学校をつくる会ニュース 第3号

ゆたかに学べる教育の実現をめざして高知市に小・中・高、寄宿舎のある県立の100名規模の知的障害特別支援学校をつくる会(略称 学校をつくる会) 2020年6月

みなさま、ごぶさたしております。この間のコロナ禍で、「うちで過ごそう!」生活へと大きく様変わりせざるを得ない日々が続きました。5月の学校再開、自粛の緩和など、これからは、感染予防を意識しつつ、いろいろな活動を進めていくことになりますね。遅くなりましたが、この間の活動などをまとめた、つくる会ニュースをお届けいたします。

思いのこもった1万1804筆の署名、提出!

 去る2月20日(木)午後4時から県庁にて、つくる会メンバー約15名で、県教育長同席のもと、岩城副知事に皆さんからお預かりした1万1804筆の願いのこもった大切な署名を手渡しすることができました。本来ならば直接知事に渡すことを前提に日程調整をしていましたが、多忙の為、調整が難しく副知事が対応してくださいました。
署名活動の時には沢山の方々のご協力とご尽力により目標以上の筆数を集めることができ、この書面をお借りして共同代表及び事務局より感謝申し上げます。
 副知事には短い時間ではありましたが、保護者の思いをしっかり聞いて頂くことができました。
 知的障害のある子どもたちは時間がかかっても必ず成長します。将来の良い生活をする為には多くの経験と体験が本当に必要です。
 親元を離れ自立をうながす支援として寄宿舎生活があります。また、子ども達が豊かに学べる場所と教室とは別にパニックになった時にクールダウンする部屋が必ず必要だと言うことと、その際に他の児童が安心して居られる場所を確保してあげなくてはいけない事を知って頂きたいです。
 今後も100名の寄宿舎のある学校が実現するよう、皆で力を合わせてがんばりましょう。
県知事に直接思いを伝えることができなかったことが残念でしたが、副知事、教育長に伝えられたことが、しっかり知事に伝わり、教育長とともに、改革して行ってくれることを願います。副知事は、私たち、保護者の思いを親身に真剣に聞いてくれたと感じました。高知の現状を知り、もっと積極的に特別支援学校の必要性を理解していただきたいし、今後も、特別支援教育のあり方について、保護者や、先生方、関係する方々とディスカッションできる時間が持てることを強く望みます。(署名提出しての感想、保護者)

☆特別支援学校をみてきました☆

 2月20日(木)(毎月20日が香美市教育の日になっており、香美市内の学校は見学できます)、山田特別支援学校に共同代表と保護者の方と共にお邪魔してきました。狭い狭いとお聞きした上での見学に改めてどのように感じるのかなと思いながらでした。
小中高と3学部あるので本来なら3個あってもよい体育館や特別教室が共用であること、グランドや、プールがとても狭いなと感じた事の他は、現状で、児童、生徒に極力影響がないように工夫されて使用されていることに感心するばかりでした。
ただ、無理やりな教室配置の影響からか、迷路のようで、特性への配慮も考えると、この配置は子ども達に無駄な負担をかけているのではと思ったことです。特別な支援と看板を掲げている学校として是非に、支援していただけたらなぁと思います。
また、支援学校の通常の学習の時間にお邪魔したのは初めてでしたが、個別課題を取り組んでいた小学部の子ども達が、それぞれにあった課題と、すぐそばに先生がいていきいきと取り組んでいる姿が見られました。人数の問題や、経験不足等で、すでにできることをやり続ける自習形式が多くなりがちな特別支援学級の子ども達にもこのような時間が保障されたら素敵なことだと思います。
中学部、高等部の全体の活動のなかでも、伸びやかに活動している生徒のまわりには、いきいきと指導されている先生の姿があり、学校は、設備と共に中身も充実してこそだと感じました。豊かな教育環境についてまだまだ思いを巡らし、学んでいかなくてはと思います。

学習会「だれもがゆたかに学べる教育を〜インクルーシブ教育をどうとらえるか〜」

2月23日(日)、「だれもがゆたかに学べる教育を〜インクルーシブ教育をどうとらえるか〜」をテーマに学習会が開催されました。講師は、品川文雄さん(発達保障研究センター理事長)でした。概要を紹介します。
インクルーシブ教育は、サラマンカ声明(1994年)と行動大綱で国際的に提記された。
障害者権利条約が2006年に国連で採択され、日本は2014年に批准した。

