「みちしるべ」2006年11月号より

視覚障害者にとっての自立支援法 パート8(9月22日の時点で)
藤原 義朗
 介護保険と自立支援法との統合計画まで、あと2年半となりました。自立支援法の流れを見ると、ガイドヘルパーは、介護給付から地域生活支援事業へ、補装具では色眼鏡は廃止、点字器は地域生活支援事業の日常生活用具へと移行されました。視覚障害に特化した事業は、義務的経費である自立支援法本法からだんだん少なくなってきています。
 一方、もともと介護保険は、認定にしてもサービスメニューにしても、視覚障害に特化したものはあまりありませんでした。自立支援法の介護給付と介護保険とが統合されていく図式が目に浮かんでくると思います。
 別の視点で言えば、私達の闘いは地域生活支援事業で、いかに視覚障害への事業を獲得していくかに尽きると思います。


1.自治体での独自減免
 高知市が9月初旬、明らかにした独自減免方法は、10月から介護給付事業とガイドヘルパーの合算で、それぞれ「一般」「低所得2」の上限額を、当面3分の1に切り下げる。これは激変緩和措置で、1年半後には3分の2に引き上げるということでした。
 後でも述べますが、ガイドヘルパーの支払い単価は、高知市で1時間280円、ホームヘルパーは視覚障害の場合、家事援助がほとんどですので、おおむね1時間150円の支払額になります。例えば、「低所得2」の人の上限額は8200円になります。視覚障害者で、上限額までかかる程利用決定される人がいるでしょうか。
 しかし一方、利用の多いいわゆる重度の方には助かる制度です。
 高知県の方は、9月7日に行われた高知県障害者施策推進検討委員会の場で、私も質問しましたが、執行部からは「支払額が高くて施設を出たり、通所に通えないケースもあると部分的には聞いている。今回の制度改定による影響かどうかについては、まだその判断の域には達していない。もう少し状況を見てから判断したい」との返答でした。
 今、障全協で自立支援法影響実態調査をしています。皆さんの状況変化をどんどんレポートして下さるようお願いします。

2.ガイドヘルパーチケット制
 高知市では、ガイドヘルパーの派遣単価は、身体介護を伴うものも伴わないものも一緒にして、一律30分1400円となりました。利用者の支払いは1割負担で140円となります。
 それをチケットで給付し、利用ごとにヘルパーさんに渡していくという方式になりました。なお、このチケットは「30分ずつ、80枚もぎり」で点字もついています。数か月分まとめて支給して貰えます。ですから、外出頻度が集中する時は、その月の支給限度額を超えて利用することもできます。その代わり、1年としての利用限度の枠は変わりませんので、利用料管理はご自分でということになります。
 さて、問題は居住している自治体から、別の地域へ行って利用した場合どうなるかです。今年の県や市との交渉では「それはできます」との答弁でした。しかし、早速、県外の利用者から相談がありました。「地域生活支援事業だから居住地以外はダメです」と、自治体から言われ旅行にサポートがなく困っているとの事でした。
 皆さん、高知から外へ飛び出して、そのレポートをお寄せいただきたいと思います。

3.日常生活用具は1割
 さて、日常生活用具の負担は、どうなるのでしょうか。高知県も高知市も1割の負担です。
 視覚障害者に関する、県と市における日常生活用具の9月中旬段階での基準額を以下に示します。
●ポータブルレコーダー 85,000円 ●テープレコーダー 23,000円
時計(音声)13,300円 時計(触読)10,300円 
●電磁調理器 41,000円 ●体温計 9,000円 ●体重計 18,000円
●拡大読書器 198,000円●タイプライター 63,100円 
●活字文書読み上げ装置 99,800円 
歩行時間延長信号機用小型送信機 
7,000円 ●火災警報器 15,500円 
●自動消火器 28,700円 
点字ディスプレイ(盲ろう者用) 
383,500円 
●読書支援機器 200,000円 
パソコン特殊入出力装置 (ソフト)
10,000円(点字)300,000円
です。
 なお、点字図書価格差保障制度は、今までどおり点字本と墨字本との差額を保障して貰えます。
4.読み書きはコミュニケーション
事業で
 8月の全国都道府県障害福祉課課長会議の資料を見ると、コミュニケーション事業の利用の対象の中に、聴覚障害者以外に視覚障害が入っています。
 今までも、このシリーズで述べてきましたが、「ホームヘルパー事業では読み書きは家事援助の一部であるが、それが主になってはいけない。おおむね3分の1まで」といわれてきました。
 今回、高知市では、コミュニケーション事業は、利用料金無料でスタートする予定です。皆さん、この事業で在宅での音訳を申請してみてはいかがでしょうか。

5.なぜ歩くのにお金がいるの?
 この表題は、自治体交渉の時、出された事のある意見です。今まで、ヘルパー利用の9割の人が無料でしたが、生活保護以外の人は1割負担になりました。
 先日、9月高知市議会本会議の傍聴に行きました。江口よし子(共産)の質問は「なぜ同じ社会参加なのに、手話通訳派遣は無料で、視覚障害の外出にはお金がいるのか」というものでした。堀川健康福祉部長は「手話通訳は、ボランティアの人が派遣されているし、ガイドヘルパーは、ヘルパー事業から移行してきたもので、もともと制度の成り立ちが違うから」と、苦しい答弁でした。手話はボランティアといっても、一定の講習会を終了した手話通訳者です。高知市から高知県聴覚障害者協会に委託された事業であり、登録された通訳者が派遣されています。報酬も出ています。
 このことは、執行部の言葉に惑わされないように実情を伝えていこうではありませんか。



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