
対し、それでは改善が進んでいないので、もっとこまめに実施してほしいという強い
要望が出されました。
 日曜市については、点字ブロックの上に陳列台がおかれることはなくなったよう
です。歩行者誘導員も3名配置されるようになったということでしたが、その人を
見つけやすくするための目印などをわかりやすい形で表示してほしいという意見が
出されました。

 2.市営住宅について
 六泉寺の市営住宅の建替えが予定されているとの回答に対し、六泉寺は交通の便が
悪いので、電車通りに近いところを確保してほしいという意見が出されました。また、
空き家の募集は簡易テキスト版で掲載されているという回答に対し、簡易テキスト版は
操作がしにくくわかりづらいので、もっと簡単な方法で情報入手ができるようにして
ほしいとの意見が出されました。

 3.点字投票について
 点字の打ち間違えによる無効票を減らすため、開票担当者に点字の五十音表を
手渡して対応してもらうよう、昨年に引き続いての要望が出されました。

 4.災害対策について
 例年出されている要望ですが、避難行動要支援者名簿に登録はしたものの、その
後の動きが全くわからないので、地域でどのような支援をしてもらえるのかがわかる
ようにしてほしいとの意見が出されました。また、どのような人が避難の際に関わって
くれるのか事前にわかっていないと安心して支援をお願いできる状態にはならないので、
支援に慣れた人を配置できるようにしてほしいとの要望も重ねて出されました。

§お母さんも知らなかったご子息の思い 8月22日、対高知県交渉


  永田 征太郎
 参加者数は6名でした。

 1.保険料の負担について
 後期高齢者医療制度か国民健康保険かの選択について、負担がどれくらいになるか
判断をしやすくするため、計算式などの情報を提供してほしいという要望が出され
ました。

 2.「さんSUN高知」について
 最新の点字版について表記の間違いがとても多いという意見が出されました。
今まで作成作業に関わっていた担当者が辞任したことにより、今回の事態を招いたとの
説明がありました。今後はそのようなことがないように指導したということでした。
 また墨字版については、タイトルの文字がパステルカラーで弱視者にとって読み
にくい状態であることから、ユニバーサルデザインを意識した編集をお願いしたいと
いう要望が出されました。

 3.特別支援教育について
 過去の盲聾教育の歴史に学び、今後の施策の参考としてもらうための基礎資料として、
全国の盲学校が加入している研究会での発表資料の一部が、参加者から教育委員会の
担当者に提供されました。また、盲学校やその後の教育によって自分が成長できたと
いう北村光寿さんの文章が、北村さんのお母さんより披露されました。

 4.あはき問題について
 無免許業者の実態調査については、一つの参考資料としているタウンページの更新が
今回なかったことから、実態調査も行っていないとの回答でした。
 行政が行う取り締まり活動について、今後重要な意味をもつことになるであろうと
いう趣旨をふまえ、参加者から「あはき・柔整広告ガイドライン」についての説明が
なされました。
また、高知家健康パスポートについては、三つある項目のどれにもあはき施術が
該当しないため、シールの対象にはならないという回答でした。

§9月5日(第3回)高知市との意見交換会報告


  生田 行信
 台風接近により延期され、8月29日に予定されていた項目について意見交換が
行われました。9名の参加でした。
要望分野と担当部署は次のとおりです。
《読書権》 図書館・科学館課、声と点字の図書館
《介護保険》 介護保険課
《障害者総合支援法、情報保証、街づくり、その他の福祉》 障がい福祉課

以下、特徴的な内容を報告します。

 1 タクシー券の枚数を大幅に増やしてください!
 とさでん交通のダイヤが10月から改正されました。これに先立ち会社は、一部の
路線廃止や減便を発表し、主な理由として運転手不足を挙げ、このペースで進むと
10年後には運転手ゼロになるという見通しを明らかにしました。移動障害者とも
言われる私たち視覚障害者にとって公共交通はなくてはならないもので、維持、
存続を訴えていくことは大事なことです。
ただ、路線廃止や減便が実際に進む中、これを補う手段としてのタクシーの大切さが
増しています。現在、高知市はタクシー券を「在宅重度障害者移動支援事業」として
年間に400円×33枚=13,200円を上限に交付しています。令和5年度において交付
対象となる人は1,954人、予算総額は25,792,800円、実際に使われた額は20,988,400円、
予算執行率は81,4%でした。居住地や社会参加の場所によっては公共交通縮小の影響を
もろに受けて、とてもじゃないが足りませんという方も多いことでしょう。「要望の
趣旨は理解しているが、高知市単独事業のため財源が厳しい。大幅増は困難。
1、2枚の増額であれば予算要望はしてみるが・・・」との回答でした。
参加者からは「このままでは障害者が社会参加できなくなる。公共交通の細った地域の
人に限定してでも大幅増額をしてほしい。」などの切実な意見が出されました。

