時は200X年(14)
松田哲昌
アメリカで同時多発テロが起きて、ちょうど4年目の2005年9月11日、日本は小型核兵器に匹敵するような時限爆弾を抱え込むことになった。8月に衆議院が解散になった。小泉自公与党はこれまでの庶民いじめの悪政と、これから起きる大増税、憲法改悪を覆い隠すために郵政民営化の是非を問うという争点隠しの戦術をとった。
その郵政民営化にしても、郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業で黒字となっている郵政公社をバラバラに分けて、郵便貯金をアメリカと
日本の大銀行に売り渡し、簡易保険を生命保険大資本に叩き売り、残った郵便事業はやがて採算の合わなくなった所から撤退するという、百害あって一利なしというものだった。
選挙の結果、自民・公明で480議席の3分の2掠(かす)め取ったのだ。これはどんな数字なのか。
衆議院の予算委員会をはじめ、各委員会の3分の2与党が占め、あらゆる悪法を可決する。本会議でも数にものを言わせて衆議院を通過させる。そして参議院でたとえ否決されたとしても、憲法の規定により衆議院に差し戻され、衆議院の3分の2以上の賛成で、可決成立するのである。まさにいつ悪法をまき散らすか分からない時限爆弾なのである。
選挙結果を詳しく見ると、自民・公明両党の得票率は50%そこそこであり、郵政民営化の世論はほぼ拮抗していたともいえる。しかし小選挙区制という制度では、1選挙区から1人を選び、あとは死に票となるのだから、こんな馬鹿げた結果も出るのだ。小泉首相は国民の圧倒的多数が民営化に賛成したと胸を張るが、それは小泉マジックといわれる手法と、小選挙区制という悪しき制度が生み出した虚像なのだ。
特に小泉与党は自分と意見の違う者を徹底的に排除してしまった。独裁的立場に立ってこの時限爆弾を弄(もてあそ)ぶとしたら危険極まりないのだ。
とかく人々は将来に希望が持てない不安な時代には、独特のいわゆるカリスマ性のある者が現れると、一挙にそちらに流れるものである。あのオウム真理教の麻原が、高学歴の者まで引きずり回したのもその現れではないだろうか。今度の選挙も多分にそんな要素が小泉にあったのだろう。 続く
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