発行日:2008年11月20日
発行者:音十愛さんを高知県立盲学校幼稚部への入学をすすめる会
連絡先:(088)873-9066
11月3日 高知市「かるぽーと」で「音十愛さんの高知県立盲学校幼稚部への入学をすすめる結成集会」が行われました。参加団体である高知県母親運動連絡会や障害者団体のほかにも地域の方々や音十愛ちゃんのお兄ちゃんおねえちゃんが通う小学校の保護者の方々も多数参加され、120名の参加者で会場はいっぱいになりました。
「入学をすすめる会」会長のあいさつ 高知女子大学教授 田中きよむ
現在3歳の山崎音十愛ちゃんは、全盲であることにくわえて、肢体不自由と知的障害があります。お母さんは高知県立盲学校幼稚部への入学を強く願ってきました。すすめる会は、医療か教育かではなく、医療も教育もきちんと受けられる体制が必要であると考えて支援してきました。
当初、教育委員会は、音十愛ちゃんには経管栄養(鼻腔栄養)という医療的ケアが必要であることから、医療的ケアの体制がある若草養護学校国立高知病院分校と土佐希望の家分校があるので、盲学校入学は難しいという姿勢でした。しかし、高知病院と土佐希望の家には幼稚部がありません。
この度、口蓋手術を終え、訓練次第で経管栄養の必要性がなくなる可能性が医師から指摘されたこともあり、みなさまのご支援により、教育長や教育委員会との話し合いをふまえて、基本的には入学を認める方向が示されました。それ自体は一定の前進として評価されることですが、次のような課題も残されています。
1.入学を認めるに際しては看護師を盲学校に配置させる方針であるにもかかわらず、「学校内では『医療的ケア』は行なわない」という原則は変わっていない。しかし、2004年に示された厚生労働省通知によれば、所要の研修を受けた教員が看護師との連携・協力のもとに経管栄養をおこなうことが認められており、高知県の今回の方針は、国が教員に認めている経管栄養を看護師がおこなうことすら認めようとしない姿勢であると言えます。鼻腔栄養が認められないのであれば、給食前には下校しなくてはならないことも懸念されます。
2.看護師が配置され慣れるまでの間、お母さんが常駐しなくてはならないが、お母さんの負担が過重にならないよう、学校と医療機関等の専門機関、行政との連携内容・方法が検討される必要があります。また、現時点では、お母さんの控え室もない状態です。
3.音十愛ちゃんの発達に応じた専門的な幼児教育を適切に保障するためには、教員の加配が必要ではないか。
高知県こども条例は、こどもの権利条約をふまえてこどもの人権を守ることをうたっていますが、同条約第6条は、児童の生存・発達の最大限確保を求めています。国の特別支援教育においても、「一人一人の教育的ニーズに応じた必要な支援をおこなう」ことを理念としています。また、障害者権利条約は、「視覚障害を有する者の教育は、その発達を最大にする環境でおこなわれる」ことを求めています。音十愛ちゃんをはじめとする視覚障害をもつ子どもの発達を保障していくために、学校の環境整備、医療的ケアの体制など、会として考えていかなければならないと思います。
大阪市立盲学校 今井理知子先生の講演
大阪市立盲学校の今井理知子先生から「視覚障害児の発達と早期教育」についての講演がありました。見ることに障害があっても、その他の障害を併せ持っていても「どの子も持っている発達の願い」があること、「発達の願いを実現するための視覚障害幼児教育」は、「視覚」が発達に及ぼす影響が大きいからこそ「早期から適切な教育を受ける場が大切」という話がありました。
全盲で身体や知的に障害があり、かつ経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて栄養をとる)の音十愛さんと家族の願いとその周りに集う多くの人たちの共感を広げるものでした。
【感想】 高知市五台山 森口 卓
障害児教育に興味のなかった私ですが、音十愛ちゃんが五台山に生まれたことによって障害児教育の実態を知ることになり、行政の非情さを知りました。
音十愛ちゃんのお母さんがこれだけ熱心に活動しなかったら、音十愛ちゃんは盲学校に入学の道は開けなかっただろうと思います。あれだけの人とかかわりを持ち、運動を広げていくことは大変だったと思います。盲学校でどのようにして概念を育てていくのか物事を伝えて
いくのかを聞いて感心するとともにいかに愛情をもって子どもたちに接しているかがよくわかりました。音十愛ちゃんがなぜ盲学校の先生の声に反応していたかわかるような気がします。ただ、音十愛ちゃんの場合お母さんの行動力によって一応条件がありながらも入学願書を提出できるところまでこぎつけましたが、運動はこれからも継続の必要性を感じました。
あと、県教委の人にも会の内容を知ってもらううえで出席があればよかったかなと思います。これからも私たちでできることがあれば協力しますのでいつでも声をかけてください。
音十愛ちゃんのお母さんから
講演会のお知らせが不十分であったため、来客を心配していましたが、懐かしい友人や知人、お世話になった多くの方々に参加していただき、誠にありがとうございました。また、このような会が開催できたのも事務局の皆様のおかげと心より感謝しています。
そして、大阪市立盲学校の今井理知子先生から、「全盲乳幼児を中心とした視覚障害児の発達と早期教育」というテーマで講演をしていただき、その内容がすばらしく一人ひとりの児童生徒に対する深い愛情や視覚障害児教育に対する35年以上もかかわり、今なおその専門性を探求されている姿には、頭が下がる思いでした。
そして、スライドに写しだされていた多くの児童の皆さんの素敵な笑顔がとても印象的でした。
全盲の子ども、特に知的障害を併せ持つ子どもを育てながら感じることは、視覚情報が伝えられないため、「外界への意欲を育てること」がとても難しいということです。
先生の話によると、その意欲が芽生える心を育てるには、専門的なかかわり方が必要でそのかかわり方の一つに見えない代わりにすべてのものをイメージ化してそれをあらゆる手段で子どもたちに伝える。そして、子どもたちの中で新しい力が膨らむように働きかけていくのだそうです。そのイメージ作りが難しく、時には見えている常識から超越した発想が必要なこともあり、試行錯誤の日々でした。
この話を聞いて、奇跡の人サリバン先生が頭の中に思い浮かび、まさにこれが視覚障害教育なんだなあと感じました。また、あきらめずに時間をかけ、心に語りかけながら、ていねいに育てていくことは、障害のあるなしに関係がないんだということを痛感し、とても勉強になったと参加されたお母さん方からも共感の声が広がっていました。
今回の活動で、多くの方々からご支援をいただき、障害と真正面から向き合う覚悟ができました。音十愛が音十愛らしく生きていけるよう、サポートしていこうと考えています。
これからも私たち家族を見守っていてください。
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