 2 ケアマネさんはメチャ勉強しないといけません!
 介護保険では介護支援専門員、障害者総合支援法では相談支援専門員、通称
ケアマネ。同じ認定段階でも様々な実態があり、障害種別ごとに固有の課題とそれに
対応する社会資源を熟知していなければ適切なアドバイスやケアプラン作成はでき
ません。
 介護保険給付では、量的質的に十分なサービスを受けられない場合には、障害福祉
サービスの利用も可能であることが国からも示されていますが、この認識が十分でない
ケアマネもいるようです。守る会は視覚障害に関わる課題に対して適切なマネジメント
のできる力量とそのための研修等の施策の充実を求めています。「研修の内容に
ルミエールサロンの指導員のコマを設けている」が従来からの回答ですが、十分な力が
ついてない方がいるようです。研修の充実と内容の改善を要望し続けます。

 3 契約書は読める媒体で!
 介護保険や障害福祉サービスの契約書、重要事項説明書、ケアプラン、領収書等を
私たちも直接読んで確認したいですし、あとから確認したいことも多いです。例えば
同行援護のヘルパーの食事代、交通費、入場料などをどちらが負担するか事前に決めて
おくことが大切ですが、重要事項説明書に記載されることが多いようです。希望の
媒体は、点字、音声、大活字、テキストファイルなど、人によって異なるでしょう。
これらの対応はサービス提供を契約した事業所が行うことになりますが、法や制度で
義務化されていないこともあり、まちまちなのが現状です。そこで、行政からの指導的
役割を要望しており、高知市の場合、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供が
民間事業者にも、この4月から義務化されたことも踏まえ、文書や説明会の場での
周知はしているようです。事業者での対応が難しい場合は、介護保険課や障がい
福祉課に連絡をくださいとの回答は得ていますので、あきらめないようにしましょう。
今年の総会前のミニ学習会で学んだ合理的配慮に関する相談の流れや窓口も動き出し
つつあるので、そちらも使えそうですね。

 4 セルフレジ、セルフオーダーをなんとかして!
スーパー、コンビニでのセルフレジ、飲食店でのセルフオーダー(タブレット、券売機
など)が急激に増えて、視覚障害者が利用しにくくなっている現状。障害者も利用
できるようにする対応の責任は、基本的にはお店にあります。レジにひとりは人を
配置する、品物探しでサポートする、タブレットで代わりに入力するか口頭でも注文を
受ける等、民間事業者に対する行政からの積極的な関与を要望しました。個別の相談と
しては、まずその店舗と話し合い、改善がみられない時は障がい福祉課が窓口として
対応してくれます。
 配慮の必要な多数の人を想定してあらかじめバリアフリー化しておく、例えば点字
ブロックの敷設、表示を大きな文字にする、コントラストを強くする、有人レジを
1つかまえておく等は「環境整備」、それに加えて個別のニーズに応じて、例えば
私は弱視なので欲しい品物の場所に誘導してもらえばあとは自分で探す、全盲の方で
あれば誘導とともに品物の説明を口頭で求める等は「合理的配慮」と、行政用語的には
区別しているようです。

§9月5日(第3回分高知県との意見交換会報告


  生田 行信
 台風接近により延期され、8月29日に予定されていた項目について意見交換が
行われました。7名の参加でした。
 要望分野と担当部署は次のとおりです。
《情報補償》 障害福祉課
《住まい問題》 住宅課
《読書権》 障害福祉課、県立図書館
《障害者総合支援法》 障害福祉課
《参政権》 市町村振興課
《災害対策》 南海トラフ地震対策課、地域福祉政策課

