視覚障害者にとっての自立支援法 パート7
藤原 義朗
新制度が始まり3ヶ月たちました。「作業所へ行っているが、工賃を上回る負担額を払わなければならず、自由に使えるお金がなくなってしまった。やめようと思っている」「施設の報酬計算が月額方式から日額方式になり2〜3割の減、職員のボーナスカット、給料3割減」など、あちこちから怒りと悲鳴が聴こえてきます。
高知県と高知市の、6月定例議会の本会議では、次の方々が登壇し、障害者自立支援法について質問されました。
高知県議会は、塚地さち(日本共産党と緑心会)、江渕征香(県民クラブ)、高知市議会は、佐古哲郎(日本共産党)、岡崎豊(市民クラブ)です。
今回は、その中から特徴的な事柄について紹介させていただきます。
1.自治体の財政負担減っている
高知市の障害者自立支援法にからむ障害福祉の予算は、平成17年度は約27億9千万円、平成18年度は約23億5千万円と、約4億4千万円の減少です。これは、障害福祉予算が、国2分の1、高知市2分の1でした。それが、新制度では、国2分の1、県4分の1、高知市4分の1という割合になったからです。そのことにより、高知市の負担額は12億8千万から9億3千万円へ、3億5千万円の減額になるのです。さらに、施設への予算支出が、日割り方式になる為、実際にはかなりの減となります。いわゆる不要額が発生するのです。佐古議員は、それを独自減免に廻すように迫りました。低所得1の人は、高知市で160人おられます。その月額上限は、1万5千円ですので、それを全額分利用されたとしても、それを減額すると年3千万円という数字です。岡崎市長は、支援費制度のことを引っ張り出し、「破綻するようなこ
とは責任上できない」と、答弁しました。利用者の負担が上がっている、施設の収入が減っている、それにより自治体の負担が減っている、それならば、独自減免すべきではないでしょうか。
一方、県議会でも「全国で15パーセントの自治体で減免制度を作っている。高知県でも」と、両県議から県外の減免事例を挙げ、独自減免について迫りました。知事からは「状況をしっかり掴んでから」という答弁です。私達も、実態をしっかり掴み迫っていこうではありませんか。
2.医療を守る
更生医療制度から自立支援医療制度に変わりました。要するに、1割負担の導入と
対象疾患の削減です。
高知市の平成17年度の更生医療の実績では、心臓機能障害入院588名、通院65名、腎臓機能障害により入院135名、通院392名、肢体不自由による入院10名、通院2名です。しかし、新制度になると心臓機能障害の人の多くが自立支援医療から外されます。また、内部障害の多くは身障2級等級がなく、障害者福祉医療の恩恵を受けることも出来ません。その為、一般医療制度で月額7万2300円プラス診療報酬の100分の1プラス食費という膨大な負担額になってしまいます。
県と市に対する福祉医療を守る闘いの手綱をゆるめてはなりません。それどころか、広げていく闘いが急がれます。
3.急ぐ認定区分の問題
障害程度区分認定が、視覚障害者には不利に出ること、施設入所については特別な理由が無い限り、重度という風に区分されなければ、入れないことは以前にも述べてきました。まだ、施設入所者の障害程度区分認定は始まっていませんが、高知市内の施設がシュミレーションしたところ、3割の人しか残れないということです。つまり、これから5年半かけて入所施設は新事業体系に移行していきますが、この判定方式ですと、施設の運営事態がやっていけなくなるわけです。県も国に対して物申していくことを約束してくれました。早急に認定区分を改める闘いを全国的に起こそうではありませんか。
4.補装具は代理受領方式で
補装具の負担については、新制度で1割負担になりました。問題は、一旦全額払ってから後で9割返してもらう償還払い制度になってしまうことが心配です。電動車いすや義足の人の場合、30万円以上することもあります。高知市では、利用者が自己負担分を支払い、残りを業者が自治体に請求する「代理受領方式」が採用される予定であることを述べられました。それには、自治体が事業者と契約を結んでおかねばならず、業者の選択が狭められないように気をつけていかなければなりません。
5.おわりに
10月からスタートの地域生活支援事業について、各自治体で条例を策定しなければならず、6月議会が勝負どころと見られていました。しかし、国から示される指針が遅れ、ほとんどの自治体で9月議会が勝負となりました。
高知市議会では本会議のビデオテープを貸し出しています。県議会もインターネットで中継を見ることができます。私たちの選んだ議員さんがどんな仕事をしているかきちっと監視し、一緒に運動していきましょう。
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