障害者権利条約24条
「締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する」として、5点あげている。
(a)障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと及び障害のある児童が障害に基づいて無償の、かつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
(b)障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること。
(c)個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
(d)障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること。
(e)学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。
インクルーシブ教育とは「障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと」である。
 これって、「障害のある子も、障害のない子も共に生き共に学ぶこと」なの?
同時に、同じサラマンカ声明と行動大綱で、インクルーシブ・スクールを提起した。
・インクルーシブ校は、
 @さまざまな学習スタイルや学習の速さについて調整をしながら、
 Aまた、適切なカリキュラムと、編成上の調整、指導方略、資源の活用、地域社会との協力を通じ、すべての子に対し質の高い教育を保障しながら、
 B生徒の多様なニーズを認識し、それに応じなければならない。
・そのさい、すべての学校内でであうさまざまな特別のニーズにふさわしい、さまざまな支援やサービスがなければならない。
・インクルーシブ校内で、特別な教育的ニーズをもつ子どもたちは、彼らの効果的教育を保障するのに必要とされるあらゆる特別な支援を受けなければならない。
・つまり、同じ学校内で一緒に学ぶといっても、学習スタイルも、学習の速さも、学習カリキュラムも、指導方法も‥‥配慮した質の高い教育を行うことを提唱し、それらを保障することこそ、インクルーシブ教育であると言っている。
・さらに、「特別な教育的ニーズをもつ子どもたちは、彼らの効果的教育を保障するのに必要とされるあらゆる特別な支援を受けなければならない」としている。
・ただ単に何も手だてのない「障害のある子も、障害のない子も共に生き共に学ぶこと」は、
 インクルーシブ教育ではなく、インクルーシブ教育に値しないと言っているのである。

インクルーシブな学校に受け入れる子どもはすべての子どもたちである。
・インクルーシブな学校は、子どもたちの身体的、知的、社会的、情緒的、言語的条件、の他の条件のいかんにかかわらず、すべての子どもたちを受け入れなければならないということである。
・これは、障害児や優秀児、ストリート・チルドレンや児童労働を強いられている子ども、僻地の子どもや遊牧民の子ども、言語的、民族的、文化的マイノリティーの子ども、その他不利な立場におかれた人びとや辺境に住む人びとの子どもも含まれるべきである。
まさに、インクルーシブ教育とは、
すべての子どもが、もてる力を最大限に発達させることができる環境の元で、一人一人がいきいきと輝くこと。
ほんとうのインクルーシブ教育と学校制度を、どう創出していくのかを真剣に考えなければならない。すべての子ども達が豊かに学べる教育の実現のために、現状の分析を進め、声をあげていきたいと強く感じました。

インクルーシブ教育についての勉強会に参加して

 インクルーシブ教育と聞くと、障害のある子共も、障害のない子どもも、地域の学校で共に学ぶことができる教育のシステムであると自分の中で認識していて、なかなか腑に落ちないと思っていましたが、この勉強会に参加して、自分の中で納得できた事があったので伝えていこうと思います。
 インクルーシブ教育とは、インクルーシブな学校に受け入れる子どもはすべての子ども達である、という事でした。障害のある子ども、障害のない子ども、成績優秀の子ども、貧困の子ども、日本にはあまりなじみはありませんが、ストリート・チルドレンや労働を強いられている子ども、通学するにはあまりにも危険な場所を移動しなければならない僻地の子ども、言語的、民族的、文化的マイノリティーの子ども、不利な立場におかれた人々の子どもたちも、教育の対象であるべきだという考え方です。
 すべての子どもが教育を受けることができると捉えることができ、地域の学校で共に学ぶことに適応できない障害のある子どもは特別支援学校へ入学する事ができ、そこで教育を受けることもインクルーシブ教育といえます。
 子どもたちを学校教育に適応させるのではなく、子どもたち一人一人のたようせいに学校教育が応じていく事ができるような、教育制度ができることが、ゆたかに学べる教育の実現につながるのではないかと思いました。(保護者)

ご意見をお寄せ下さい。

学校をつくる会
Tel:088-822-6822 Fax:088-822-6823
E-mail:k.tsukuru2019@gmail.com

“高知県における知的障害特別支援学校の在り方に関する検討委員会のまとめ”に対する私たちの見解と決意

 県教委は、2019年度に「高知県における知的障害特別支援学校の在り方に関する検討委員会」を4回開催し、12月にまとめが出されました。
 検討委員会のまとめは、
 @県中央部に40〜50人規模の学校設置を新たに整備する必要がある。場所は高知市・南国市、香美市、香南市。
 A早期に対応するためには「既存施設の活用」が望ましい。中学・高等部設置。
 Bインクルーシブ教育の理念を進めていく。
というものです。検討委員会はその設置要綱第1条で示した「将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について検討することを目的」としながら、まとめでは山田特別支援学校の大規模化及び施設等の狭隘化の課題に対応することにとどまる内容となっています。
 検討委員会のまとめを受けて、『私たちの見解と決意』を作成し、県教委と各検討委員へ届けました。
(1)将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策として、「高知市内に小・中・高、寄宿舎のある100名規模の学校」の必要性を引き続き訴えていくこと
(2)新たに設置する学校について、より充実した教育条件、教育機能をもつ学校になるよう、教育行政に対して情報公開と対話・意見交換をすすめていくこと
(3)「今後の特別支援学校に期待したい機能や役割」への具体的な方策と校種をこえて高知県の特別支援教育に寄せられる期待と課題について検討を進め要求することなどです。
 コロナ禍の中、まだ、新しい学校などの具体的な動きは見えてきていませんが、今年の高知県9月議会には、補正予算案など、何らかの進展があるのではないかと思われます。少しでも、教育行政に、当事者、保護者、福祉・教職員など関係者の声が届くようにしていきたいと思います。



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