以下、特徴的な内容を報告します。

 1 スマホ活用をワンランク、アップしてみませんか?
 県の予算で「パソコンボランティア派遣事業」(以下、パソボラ派遣)があります。
この事業、スマホについても習うことができます。今年度は予算も拡充しており、
そのねらいはスマホでの希望の増加を想定して、との回答。習いたい場合は県の障害
福祉課に連絡してみましょう。もちろんショップでも習うことはできますが、視覚障害
に応じた使い方は不十分。他には、県や高知市の視覚障害者生活訓練指導員の訪問訓練
(ルミエールサロンの金平さん達ですね)、声と点字の図書館の視覚障害当事者職員に
習うなどが考えられます。

 2 個別避難計画作成、その後は?
 私たち障害者は、災害時の避難に支援が必要なので、個別避難計画を市町村が主体と
なってあらかじめ作っておくことが義務化されています。一旦作成したら「もう安心」
ではなく、年に一度は見直しを検討できることになっています。支援してくれる民生
委員さんが90歳代だった、支援役に想定している両親が高齢になってきた等、変化に
応じた見直しは役場からは連絡が来ないことがあるので、その時は当事者から発信
することも大事で、遠慮なく申し出てくださいとの回答です。特に高知市は対象者が
多く、「作成」に注力している段階で、「見直し」まで手が回っていないようです。
要支援者の対象範囲の基準は市町村が決めるので、自治体が異なると同じ障害でも
対象者とされていなくて、役所から声がかからないこともあります。「対象範囲」は
あくまで目安であって、自分には声がかからないが支援が必要だと思ったら、役場に
まず問い合わせることが必要です。

 3 ハザードマップを見ておこう!
 ハザードマップには、地震・津波、洪水、高潮、土砂災害、火山などがあるよう
ですが、どれも目で見て把握するものです。そこで触地図など視覚障害者が認識できる
媒体での提供を要望しています。触地図はまだハードルが高そうですが、『南海トラフ
地震に備えちょき』は改訂後の最新版についても音訳版と点字版が作られているので、
希望者は南海トラフ地震対策課に問い合わせてみましょう。ハザードマップについては、
地図情報を文字化しての提供も始まっているようで、すなわち音声化ソフトで読み上げ
させることができるようになっています。パソコンかスマホかで体験してみると、改善
要望につながるのではないでしょうか。視覚情報を文字情報に変換する、これは結構な
専門性と経験が必要です。行政職の人たちに加え、視覚障害者の教育や福祉に関わる
人たちからのスキル面での援助、アドバイスも必要と感じます。

 4 福祉避難所
 災害時に配慮が必要な人たちのための二次避難所として福祉避難所が、各市町村に
よって指定されています。視覚障害者になじみのある場所としては、盲学校、旭町の
高知市障害者福祉センターが指定されていますが、小高坂更正センターは指定されて
いないので、守る会は例示の一つとして指定を要望しています。福祉避難所では、
指定した市町村が受け入れの対象者を示しています。その施設の元々の対象者に限定
している例としては、旭町にある「デイサービスいこいの森」は高齢者対象、布師田に
ある児童養護施設「愛仁園」は発達障害のある児童生徒対象などがあります。最も多い
のは、要配慮者全般を対象とする指定で、旭町の障害者福祉センターなどです。
盲学校や聾学校は、視覚障害者、聴覚障害者に限定した指定ではなく、要配慮者全般を
対象としています。

 5 図書館協議会メンバーに情報障害者の代表を!
 県立と高知市立の図書館合築によるオーテピア高知図書館の運営について、関係者の
意見を聞く会は、10人の委員で構成されています。当初から高知市身体障害者連合会
会長が障害者の代表として委員を務めています。視覚や聴覚などの情報障害者の固有の
課題については、会での発言もシャープな指摘には至っていないようです。私たちは
長年、委員として情報障害者の課題を発信できる委員を置くよう要望していますが、
「前述の方が障害者の代表」の一点張りです。任期は2年なので、先の団体から色々な
障害種の方が改選時に就くようにしてはどうか等、対案も出しましたが、らちが
あきません。「声と点字の図書館の協議会で意見を出してもらえれば、高知図書館にも
反映できる」との館長の発言がありましたが、実際には高知図書館についての意見を
う時間のゆとりや会の進め方にはなってないようです。

§高知県との意見交換会 9月5日、高知県交渉


  浜口誠一
 パソボラの一人当たりの回数が多い場合も認められるようであること。何事も、
「財源問題」と逃げられているので、特に、首長さんに積極的に財政を確保して欲しい
こと、などを発言した。

