時は200X年(3)
松田哲昌
ある朝、政府はその理由の説明もないままに有事法緊急事態法を発令した。それは言論・通信・交通、そして物資まで国民から取り上げて訳のわからないまま国民を総動員する内容だった。
ブラウン管は1度日の丸を大写しにしたあと、またもやあのハゲタカの官房長官が現れた。
「今、防衛庁からのお願いを申し上げましたが、次に総理大臣より皆様にお話があります。」
今度はゴリラのような厳つい顔の総理大臣が写し出された。
「只今官房長官および防衛庁から説明がありましたが総理のわたくしからもお願いしなければならない事がございます。早速ですが皆様のお手元に、このような住民基本台帳ネットワークのカードが在ると思います。今から申し上げる番号の方は直ちにお住まいの自治体の市区町村役場に集合いただきますようお願いいたします。これらの方々は普段から学校などを通じて、いろいろな奉仕活動や、ボランティアの経験がおありのはずです。
そこで、この緊急事態にぜひご協力いただきたいとお願い申し上げる次第であります。」
「あっ!、2003年の個人情報保護法案が、こんなふうに利用されたのか。」
俺は思い出したぞ!。2003年4月25日にこの法案の衆議院総括質疑で春名眞章議員が、「自衛隊による自治体への違法な情報収集」について指摘していた事を!。防衛庁は自治体に対して自衛官募集の協力と言って個人の職業や病歴・労働組合への加入の有無、思想調査までやり、それを警察にまで流していたのだった。そして、その国会で教育の憲法とも言われる教育基本法を与党の多数を頼んで改悪したのだった。
「国民は国の歴史に誇りをもち日本を愛し国家に尽くす事を目的とする・・・」、などと言う代物で嘗ての侵略戦争を美化し、日本の伝統を守ると言って天皇崇拝の機運を作り上げてきたのだった。
2003年5月6日には個人情報保護法案が衆議院を通過した。
結局この年はアメリカのイラク侵略占領に協力するために、あるいは、アメリカがどこかの国をならず者国家と勝手に決めつけて攻撃するときに、日本も自動的に参戦する仕組みがほぼ完成したのだった。
_続く
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