§考察


   藤原 義朗
 1.合理的配慮
 介護保険や障害者サービスの利用における「しおり」や契約書、プランなど利用に
必要な情報の保障も、「可能な限りしなければならない」と、回答は以前と変わらない
ように見えます。しかし、差別解消法の完全実施が「飛車」のように効いています。
市町村や事業所との情報保障で問題があれば、これからは「合理的配慮」が物申します。
なお、高知県差別解消条例における調整委員は10名ですが、案件により、その道の専門家
がオブザーバーで入れることになっています。
まず、具体的差別事例があれば、高知県障害福祉課内の差別解消相談員に相談して
下さい。その上で、事例を調整委員会へ上げていくことになります。

 2.公共交通
 「福祉タクシー券は増えない」「電車の減便」「バス路線の大幅な削減と減便」
など、私たちの足の便がおびやかされています。県の障害福祉課から全体の課題にして
いただくよう申し入れました。
例えば、高知市地域公共交通会議という高知市からの指名委員制の会議があります。
障害者代表委員は、「障害者の自殺行為」とも言うはずの「ライドシェア導入」を
しゃあしゃあと述べています。デマンド交通やコミュニティバス、自動運転バスなど
私たちが意見を述べていく場づくりが課題です。
人にやさしい街づくり条例と運用指針も改定から14年になります。県はまだ改定を
考えていませんが、前述のセルフオーダーシステムなど大きく街は変わっています。
ぜひ検討してもらいたいものです。

 3.日常生活用具
 @視覚障碍害者と難聴
「耳を酷使して難聴になった」「アッシャー症候群などで難聴が進んだ」という話は
よく聞きます。しかし、今の身体障害者福祉法では、縦割り制度ですので、よほど
難聴の程度が進んでないと手帳や補聴器には結びつきません。高知県から全国に、
視覚障害で難聴の方に県単で補聴器制度を作っているかどうかアンケートもして
いただいたのですが、答えは、ゼロでした。
全盲ろうの福島聡さんの言われるように、「盲ろう」という別のカテゴリーの等級制度を
作らないと保障はありません。そのために全国の団結が必要です。
全視協では、11月2日の夜にオンラインで難聴問題で交流会を予定しています。

A日常生活用具
音声時計の基準額は、高知市で13,300円のままです。電子機器の発展によって、特に、
視覚障害者の光学機器が発展しています。物価高騰により基準額より、はるかに高く
なったものは多いです。
それを埋めるのは地域生活支援事業ですので、県と市町村の課題です。この間
ロービジョン学会からの要請もあり、拡大読書器の基準額は上がり自己負担は少なく
なっています。

B補装具
白杖などは、個別給付といって全国制度の基準額です。この間、物価高騰によって
約千円上がり折り畳み式で5200円にまでなりました。しかしミズノケーンのように、
良いけど18,000円もする物もあります。
「手をつなごう全国要請行動」もコロナの関係で年に1回です。増やしていくように
しなければなりません。

■裏話


  藤原 義朗
その@
 セルフレジやレストランのセルフオーダーシステムなど、2年前に陳情書に上げた時、
「県や市に言ってもらってもどうしようもないので」と言われました。しかし、話し合いを
進めるうちに、合理的配慮の対象であることが役所の認識に入ってきました。

そのA
 陳情項目の内容で回答してもらえる部署がなく、障害福祉課が回答せざるを得ない
項目が増えています。それだけ視覚障害者の生活は複雑になっていることの表れです。

そのB
 元職員さんに会った時、「守る会の陳情は怖かった」「具体的なことを突き付けて
くるし人数も多いし」とのこと。これからもその作戦でいきたいです。

そのC
 今までは台風で陳情がなくなったら中止でしたが、今年は、県からも高知市からも
初めて延期という措置を取っていただけました。それだけ守る会の陳情が市民権を
得てきています。

おわりに


 後期高齢者医療制度への加入は一般には75才からですが、視覚障害の身障手帳1級
から3級の人は65才から加入できます。世帯によって違いますが、国保より後期高齢者
医療制度の方が保険料の安い人が多いです。
まだの方は、役所の医療保険の担当に相談して計算してみてください。
これも昨年会員さんからの「案内を点字で出してほしい」との要望から陳情項目に
入れました。調べてみると、手続きのできていない方が多いことがわかったのです。
一人の要望が多くの方の財布を守ったのです。
どうぞ、守る会を使ってください。

文責 藤原 義朗



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